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あだち康史
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衆議院議員
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衆議院議員4期、大阪9区支部長。日本維新の会憲法改正調査会長、国会議員団政務調査会長、幹事長代理、コロナ対策本部事務局長等を歴任。1965年大阪生まれ。茨木高校、京都大学、コロンビア大院。水球で国体インターハイ出場。20年余り経産省に勤務し欧州に駐在。東日本大震災を機に政治を志す。
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議事録 Transcripts

2013年11月13日 衆議院 経済産業委員会 法案審議 産業競争力強化法案とヘルスケア、非営利法人の扱い

足立 康史

185-衆-経済産業委員会-6号 平成25年11月13日

○富田委員長 次に、足立康史君。

○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
 維新の会、四人目です。連日の審議でございますが、よろしくお願い申し上げます。
 私は、先般も茂木大臣のお手を煩わせましたが、通常は、常任委員会は厚生労働委員会、特別委員会は復興特委と原子力特委で与党の先生方と御討議させていただいております。この経産委にも二、三度来させていただきましたが、その際は原子力が中心でありました。
 きょうは、厚生労働委員会でふだん社会保障、医療、年金の議論をしている立場から、この法案についていろいろ御討議させていただければと思います。
 きょうは先輩方もいらっしゃるのでちょっとやりにくうございますが、かつて経産省の中でさまざまな政策論議というか討議をさせていただいた、その雰囲気と同じ雰囲気でぜひ御指導いただき、また私も意見を申し上げたいと思います。
 きょうは、この法案の中でも、特に私はヘルスケア分野に光を当てたいと思います。
 この法案は特に分野を何か限定しているような枠組みではないと思いますが、これまでさまざまな成長戦略をそれぞれの政権でつくってきたときに、必ず柱に入っていたのがヘルスケア分野であったと思います。
 私も今、厚生労働委員会で社会保障財政もやっていますが、どうしても今の日本の社会保障はお金の話だけでは、年金は特にお金の話、現物給付ですから足し算、引き算の世界でありますが、医療や介護を中心とするヘルスケア分野というのは、お金がさらに人の手に渡って、さまざま掛け算、割り算、微積分までできる世界だと思っています。医療、介護、ヘルスケアの分野について、経済産業省の皆様方のてこ入れをぜひこの法案に基づいてお願いしたい、こういう立場でございます。
 実は、十一月一日に本会議で、社会保障プログラム法案について厚生労働大臣に質問させていただきました。そのときに田村大臣に、きょうは原医政局長にもおいでいただいておりますが、会計基準の話をお伺いしたんです。今、日本にはさまざまな会社、株式会社、有限会社、あるいは非営利でも医療法人、社会福祉法人、さまざまな法人の種別がありますが、医療法人だけ会計基準がないんです。
 それについては、実は、私がまだ経産省におった当時、小泉政権のときに、医療制度改革大綱で、医療法人制度改革として、「医療法人に必要な会計の在り方について検討する。」、こういうことがまとめられております。これは平成十七年です。
 医政局長には改めて後でお伺いしますが、実は、平成十七年に医療法人の会計基準を検討すると政府として決めた後、今に至ってもこれが整備されていないんですね。経産省の皆様方からすればちょっと驚きの世界だと思いますが、これが実態でございます。
 本会議で、田村厚生労働大臣から、四病院団体協議会、四病協という団体で今検討していて、年内にもまとめるという御答弁をいただきました。しかし、これはヘルスケア産業の効率化あるいは適正化を考えたときには本当に一歩も一歩、大前提の議論でありまして、きょうはその話も含めて御議論させていただきたいと思います。
 まず、今回の法案において、ヘルスケア分野は恐らく成長戦略との関係においても重要だと位置づけていただいていると思いますが、ぜひ、このヘルスケア分野に取り組む意気込みのようなものを茂木経済産業大臣からお聞かせいただければと思います。

