あだち康史後援会入会のご案内
あだち康史
あだち康史
衆議院議員
Profile
衆議院議員4期、大阪9区支部長。日本維新の会憲法改正調査会長、国会議員団政務調査会長、幹事長代理、コロナ対策本部事務局長等を歴任。1965年大阪生まれ。茨木高校、京都大学、コロンビア大院。水球で国体インターハイ出場。20年余り経産省に勤務し欧州に駐在。東日本大震災を機に政治を志す。
プロフィールを読む
議事録 Transcripts

2013年3月22日 衆議院 厚生労働委員会 法案審議 医療法人会計基準、駐留軍関係離職者に係る労働政策

足立 康史

183-衆-厚生労働委員会-4号 平成25年03月22日

○松本委員長 次に、足立康史君。

○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
 所信質疑に続いて、きょうは法案の審議ということで質問に立たせていただきます。
 先般の所信質疑の際に、私、冒頭、尊敬する田村大臣と申し上げました。御面識というか、余りなかったんですが、いろいろなこれまでの政治活動とかを拝見していまして、尊敬すると申し上げたんですが、質疑をずっとこの委員会で御一緒していまして、伊東委員は我が党内でもなかなか相手にするのが大変な議員でありまして、この伊東委員の議論に厚労大臣としてしっかり御答弁をいただいて、本当に改めて尊敬をしている次第でございます。
 それで、先般の所信質疑について、きょうは法案の審議ということなんですが、先般、医療法人会計基準について私の方から御質問した際に、一部、医療法人会計基準なるものが策定をされている、制定をされているという御答弁があったので、私、そのとき、あれっということで申し上げたわけですが、改めて、その事実関係について、この場をかりてちょっと御答弁をいただければと思います。よろしくお願いします。

○とかしき大臣政務官 三月十五日の答弁でお話しさせていただきましたのは私でございますので、私の方からお答えさせていただきます。
 まず、答弁に当たりまして、委員の御指摘に対しましてちょっと言葉が足らず、誤解を生むような表現がありましたことを、まずは先におわびを申し上げたいと思います。
 そこで、どの点に説明が不十分であったかということをお話しさせていただきたいと思います。
 公募債を発行できる社会医療法人については、企業会計基準と同じものを使うことになっているために、私は、会計基準を策定している、このように答弁してしまいました。
 しかし、正確に言いますと、これは、公募債を発行できる社会医療法人特有の会計基準を策定したわけではありません。会計基準がない法人は医療法人だけであり、医療法人独自の会計基準を策定すべき、このように委員は御指摘なさっていらっしゃいますけれども、この問題意識に照らせば、正確ではない答弁になってしまいました。
 またさらに、混乱させてしまったことに対しては大変申しわけないなと思いますので、ここでおわびを申し上げます。申しわけありませんでした。

