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あだち康史
あだち康史
衆議院議員
Profile
衆議院議員4期、大阪9区支部長。日本維新の会憲法改正調査会長、国会議員団政務調査会長、幹事長代理、コロナ対策本部事務局長等を歴任。1965年大阪生まれ。茨木高校、京都大学、コロンビア大院。水球で国体インターハイ出場。20年余り経産省に勤務し欧州に駐在。東日本大震災を機に政治を志す。
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福島第一原発事故の三つの教訓を活かせ - 発災から三年を経ても続く政府の「あいまい戦略」 -

足立 康史

1.震災復興三年の厳しい現実

東日本大震災から今日で3年、私が総選挙で当選させていただいてから2度目の3月11日を迎えました。今なお避難生活を強いられている26万7千人、仮設住宅の10万4千世帯はじめ被災者の皆さまに寄り添いつつ、言うべきことを言い、やるべきことをやり抜いてまいります。

昨年に引き続き、午後には「東日本大震災三周年追悼式」に参列しますが、安倍政権の震災復興政策には取り返しのつかない誤りを指摘せざるを得ないし、事故の教訓を踏まえた原子力政策の見直しについても、安全規制、損害賠償責任、そして高レベル放射性廃棄物の最終処分など、その進捗には、多くの注文を付けざるを得ません。

2.政府の「あいまい戦略」が被災者を苦しめ続けている

まず震災復興政策については、時すでに遅く暗澹たる気分になりますが、当選直後の昨年3月13日衆議院予算委員会において私は、安倍総理に「この地域には将来にわたって住まないことも含めて、地域の将来を決断することが地域の首長さんにはできない、国の責任であり総理の責任である」と指摘しました。

つまり、政府は帰宅困難区域を含めて全員帰還を大方針としてきたわけですが、私は、帰らない地域があるのもやむを得ないし、帰らない方々がいるのもやむを得ない、そういう前提で、早く決めること、早く決めてあげることの方が、実はそれが被災者の方々のためにもなる、と訴えたのです。

政府も、昨年の末になってようやく、福島第一原発事故からの復興に向けた新たな指針として、長期避難者が移住先で新たに住宅を取得した場合も賠償対象に含める支援方針を決定しましたが、too little too late と言わざるを得ません。政府の「あいまい戦略」が被災者を苦しめ続けている、そう思うのです。

3.福島第一原発事故の三つの教訓 ― 安全規制、賠償責任、最終処分 ―

次に、原子力政策見直しについても、先月2月27日の衆議院予算委員会において、私は、新しい「エネルギー基本計画」の政府原案が修正され曖昧になったと指摘した上で、1)原子力安全基準の再構築だけではなく、2)福島第一原発事故の教訓を踏まえつつ賠償や事故収束そして地域再生に係る国の関与と責任の在り方についても見直さなければ、再稼働できないのではないか、と指摘しました。

福島第一原発事故の最大の教訓を三つ挙げるとすれば、第一は原子力安全規制の再構築、第二は原子力損害賠償制度の見直し、そして第三が使用済み核燃料の最終処分方法の確立ですが、最後の使用済み核燃料の最終処分は、原発政策の立場にかかわらず、「未来への責任」として必ず果たしていかねばなりません。

一方、第一の原子力安全規制と第二の原子力損害賠償制度は、原発を再稼働していくに当たって不可欠の両輪であり、両翼(両ウィング)です。第一の原子力安全規制は、世界最高水準の安全基準を整備した上で原発の安全を確認するということであり、その審査の安定性など課題もありますが、一応、原子力規制委員会も既に発足しており、その取り組みは一定の評価に値するものと考えています。

4.再稼働に向けた最大の課題 -国の関与及び責任の在り方の明確化 -

そうした中、残る最大の問題は、原子力損害賠償制度の見直しであり、原子力損害の賠償制度等に係る国の関与及び責任の在り方を明確にしてく作業が不可欠です。発災直後の夏に公布・施行された原子力損害賠償支援機構法の附則第6条には、

 (検討) 第六条  政府は、この法律の施行後できるだけ早期に(中略)原子力損害の賠償に係る制度における国の責任の在り方、原子力発電所の事故が生じた場合におけるその収束等に係る国の関与及び責任の在り方等について、これを明確にする観点から検討を加え(中略)これらの結果に基づき、賠償法の改正等の抜本的な見直しをはじめとする必要な措置を講ずるものとする。

とあり、同年8月の衆参の東日本大震災復興特別委員会で採択された附帯決議では、

十一 本委員会は、法附則第六条第一項に規定する「できるだけ早期に」は、一年を目途とすると認識し、政府はその見直しを行うこと。

とあります。つまり、支援機構法の施行から一年をめどに原賠法を見直すというのが国会の意志であり、その期限は、一昨年の8月に既に迎えていたわけです。

私は、原賠・事故収束・生活再建・地域再生に係る国の関与及び責任の在り方を明確にすることは、本来、安全規制と合わせて原発再稼働に向けた必須の条件であり、最低限の条件だと思うのですが、安倍総理も、安全規制には言及しても、賠償責任にはほとんど言及をしません。

今国会(第186回国会)の施政方針演説でも、安倍総理は「原子力規制委員会が定めた世界で最も厳しい水準の安全規制を満たさない限り、原発の再稼働はありません」とし、昨日の参議院予算委員会でも「原子力規制委員会が厳しい基準で安全と認めたものは、地元の理解をいただいた上で再稼働していきたい」と表明しましたが、見直しが法定されているはずの原子力損害賠償法等の抜本見直しには、一切触れていません。

5.原発再稼働にも適用される政府の「あいまい戦略」

私は、日本経済のことを考えた場合の原発再稼働の必要性を理解していないわけではありません。むしろ、一刻も早く再稼働させるべきであると考えていますが、安倍政権のいう通り、原子力規制委の安全判断だけを受けてこのまま再稼働し、そして(万が一にも)事故が起こったら、どうするのでしょうか。

安倍総理は、金融緩和や集団的自衛権には執念を持って取り組まれていますが、こと原発問題になった途端、そのコミットメントが感じられなくなります。再稼働するのであれば、官邸のリーダーシップで損害賠償や地域再生の枠組みについての検討を急ぎ、当面の再稼働に備えることが大事ではないでしょうか。

政府は、河野談話などの外交政策に適用している「あいまい戦略」を、復興政策にも適用し、被災者の皆さまに大変な苦しみを強いてきたわけですが、あろうことか、原子力政策においても、原発事故が生じた場合におけるその収束等に係る国の関与及び責任の在り方を「あいまい」にしたまま、原発の再稼働を進めようとしています。

6.被災者の皆さまに報いる道 ― 福島第一原発事故の三つの教訓を活かせ ―

私が政治を志すきっかけとなった東京電力福島第一原発事故の教訓を活かし、新しい原子力エネルギーに係るガバナンスを確立していくことこそ、被災者の皆さまに報いる道であると私は確信しています。

発災から三年の今日、自分の為すべき仕事は何なのか、改めて吟味し、自省し、肝に銘じて、事故の教訓を活かす仕事に邁進してまいります。

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