○茂木国務大臣 足立委員から御質問いただきましたが、きょうは政府参考人もたくさんそろっておりますけれども、恐らく、経済産業省にいらしたときも、誰よりも医療制度改革やヘルスケア産業の振興に熱心に取り組まれてきたのが委員だ、このように私は承知いたしております。
 ヘルスケア産業は、まさに日本にとってこれから重要な産業である、こんなふうに考えておりまして、日本再興戦略におきましても、健康長寿を重点分野の大きな柱として取り上げております。
 経済産業省としても、健康寿命の延伸のために、例えば、医療機関と民間の事業者が連携した生活習慣病予防に資する運動、栄養指導等の健康サービスの創出、事業化の支援をする、また、治療効果の高い医薬品の開発プロジェクトや、中小企業のものづくり技術を生かした医工連携によります医療機器の開発支援、こういった支援措置を講じているところであります。
 この法案におきましては、例えば企業単位のさまざまな規制改革を進めるにしましても、この分野を優先的にやりますよ、この分野の窓口を閉じますよということはせずに広くいろいろな提案を受けたいと思っておりますけれども、健康・医療分野におきまして新たな事業に挑戦する多くの企業に積極的に活用していただく、こういったことを期待いたしております。

○足立委員 ありがとうございます。大臣のこの分野への意気込みがよくわかりました。
 次いで、私も経産省にいましたのでよくわかるんですが、一方で、医療、介護の世界は、先ほど申し上げたとおり、医療法人とか社会福祉法人が中心的な経営形態であります。教育は学校法人。いろいろな非営利法人があるわけでございますが、今回の法案において非営利法人の扱いがどうなっているか御教示ください。お願いします。

○菅原政府参考人 お答え申し上げます。
 本法におけるいわゆる非営利団体の取り扱いでございますけれども、この法律全体を見渡しますと、認定ベンチャーファンドだけが有限責任組合に限定されておりますけれども、それ以外については、企業実証特例はもちろん、グレーゾーン解消制度、そして産業再編の対象としても、非営利事業団体を除外するものではございません。

○足立委員 ありがとうございます。私も、条文を拝見して、そういうことかなというふうには思っておりました。事業者、事業活動、いろいろな定義がございますが、特に縛りはないということであります。
 ただ一方で、実際に彼らがいろいろな支援策を使うとなると、要すれば法案のたてつけとして、今局長がおっしゃったように、入り口で対象を縛っているわけではない、では、具体的な支援策は彼らが使える枠組みになっているんだろうか。拝見すると、この法案は大部というかさまざまなパーツからできておりますので、個別に挙げるのは難しいわけですが、例えば中小企業政策。
 きょう長官においでいただいていますが、私は中小企業庁にもおったことがあるのでよく承知しておるつもりなんですが、要は、中小企業政策というのは会社及び個人を対象にしている、どの法律を読んでも会社及び個人と書いてある。個人ですから、それはどんな個人でも対象ですね。ところが、事業がだんだん大きくなると法人成りをします。個人事業から法人、会社をつくります。個人が営利の会社をつくると、さまざまな中小企業政策がついてきます。ところが、個人が医療法人をつくった、これは非営利法人です。すると、基本的に中小企業政策の対象ではないんじゃないかなというふうに思っています。
 事務的に法律をざっと見ると、一つだけ例外があって、中小企業信用保証制度だけは、医業を主たる事業とする法人はいいよと書いてあるわけでありますが、それ以外の法律については基本的に、中小企業の定義として会社及び個人、会社は営業をしている営利会社、こういう整理になっていると思います。そういう意味では、中小企業政策を中心に、なぜ今こういう体系なのか。
 まず、私が今申し上げた理解がそのとおりであるかどうか、もしそうであれば、なぜそうなっているのか、ぜひ御教示いただきたいと思います。