○足立委員 大変誠実な御答弁かと思います。ありがとうございます。
 ちょっと私からも補足を申し上げます。
 先般、所信質疑という大変大きなテーマを扱う場で、若干テクニカルな話を申し上げたのは、やはりこれから、医療界というか、医療、介護、福祉、社会保障について、国民会議を含めてさまざまな議論がある。大変な財政も既に投入をされていて、これからもその点については非常に大きな、保険料も上がっている、また、財政も追加で投入をしないと回らない。これが今の医療、介護の現実でございますので、もちろん高齢化の中で当然のことではあるわけですが、厚生労働省そして医療界におかれては、やはり、今我々が直面しているそういった事態にどういうふうに向き合っていくのか、そして構造改革をしていくのかということが問われている、こう思っているわけです。
 その際に、会計基準というのは、ちょっと釈迦に説法ですけれども、今、とかしき政務官の方から御答弁をいただいた、いわゆる公募債を発行する社会医療法人というのは、まさに、これはもう厚生労働省の世界ではなくて金融庁の世界で、金融商品取引法に服するということですから当たり前のことです。そういった観点から、企業会計に準じてというか、企業会計基準を使ってしかるべき、金融商品取引法に服してください、こういう当たり前のことを決めているわけでございます。
 一方で、一般の営利法人における会計基準というのは、金商法だけじゃなくて、会社法あるいは法人税法がその会計基準に関係をしてくるわけでございますが、会社法については、配当可能利益の算定をすることによって債権者保護をするということです。医療法人の場合は配当はしないということですから、同列に扱う必要はそもそもないということは言えると思います。
 一方で、医療も民間でありますから、法人税はかかっているわけで、お支払いをいただいているわけでございますが、では、法人税を払うときにその課税所得をどうやって算定しているんだといったときに、私がいろいろ聞き及んでいるところでは、医療界の実態は、いわゆる、かつてのですよ、かつての中小企業並みというふうに、誤解があったら医療界の方々に失礼ですけれども、医療も零細あるいは中小の法人が大変多いわけですから、営利の中小企業と同じような難しさというものに、会計上、当然、実態としてあるわけであります。
 では、中小企業についてどうかというと、中小企業庁が、もう十年以上前から、中小企業の会計に関する研究会というのを、関係者を全部集めて、徹底的に、中小企業者にとって使いやすい会計基準、会計のあり方というのはどういうことかということをけんけんがくがくやって、公認会計士協会なんかも協力をして、中小企業庁も全面協力をしてやってきた。
 それは誰のためにやっているかというと、実は、今三つの法律を御紹介したわけですけれども、そんな法律がなくても、そもそも、法人税の問題は重要だと思いますが、加えて、医療を経営されている方々が、みずから自分の経営状態について把握をするためには、あるいはほかのところと比較をするためには、やはり会計基準をちゃんとつくった方がいいと。
 さらには、自分で自分のことをチェックするだけじゃなくて、いわゆる利害関係者への情報提供。
 それで、この利害関係者への情報提供といったときに、その最たるものは、私は、医療においては、それは国民じゃないのか、納税者じゃないのか。なぜならば、八五%は保険料も含めた公費で賄われている世界なんだから、広く利用者、そして国民に対して医療経営の実態というものを明らかにしていくことが、それは医療界のためだ。
 医療界がこれからも健全に発展をしていくためには、そういう点での御努力がもう少しあってもいいのかなということでございます。
 ちょっと長くなりますが、大事なことなのでもう一言補足をしますと、小泉政権のときに、平成十七年十二月に医療制度改革大綱というのが閣議決定をされて、そのときに会計基準をやろうねということが書かれたわけです。
 その後、四病協が中心になって医療法人会計基準検討委員会というのを開催して、第五次医療法改正の施行に当たる十九年四月には、そういったものを何とか整備したいねということをおっしゃっていたやに仄聞をしているわけですが、その後、もう六年を経過して、私、政治家としての立場をこの十二月に与えていただいた後、ところで、あれはどうなっているかなということになったら、どうも進んでいないということだったので、所信質疑で問題提起をさせていただいた、こういう経緯でございます。
 要すれば、これはなかなか難しいんです。だから、四病協の皆様がこれをまたやるよということで言っておられると思うんですが、中小企業のときにやったことを思うと、中小企業庁は、中小企業庁財務課を挙げて、これをもう十年間やり続けてきたんですね。そうすることによって、実は、中小企業の経営が健全に保たれるし、また、さまざまな政策措置をその後、それに従っている、例えば中小企業庁がコミットをしている中小企業の会計のあり方に準じて情報開示をしている中小企業者については政策金利を下げるとか、いろいろなことができるんです。
 私、先般、政策イノベーションという言い方をしたかもしれませんが、厚生労働省におかれても、これからやはり医療の分野、健康云々戦略ということでやられるわけですから、早くこの議論を進めないと、要は、政策が後からついていけない、ある種の基礎なんですね。だから、私は愕然として、これは大丈夫かな、こんなことでその他のいろいろな政策がこれから打てるのかなということを問題提起している。
 したがって、録画がされる場ですから申し上げると、私も医療界に何か無理なことをやってほしいとか、やるべきだとか、あるいは、四病協の皆様におかれても、何か反対のあることを無理にやるべきだと申し上げているのではなくて、医療ならではの論点があると思うんですね。
 例えばリース会計をどうするか、退職給付会計をどうするか、医療会計ならではの、なかなか、企業会計と同じようには情報開示するのは適当じゃないぞというような問題が多分あるから、そういうことはしっかりと四病協で議論されて、これはこう扱おうとかいうことを、医療界の実態に即した情報開示、財務情報開示のあり方を整備していくべきではないか。
 ちょっと演説になってしまいましたが、そういう趣旨で申し上げたので、ぜひ、田村大臣におかれては、四病協でこれから検討されるやに聞いておりますその議論、ぜひ役所として、民間中心でやるのは、これはそうあるべきだと思います、民間中心で議論している医療法人会計基準の議論を、やはり厚労省とされても、役所からもしっかりとサポートをしていただきたいと思いますので、一言だけ、その点、大臣からお願いできればと思います。
    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕

○田村国務大臣 足立委員の問題意識というものは私も共有している部分があるわけでありまして、医療機関、医療法人もさまざまですけれども、かなり大きなお金を動かしているところもあるわけであります。そういう意味で、その経営、運営が、より持続的に、安定的に、それでいて、健全であり、透明性というものをしっかりと担保できるという意味からすれば、やはり医療法人の会計基準なるものを早急につくるべきだという御意見、それはごもっともだというふうに思います。
 今、四病協の方が検討を始めているということも委員御承知をいただいておるとおりでありまして、大分進んできておる部分はあるんだというふうに思います。
 いずれにいたしましても、基本は、やはりみずからがやっていただかなければならぬわけでありまして、そこは踏まえつつも、これはなるべく早く、言われるとおり、小泉内閣のときから何年たっているんだという話でございますから、なるべく早くこれを策定できるように、厚生労働省も全力を挙げて積極的にお手伝いをしてまいりたい。できれば、二十五年度の早い時期にこれが作成されるように、我々もお手伝いをしてまいりたいというふうに思っております。

○足立委員 田村大臣、本当にありがとうございます。
 かつて、医療の分野においては、MS法人とかいう呼び方で、メディカルサービス法人というものが医療法人をがっと取り巻いて、今でもそうだと思います。結局、さまざまな医療ビジネス、ビジネスと言っちゃいけませんね、医療産業、医療ビジネス、本当に巨大なコングロマリットというか、巨大産業ですから、そこでさまざまな資材とかいろいろなものがやりとりをされるということですから、そのMS法人を通じた税務上のいろいろな議論が喧伝された時期もあったと思います。
 それについては、税務署等の努力もあって、あるいは医療界自身が、私も、伊東先生初め、同士に医師がたくさんいらっしゃって、よく議論しますが、やはり、医師のある種のモラルというか、それでもっているところがあると思うんですね。
 だから、これからはもう少しそれを制度化して、医療界への信頼、信頼はあると思うんですけれども、さらに増していければと思っております。ごめんなさい、長くなりまして。
 きょうは、駐留軍や漁業離職者に関する法案の審議ということですので、幾つか御質問をさせていただきます。
 まず、きょうは二本のうち、離職者の方に絞って私は質問をさせていただきますが、駐留軍、漁業、この離職者臨時措置法というのは、いずれも、国際環境の変化を背景としている臨時措置法、それが何度も延長されてきているということです。
 今、国際環境の変化と我々一般にいうと、日本はグローバル経済社会の一員ですから、国際経済に巻き込まれて、その中でのマクロ経済運営をしているわけですし、漁業であれ、あるいは駐留軍の、基地の関係とか、あるいはそれ以外にもさまざまな国際環境変化に取り囲まれているわけです。そういう中で、この二つだけを取り上げて、こういう法体系、措置が講じられている全体像というか御認識を大臣からお伺いできればと思います。

○田村国務大臣 国際環境は、グローバル化の波の中で本当にさまざまに変化しておるわけでありまして、それによって職を失う人、職を得る人、いろいろおられるわけであります。
 ただ、この場合は、駐留米軍の再編、米軍基地の再編という、言うなれば、日本の安全保障、日米の安保の中において、大変な大きな流れの中で、沖縄に集中している米軍基地をどうしていくんだというような中で出てくるような課題でありまして、そういう意味からいたしますと、日本の国が大きく国として関与をしている問題、その中で離職者が生まれてくるという問題。
 それから、漁業離職者の場合も、国際協定という、言うなれば、日本が外交上、いろいろルールの中で協力して協定を結んでいかなきゃならぬという、国が関与した中での離職が生まれる、減船等々において離職者が生まれてくるという問題。
 こういう、国が大きく絡んだ問題であると同時に、歴史的ないろいろな経緯がある中において、このような法律が続いてきておるわけでありますので、そういうような意味合いの中での今回の延長であるというふうに御理解をいただければありがたいというふうに思います。

○足立委員 今おっしゃったことで、この二つの分野について臨時措置法が講じられていることはよくわかりました。
 問題は、この中身であり、また実績、効果なんですが、まず、今講じられている措置について、離職者に対する対応なわけですから、この法案の実績と効果について、簡潔で結構ですから、御紹介ください。