○北川政府参考人 お答えいたします。
 二つ論点があると思います。
 一つは、法人と個人の問題、もう一つは、信用保険で特別に対象になっているのはなぜか、この二つだと思います。
 一つ目の中小企業政策の範囲でございますけれども、御案内のとおり、中小企業基本法におきまして、新たな産業の創出とか市場における競争の促進、こういうことをうたっておりますので、原則として営利を目的とする事業者を支援の対象にするのであろうと思っております。
 そういう意味では、まず、個人につきましては、例えば、営利でない、あるというのを判断するのは外形的には難しゅうございますので、事業を営んでいる以上、営利であろうという判断で御支援するわけでございますけれども、法人の場合におきましては、特定の法律に非営利とうたっているようなものもございます。そういったものにつきましては、法でそういうふうにうたっております以上、原則としては営利を対象とする支援策でございますので、そこは外れるということでございます。
 一方で、次の論点で、そうはいいながら、なぜ信用保証についてやっているのかということでございます。
 これは大変長い経緯がございまして、医療法人は、資金需要の高さ、国民の医療環境の整備の必要性がかつてあり、今でもあると思うんですが、古くなりますけれども、昭和二十五年に中小企業信用保険法ができ、そしてまた昭和二十八年に中小企業金融公庫法ができましたときに、特別に、今申し上げたような事情から保険、融資の対象としたところでございます。
 その後、昭和三十五年に医療法人に対して貸し付けを行います医療金融公庫ができまして、貸し付けについてはこちらの医療金融公庫にお任せした方がいいだろうということで、中小企業政策としての公庫の対象から外れておる。一方で、保証については医療公庫の業務とされませんでしたので、引き続き信用保証の対象として行っている、こういう経緯でございます。

○茂木国務大臣 今回の法律の中でも、設備投資を促進していくさまざまな手法がありますけれども、リース手法を用いた設備投資の支援につきましては先端医療機器を含めて対象にする、こういう形もとっております。
 それから、今後いろいろな制度の見直しが必要だと思うんですけれども、恐らく、欧米における非営利と、日本のいわゆるボランティアというんですか、概念的に少し違うかなと。やはり、アメリカであったりとかイギリスあたりの非営利法人はかなりしっかりしています。きちんと給料も出る、たまたま利益を生まないというだけで、組織も大きくてしっかりしている。そういったものをつくっていくことを日本でもやはり考えていく必要があると私は思っております。

○足立委員 ありがとうございます。
 今大臣からも御答弁をいただきましたが、これからちょっと厚生労働省からも御答弁をいただきます。
 経済産業省の皆様が、これまで会社法の世界で、あるいは税制で、さまざまな制度イノベーション、政策をずっとつくってこられた。中小企業庁長官がおっしゃったようなことも含めて、経産省が営利の世界で培ってこられたさまざまなノウハウがあるわけですが、これが、結論から言うと、私の理解では、ヘルスケア、医療法人、社会福祉法人の世界ではほとんど使われていないわけであります。
 今、茂木大臣がおっしゃったように、今回のこの法案はともかくとして、中期的にはぜひこの分野にそのノウハウを注ぎ込んでいただきたいというのがきょう私の質問の趣旨でありますので、大臣の御答弁ありがとうございます。
 信用保証制度など中小企業政策について長官から御答弁をいただいたわけですが、医療は零細、中小がほとんどなんですね。その医療界に対して中小企業庁という横断省庁が、うちは原則営利ですと言っている状況において、厚生労働省は、医療法人、社会福祉法人等に対する政策は何か講じてこられたんでしょうか。今、経産省から見たときの枠組みを教えていただきましたけれども、厚生省から中小企業の世界はどう見えているんでしょうか。

○原政府参考人 お答えいたします。
 医療施設に対する支援としては、先ほども出ましたけれども、政策金融公庫による信用保険業務というのが今でも残っておりますが、融資の部分につきましては、医療貸付事業として、福祉医療機構が長期、固定、低利による融資を実施しているところでございます。
 そのほか、事業支援としては、社会福祉法人や医療法人の経営者に対する経営にかかわる正確な情報や有益な知識を提供することによる相談事業といいますか指導事業、こういうこともやっているわけでございまして、これらも含めて医療サービスが安定的に提供されるように支援が行われていると承知しております。

○足立委員 ありがとうございます。
 原医政局長には、厚生労働委員会で別の観点からもいろいろ御答弁いただいているわけですが、今おっしゃったように、厚生労働省は厚生労働省でさまざまな施策がある。あると思いますが、私がこの話をきょう経済産業委員会で取り上げたのは、営利の世界と非営利の世界がいかに違うかということなんです。
 冒頭申し上げたように、会計基準一つをとってもまだない。平成十七年に、検討すると政府として閣議決定した。その検討が今もまだ少なくとも実現していない。これは何で今までかかっているのか。これをちょっと、原医政局長、よろしくお願いします。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、平成十七年に医療法人にも会計基準を設けるべしという決定がされているわけでありますが、それを受けていわゆる四病院団体協議会で検討が始められました。
 ちょうどその時期に何が重なったかといいますと、医療法人制度全体の改革の話がございました。医療法の改正によって社会医療法人制度がそのときにでき上がったわけでありますが、持ち分あり、なしの医療法人の区別、そういうような経緯があって、ちょうどその検討が進んでいる中で医療法人全体の制度改正の話が同時に出てきたということで、全体の中での慎重な意見もあったので一旦議論がとまったというふうに聞いております。
 その後、現在再開されまして、私どもの田村大臣も答えたように、年内に四病協で取りまとめていただけるという方向と聞いております。
 厚生労働省としては、会計基準を活用して医療法人の経営の持続性、安定性を確保するとともに、健全性と透明性をしっかりと担保することが必要と考えておりますので、医療法人会計基準が早急に策定されるよう、全力を挙げて私どもとしても支援していきたいと考えております。

○足立委員 今おっしゃったことは、本会議でも田村大臣から、年内にはというお話でした。
 通告からいうとちょっと派生した問いになるかもしれませんので、原医政局長、可能な範囲でちょっとお願いしたいんですが、本会議の答弁で、田村厚生労働大臣は、この会計基準が年内に取りまとめられるという方向性と聞いている、その早急な策定がされることが重要であり、その取りまとめを支援すると。さらに、策定された後、策定され次第これを活用して、積極的な情報開示が図られるように努めていくと。
 すなわち、厚生労働省として、この会計基準の適用というか、これはもちろん、個々の医療法人がどうするかという一義的には民間の話でございますが、私は、年内に取りまとめられるということについては実は余り信用していないんです。これまでも何度もやるやると言ってやられてきていないわけですから、私は本当に年内にまとまるのかなというふうに思っていますが、仮にまとまったら、例えば一定規模以上の医療法人が、この委員会で言及するのが適当かわかりませんが、例えば徳洲会。徳洲会でなぜああいうことが起こっているか。
 よく、さまざまな規制改革の中で、保育だとか医療とか介護の分野で株式会社の参入の議論というのがあります。株式会社の参入の議論をするたびに、厚生労働省は、やはり非営利は安心なんだ、営利は心配なんだという話をされますが、私は営利、非営利は余り関係ないと思っていて、非営利でも悪いことをする人はする。その象徴が、繰り返しませんが、先ほど申し上げたような例も出てきている。
 医療法人の会計の実態は、税理士がおられて最低限の税務会計をやって終わり、そこまでだと思うんですね。それでは、八五%が保険料と税金で成り立っているこの医療界に、これまでも、これからもいわゆる公費を注ぎ込んでいく。
 かつて、財政投融資と特殊法人改革という、財政の問題とその出口の問題がありました。社会保障費については、社会保障のお金の出口にヘルスケア産業が広がっている、このヘルスケア産業の実態を見ると最低限の税務会計しかやっていない、あとはもう何でもありの状況になっていていいのかという問題意識があるわけです。医政局として、あるいは厚生労働省として、年内に四病協がこれをまとめたらどうしますか。

○原政府参考人 お答えいたします。
 現在も、医療法人としての情報開示の部分が当然ございます。ただ、その中で、御指摘のように会計基準がございませんので、それがどういうような項目をどういうふうに集計しているのかということは、実は全く不透明なところがございます。むちゃくちゃな会計がされているとは思いませんけれども、その部分が十分に開示されていないというのは御指摘のとおりだと思います。
 そのため、今回、医療法人の会計基準をまずはやはり現場をよく御存じの団体の方々に、公認会計士さんがたくさん入って検討していただいておりますので、その成案を得た上で、厚生労働省としても、会計基準を御使用いただけるように通知で周知していきたいと考えております。