○岡崎政府参考人 まず、駐留軍の関係でございますが、最近、数十名から百名ぐらいの方が毎年離職されて、支援の対象になっています。
 平成二十三年度につきましては、新たに求職申し込みをされた方が百三人、それから再就職された方、これは同じ方というわけではありませんが、二十三年度に再就職された方は十一人でございます。最初からの状況でいきますと、支援期間の中で六万七千人の方が再就職したという状況でございます。
 それから、漁業離職者につきましては、最近では、平成二十一年にマグロの関係で多数の離職者が発生しまして、二十一年度から二十三年度までに二百七十七名の方が支援の対象になりまして、こちらの方は、その間で二百三十一名の方が再就職している、こういうふうな状況でございます。

○足立委員 ありがとうございます。
 その上で、今回のこの法案、私は、累次の、ずっと続いている法律なわけですが、改めてこの支援策を拝見しまして、支援の体系があるわけですが、聞き及ぶというか教えていただいたところによると、ずっとこれは変わっていないんだ、ずっとこういう体系で大体支援をしてきているんだということで教えていただいているんです。
 駐留軍と漁業にかかわるもの以外の厚生労働省の一般の離職者対策、あるいは離職者対策を講じる上での前段階あるいは後段階、要は、さまざまな措置が、私がさっき言った政策イノベーション、厚労省も累次のいろいろな制度改正で、こういった雇用保険の事業もそうだし、一般会計もそうだし、いろいろ労働省の政策もイノベートされてきているわけですね。
 この法案の措置については、特に変わっていないのか変わっているのか、ちょっとよくわかりませんが、これで十分なのかなという印象を持っています。もし、実態に即してもっと充実というかイノベートできることがあるのであれば、やったらどうかなと思うんですが、この点、いかがでしょうか。

○岡崎政府参考人 雇用政策につきましては、先生おっしゃるように、状況に応じてさまざまな対応をしてきているということであります。
 ただ、この関係につきましては、このスキームの中で、雇用保険が終わった後につきまして、職業転換給付金の給付をしながら職業訓練や職業指導をしていく。このスキーム自体は、基本的には維持した方がいいのかなというふうに思っていると。
 ただ、一方では、職業訓練の中身でありますとか就職指導のやり方等につきましては、いろいろ、最近の技法等、あるいは最近の再就職先に向けたどういう訓練がいいのか、そういったことを見ながら対応していくということでありますので、そういう状況も見ながら、工夫をしながら進めていきたいというふうに考えております。

○足立委員 ありがとうございます。
 雇用保険事業の上乗せ措置だということで、今おっしゃっていただいたと思います。そういう意味では、雇用保険のさまざまな、私が申し上げているイノベートされた制度は当然使った上で、追加措置がされているということと承りました。ありがとうございます。
 あと、時間も限られていますので、私、この法案については本当に、臨時措置を繰り返してきているので、恒久法にしたらどうかとか、二分野だけれどももうちょっと一般化したらどうかなとか、いろいろ考えたことはあるのですが、先ほど大臣からも、この背景となっている二つの事案についての御紹介もいただきまして、こういう臨時措置法という形での延長が適当かなというふうに受け取らせていただいた次第でございます。
 残る時間、きょうの質疑で、民主党の中根委員の方から産業競争力会議について質問をされ、また、大臣から御答弁をいただいたのを聞いていまして、ちょっと私もやりたいなというふうに思いまして。法案の審議ではございますが、このままではちょっと、それこそ誤解を与えかねないというふうに思っています。
 私、中根委員に別に恨みがあるわけじゃございませんが、正直、今野党でも、我が党日本維新の会や、あるいはみんなの党、あるいは民主党の方々といろいろ政策連携をしたり、また、自公、与党の皆様と連携させていただいたり、さまざまな形で政策ごとに連携をさせていただいて、日本維新の会は是々非々ということで今進めておるわけでございますが、きょうのような、先ほど中根委員からあったような御議論というか、問題の提起のされ方を伺っていると、民主党の方と連携できても一部の方かな、こういう印象を強く持ったわけでございます。
 今般、産業競争力会議で安倍総理を筆頭に取り組まれている議論、私は、とても大事な議論で、今やらなければいけない議論が網羅されている、網羅かわかりませんね、やらなければいけない議論の大事な部分がしっかりと取り上げられていると思います。例えば、先ほど大臣からも御紹介があった失業なき円滑な労働移動、本当に重要な論点だと思っております。大臣のプレゼン資料も拝見をしております。
 ただ、一点、ちょっと心配になるのは、この失業なき円滑な労働移動、雇用維持型から労働移動支援型へという議論は、実はもう、二十年前かどうかわかりませんが、十年前からあるんですね。私が役所にいたころも、隣でやっていらっしゃったのをよく覚えています。我々も、経産省も結構いろいろとウイングが広いですので、そうした労働政策についても担当者を張りつけて、経産省として協力できることはないかということで、いろいろ我々も勉強したのをよく覚えています。
 では、この雇用維持型から労働移動支援型への政策シフトということ、もう十年、二十年前から言ってきたことを、今回もまた言っているわけです。今まで言ってきたことはできていないのかな、できているのかな。この辺の実態を、これまでも同じことを言ってきた、この点について、では、一般会計、雇用保険について、そういう例えば政策資源のシフトというのは実際に起こったのか。これをぜひ教えてください。