○足立委員 今御答弁いただいたように、これはぜひ経産省の先輩方に、また茂木大臣に御認識をいただきたいと思って僣越ながらこの委員会でヘルスケア分野をやらせていただいているわけですが、本当に最低限の税務会計しかやっていないんです。会計基準がないんです。この日本の制度の中で、会計基準がない法人の種別は医療法人だけです。
 ぜひ、年内に四病協がまとめた暁には、ある分野については厚生労働省としてやはり、これは、会計基準というのは課税所得を算定する一つのベースになるだけじゃなくて、いわゆる内部統制というんですか、要は医療機関自体が経営の状況を把握する、自分で自分を把握するということもあります。また、医療グループが借り入れをしたり、さまざまな利害関係者があるわけですから、その利害関係者にしかるべき情報開示をしていくというのは私は絶対に必要だと。また、本会議では、医療法人の最大の利害関係者は国民でしょう、なぜならば国民の税金で動いている世界だからです、こういうことを申し上げたわけであります。
 先ほど、茂木大臣にリースの話をおっしゃっていただきました。まさに重要な分野で、医療の分野は高額の医療機器を導入します。今般の法案にも、ファイナンスリースとオペレーティングリースなどの整理をしながら大変重要な規定を盛り込んでいただいているわけであります。
 ぜひ御理解をというか、釈迦に説法だとは思うんですが、先ほど原医政局長からも話があったように、医療の世界はこのリースに係る今回の措置は関係ないんです。なぜ関係ないか。そもそもバランスシートにのせていないんです。いや、のせていないと言ってはいかぬな、大宗の医療法人はのせていないであろうと。実は、実態がよくわからないので誰もわからないんですけれども、わざわざのせる理由が恐らく医療法人にはないんです。あるいは退職給付会計。
 さまざまに会社の世界で会計基準が整備されてきた。リースとか退職給付会計とか、そういういろいろなものについて、グローバルな基準に沿いながらさまざまな制度イノベーションを行ってきた世界において、医療だけはいまだに基準自体がないということでございます。
 会計基準に加えて、もう一つぜひ改めて御認識いただきたいと思っているのがMアンドAでございます。
 一時、これから少子高齢化だということで、ヘルスケアの分野に、さまざまなファンド、海外からもいろいろなお金が入ってきました。ところが、余りうまくいっていないと仄聞します。理由は幾つかあるかと思います。例えば、医療はやはり医療事故があるものだから、どうしてもリスクが大き過ぎる、リスクが読めないとかいろいろな議論がありますが、そもそもこのヘルスケア分野において事業再編のニーズがあるのか。
 原医政局長、これもぜひ厚生労働省として、なぜこういうことを伺うかというと、今回、社会保障国民会議や社会保障プログラム法案においては、MアンドAのような話がちょっとだけ出てきています。それは、こちらから申し上げますが、要すれば、医療法人間の合併を法律に初めて規定しようということを言っているんです。今までは通達だった。合併の取り扱い、権利の移転の取り扱いを、どう書いてあるかはちょっと、ここには物がありませんが、局長の通達でやっていたんです。初めて医療法人間の合併、特に異種合併、社団と財団の合併について規定することを御検討されていると聞いていますが、これは、医業の世界で再編のニーズはあるという理解でよろしいですか。

○原政府参考人 お答え申し上げます。
 今ほど委員が触れられました社会保障制度改革国民会議の中でも、医療機関の病床機能を分化及び連携していく、ある意味でいえば、医療機関の再編、統合につながるような話もございます。これを進めていかなければ超高齢化社会に対応する医療が提供できないだろうと言われておりまして、御指摘のように、医療法人間の合併や連携というのは非常に重要な課題だと思っております。
 そのため、私どもでも、医療法人の合併だけではありませんけれども、全体の構成をどうしていくのかということについての検討会をやりまして、先ごろも、形態の違う財団や社団などの合併をどうしていくのかということについて検討していただくことにしております。

○足立委員 事務的にも医療法人の異種合併について検討しているということは伺っていますが、医業、病院の実態を見ると、病院を持っている法人は医療法人だけじゃないです。医療法人立の病院もあれば、社会福祉法人立の病院もある、学校法人立の病院もある、株式会社立の病院もある。営利、非営利を超えてさまざまな法人立の病院があります。
 今、医政局長がおっしゃったような、これからヘルスケア分野を介護も含めて大きく再編しながら、効率的かつ質の高いヘルスケア産業を、産業というのは厚生労働省はだめかもしれませんが、ヘルスケア分野を成長させていく、大きく国民の福祉に沿うような事業の世界をつくっていく。こういうことを考えると、MアンドA規定の整備については、医療法人の異種合併だけではなくて、広く医業にかかわっているあらゆる法人種類についての異種合併を全てのクロスで認めるべきだと思うんですが、いかがですか。

○原政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のように、さまざまなところ、例えば近隣でいいますと社会福祉法人などもございますけれども、そういうところとの統合なり合併の基準をどうするか、それについても検討していっていただきたいと思っております。
 ただ、営利法人が入ってきますと、これは営利を排除するという原則から外れますので、その部分はかなり難しいのではないかというふうに思っております。

○足立委員 ありがとうございます。
 検討するということですが、営利と非営利の橋渡しも含めて、ぜひお願いしたいと思います。
 今、実は厚生労働省は、子育ての分野や介護、特に介護ですね、介護保険制度を導入したときには営利法人の参入を認めました。だから、介護保険の世界では営利事業体が大きく活躍しています。
 ところが、先般の医療法改正で、厚生省は医療法人の非営利性を強めました。今までの医療法人よりも、持ち分が解散したときに分配できないとか。今まではできるだった。要は、営利、非営利というのは基本的には配当の有無で決まるわけですが、持ち分の解散時の分配についても認めない、こういうふうにしたわけでありまして、私は非常に残念な思いでございます。
 ぜひ、実際に営利法人立の病院が存在している中で、これから大きくこのヘルスケア分野を成長させていくために、広い異種合併を営利法人を含めて御検討いただきたいと思います。
 もう時間がなくなってきましたので、最後に、またちょっと経産省に戻らせていただきます。
 今聞いていただいたように、恐らく、会社法をずっと見てこられた先輩方というか、経済産業省からすれば驚きの世界が広がっているわけです。今国会とは申しませんが、次期通常国会あるいは来年、ぜひこういう分野にも、てこ入れするぐらいの気持ちで取り組みを進めていっていただきたいと思います。
 茂木大臣、きょうずっと聞いていただいた御感想を含めて、お願いしたいと思います。

○茂木国務大臣 質疑を聞いておりまして、原医政局長と言っているんですが、途中から腹いせ局長に聞こえてくるのでありますけれども、厚労省も腹いせでやっているとは思っておりません。真剣に取り組んでもらっていると思っておりまして、連携をしながら、このヘルスケアは成長の分野であります、しっかりと取り組んで、改革も進めていきたいと思っております。

○足立委員 ありがとうございます。
 きょう取り上げた分野とは異なりますが、再生医療の分野では、本当に今、経済産業省と厚生労働省で一緒に議論をしていただいていると伺っています。今回出てきている法案等についても、私は厚生労働委員会ですけれども、大変よくできた法案、世界全体を見渡しても、日本の法制度が先に走っているぐらいのできだと。党としてどうなっているかわかりませんが、私個人は大変すばらしい法案にでき上がっていると敬意を持っています。
 両省が連携し、きょう申し上げたような経営の分野にもぜひ今後お取り組みいただくようお願い申し上げて、私の質問を終わります。
 ありがとうございます。

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衆議院議員4期、大阪9区支部長。日本維新の会憲法改正調査会長、国会議員団政務調査会長、幹事長代理、コロナ対策本部事務局長等を歴任。1965年大阪生まれ。茨木高校、京都大学、コロンビア大院。水球で国体インターハイ出場。20年余り経産省に勤務し欧州に駐在。東日本大震災を機に政治を志す。
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