○岡崎政府参考人 雇用政策につきましては、その時々の産業の状況、それから、その構造変化に対しましてどういう形で対応していくかということで対応してきております。
 例えば、雇用調整について、代表的には雇用調整助成金でございますが、これにつきましては、例えば、十年前とおっしゃいましたので、平成十五年度でいきますと、二百六十億の予算を立てておりました。一方で、このころは、不良債権の処理に伴います産業移動が必要ではないかというようなお話もありまして、労働移動の助成金につきましても、約百億円の予算をとっておりました。ただ、やや使われなかったところはあるんですが、そのころはそういう配分になっていた。
 最近は、リーマン・ショックを踏まえまして、相当、雇用調整助成金の方をふやしたということであります。一方で、労働移動助成金につきましては、その後の状況の中で縮小したままになってきているということであります。
 したがいまして、平成十五年当時はそうだったということ、それから、最近の雇用状況の変化、いろいろなことを考えて、先ほど大臣からもありましたけれども、雇用調整型から労働移動型へということで、雇用調整型の助成制度と労働移動型の助成制度をどういう形にしていくかということを考える必要があるかな、こういうふうに考えているところでございます。

○足立委員 ありがとうございます。
 今おっしゃった、御紹介いただいたような政策シフトというものを、やはりわかりやすく、ぜひこれから御提示をしていっていただきたいと思います。
 例えば、当時、私も自分でやっていたことなんですけれども、政策を、例えば、雇用維持型の政策も、今局長がおっしゃったように、局面においてはある程度要るわけです。雇用維持型の政策と労働移動促進型の政策と、それから能力開発みたいな、これも二つ目に入るかもしれませんが、人材育成、能力開発みたいなもの、大きく三つあるとすれば、それが、例えば、経年的にその予算規模がどういうふうにしてシフトしてきているかみたいなことを具体的に見せていけば、私のような問題意識の人間がいたときに、わかりやすくていいなと。
 実際、そのシフトを打ち出しておられるわけですから、具体的な、厚労省の政策がそういうふうにシフトしている、あるいはこうする、こうなったということをお示ししていっていただければありがたいなというふうに思っております。
 それから、先ほどの中根委員からの話で、産業競争力会議の中で、解雇絡みの金銭解決の話が出ました。
 私は、また田村大臣に僣越なことを申し上げるわけですが、やはり立法措置は要る、こう思っているんです。
 もちろん、この議論は、厚労省とされては、あくまでも失業なきということで打ち出されているわけだし、別に立法措置がなくても、判例法理があり、その積み重ねがあり、一定の助成金等での政策措置も講じておられるということでいえば、厚労省的には大体やることはやっているぞという気分もわからないではないんですが、今、産業競争力会議あるいは規制改革会議で論点提示がなされつつあるように、やはりこの分野の立法措置は私は必要だなと思っています。
 今の解雇法理は三つ問題があると思っていまして、一つは、単線的に過ぎる。単線的というのは、要すれば、解雇が無効だ、違法だとなったときに、これは解雇無効という出口しかないんですね。恐らくそうだと、基本的には解雇は無効ですという出口しかない。
 それはまさに単線的で、経済的理由による解雇について、これはいかがなものかと裁判所でなったときに、それは、例えば、解雇無効という出口もあれば、金銭解決という出口もあるような、そういう単線的でない、もうちょっと多様な出口を、解雇に係る法理について、もっとしっかりできてきたらいいな。やはり、厚生労働省が立法措置でそれをリードするということはあっていいかな。
 二点目は、やはり不明確だ。労働契約法十六条に象徴されるような、こういう規定はますますよくわからない。やはり、もっと手続規範を確立して、労使自治を重視して、もうちょっと要は予見可能性のあるような、そういう明確な解雇法理、解雇法制というものがつくられていったらいいな。
 三点目は、ちょっと厳格に過ぎる。これは、要すれば、回避努力を求めているわけですが、その回避努力の求め方がちょっときついんじゃないかなという印象。
 この三点を、私自身は持っています。
 私は、田村大臣であれば、この話は多分御理解されていると思うので、民主党のああいう質問にくじけず、立法措置も含めて、この分野についてはしっかりと検討していくということをぜひ明言いただきたいと思います。

○田村国務大臣 まず、一点目の、雇用維持型から労働移動支援型へという話の中において、実は、産業競争力会議の中でも、雇調金の使い方に比べて労働移動支援の方は少ないじゃないかというお叱りをいただきました。これは、リーマン・ショック以降、徐々に基準はもとへ戻しておるんですが、急激には戻せないということで、今、もとに戻すべく努力をしておるわけでありまして、徐々に減ってきておるわけであります。
 そこで、労働移動支援の方に大胆に使えというような御指摘もいただいております。そういう御指摘をいただきながら、我々の方でも、これは大きな方向転換でもあるわけでございまして、できる限りのことをやってまいりたいというふうに思っております。
 それから、今の部分なんですが、若干、私の認識が間違っているのかどうか、先生と合わないところなんですけれども、間違っていないと思うんですが、要は、労働契約というものは、自由な中で、解雇も当然自由な中で動いてきておる中において、権利の濫用というもの、これは厳に慎まなきゃいけないわけでありまして、その原則に基づいての、解雇権の濫用というものに対して今まで裁判所でいろいろな判決が出てきておる。その判例をもとに、労働基準法、そして今は労働契約法でありますけれども、そのような法文になってきておるわけなんですね。
 ですから、そう考えますと、それはそれなりに今までの歴史の中、歴史の中というのは、当然、時代とともに変わってきます。多分、裁判所の判決、これは私が言う話ではないのでありましょうけれども、あの中を見てみますと、いろいろと変わってきている部分もあるわけでありまして、それは実態に合わせて変わってくるんですね。
 その実態というのは、一体今どのような雇用慣行であるのか、労働の中の環境であるのかといういろいろな部分があって、それに応じて、解雇たるものがどういう条件、そういうような中においてなされるのかという話でございますので、実態が変わらないことには、法律だけつくったところで、本当に、その法律がどのように今度は裁判所の方で御判断いただくのかという話になってくるわけであります。
 まずは雇用慣行みたいなものが変わっていくかというところに資しているのではないのかなというふうに思うわけでありまして、実態が今のままで、どんな法律をつくってもなかなか難しいのではないのかなというのが、実は私の今の認識でございます。
    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕

○足立委員 保守的な御答弁かなと、ちょっと残念に思うんですが。
 しかし、田村大臣が今とても重要なことをおっしゃったと思うんです、実態に即してと。これは、私、重要だと思っていまして、労働法制は、ビジネスの実態に合ったものにすることが最も大事な観点だと思うんですね。だから、何か、実態、現場から遊離したものであっては絶対にいけない。
 しかし、例えば金銭解決なんかの話でいうと、これはもう実態がそれを求めているわけです、私の認識では。だから、大臣の御答弁はちょっと、もうちょっとやりたいなと。
 ついては、大臣、立法措置も排除しないぐらいの御答弁でぜひお願いします。

○田村国務大臣 ちょっと言葉足らずだったかもわかりません。
 要は、解雇自体が不当であるというような場合、その判断に関しての話でありまして、その後どういう解決手段があるかというのは、今までも議論がなされてまいりました。ただ、その中においてなかなか合意が得られなかったということで採用はされてこないわけでありまして、あくまでも、その後においてのいろいろな解決手段というもの、これも先ほども申し上げましたけれども、ではどちらから申し出るのかということも含めて、世界的に、一方的に事業主が申し出るということは余りないようでありますけれども、そういうことも含めて議論はすることはあるのだと思います。
 いずれにしましても、どの場面で議論をされるにしても、最終的には、これは労働政策審議会の方で御議論いただかなきゃいけないという一応決まり事でございますので、そこで議論された上で適切な判断がなされるのであろうというふうに思います。

○足立委員 ありがとうございます。
 私も、公労使の審議会が決めることだという、この労働法制の基本については十分理解しておりますし、そうでなければ逆にワークしないということですから、しっかりとこの金銭解決については大臣のリーダーシップで道を開いていただきたいと存じます。
 私がこう申し上げると、先ほどの議論じゃないですが、何かまた弱い者いじめをしているように思われるかもしれませんが、こういうビジネスの実態に即した労働法制を整備するというのは、まさに労働者を守ることにつながるんですね。この点については、根本的な認識の違いが政治家の中でもございますが、大臣からの御答弁で、田村大臣を引き続き尊敬してまいりたいなというふうに思った次第でございます。
 もう時間がございませんが、最後に一点。
 労働契約法で、先ほども言及があった有期の無期化とか、あるいは派遣法の日雇いに係る規定、これは、民主党政権時代に自公も加わって、まさに田村大臣が野党筆頭としてさばかれた法律の塊だと思います。
 私は、正直、この派遣法や労働契約法については、田村大臣あるいは自民党が、あるいは自公がしっかりと数を持っていれば、もっといいものができただろうな、やはり民主党との妥協の産物だなという印象を拭えません。お役所の皆様にお聞きすると、いや、これはこういうことでいいんですということしか答えられないんですが、私は、大臣の本音は、もうちょっとあそこはこうしたかったなということが、当然、三党調整ですから、野党筆頭としての御苦労があっただろうな、こういうふうに思います。
 ところが、今は自公政権でございますから、田村大臣の思いがしっかりと実現をしていける環境が整いつつある。参院選についてはしっかりと戦わせていただきたいと思いますが。
 大臣、ぜひ、この派遣法と契約法について、別に、改正したばかりですから、すぐにどうということはございませんが、私は、一部、例えば法律の解釈の誤解なんかも含めて、若干課題が残っているなというふうに思っています。この点、最後に御答弁をいただければと思います。

○田村国務大臣 まず、派遣法でございますが、基本的には、まず労働者をしっかり保護していかなきゃいけないというのは当たり前でありますけれども、いろいろと、製造業派遣の原則禁止の部分、登録者派遣の原則禁止の部分、いろいろな部分がありました。
 しかし、そこは、本当にそれが働く側のニーズに合っているのか、また、もちろん、雇う側のニーズに合っているのか、いろいろなことを議論しながら改正をしたわけでありますが、それでもまだ、やはりお互い、違うんですよ、我々とそれから当時の民主党さんだとかほかの政党と考え方は違うんですけれども、それぞれ違う分野から問題はあるねという認識があったものですから、研究会をつくって議論をするということで、これは附帯決議に入れまして、今現在、いろいろと議論をいただいております。
 そこで、それぞれの立場からの議論をしていただく中で、どういう形にしていくべきなのかということを考えてまいりたいというふうに思います。
 それから、労働契約法の方でございますが、こちらに関しては、やはりちょっと心配なのは、五年を超える契約で無期になるということで、その前に雇いどめ等々が起こってくるという御心配をいただいております。
 これに対して、どういうような対応をしていくべきなのかということを引き続き検討させていただきながら、問題が生じないように、最大限の努力をしてまいりたいというふうに思っております。

○足立委員 ありがとうございました。
 以上で終わりますが、本日は本当に、とかしき政務官を含めて誠実な御答弁をいただいたと思っております。本当にありがとうございました。
 また、質疑の最中、一部、一部の委員に失礼なことを申し上げたかもしれませんが、これも私の仕事でございますので、何とぞ御容赦をいただきますよう、大変ありがとうございました。

Twitterからの読者コメントをお待ちしています。
日々の活動の励みになります!
Facebookでのコメントをお待ちしています。
日々の活動の励みになります!
プロフィール
あだち康史
あだち康史
衆議院議員
衆議院議員4期、大阪9区支部長。日本維新の会憲法改正調査会長、国会議員団政務調査会長、幹事長代理、コロナ対策本部事務局長等を歴任。1965年大阪生まれ。茨木高校、京都大学、コロンビア大院。水球で国体インターハイ出場。20年余り経産省に勤務し欧州に駐在。東日本大震災を機に政治を志す。
記事URLをコピーしました