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あだち康史
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衆議院議員
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衆議院議員4期、大阪9区支部長。日本維新の会憲法改正調査会長、国会議員団政務調査会長、幹事長代理、コロナ対策本部事務局長等を歴任。1965年大阪生まれ。茨木高校、京都大学、コロンビア大院。水球で国体インターハイ出場。20年余り経産省に勤務し欧州に駐在。東日本大震災を機に政治を志す。
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あだち康史のコラム column

藤井氏が喧伝する「大阪がダメになる」理由のお粗末さ ― 国交省都市局長もダメ出しする藤井氏の「都市計画」論 ―

足立 康史

1.「都市計画」に係る記事の悪質さ

京都大学大学院教授の肩書で「正義のミカタ」(ABC)レギュラーコメンテーター等として大阪都構想の批判を続ける藤井氏が、先週3月17日火曜日に“「都構想」で大阪はダメになる”と題する投稿記事をネット等で公開しました。

藤井氏の言動に対しては、これまでも、彼が京大教授を名乗っていることに伴う(使用者としての)京都大学の当事者性、統一選及び住民投票を前にした放送事業者の公正性に係る課題等が指摘され、維新の党の幹事長名で是正等を求めてきているところです。

しかしながら、今回の投稿記事は特に悪質であり、絶対に看過することができません。それは、当該記事が藤井氏の専門分野である「都市計画」に係る記事であるため、今まで等閑に付してきた読者にあっても、その専門性の装い故に、受け入れてしまう可能性が否定できない、と思うからです。

 

2.都市局長もダメ出しする藤井氏の主張

そこで、3日後の20日金曜日に開催された衆議院国土交通委員会の大臣所信質疑において、私から国土交通省の小関都市局長に、藤井氏が「大阪がダメになる理由」として挙げている3点について意見を聞いてみました。(動画

小関局長は名実ともに日本の都市計画行政のトップであり、その専門家としての意見を明らかにしていただくことは、大阪都構想の基礎となっている大都市法を成立させた国会の責務でもあると考えたからです。

 

理由1.都市住民が「都市計画の権限」を奪われる
→ 地域全体、都市構造全体として望ましい都市の姿を描くことが都市計画の使命!

大阪がダメになる第一の理由として藤井氏は、「大阪府民の内、大阪市民は、たった3割しかいない」ため、「大阪市議会なら「GO」を出していたまちづくり案件でも、大阪府議会なら「NO」という判断が下される」(だから大阪市を残すべき)と主張しています。

これに対する小関局長のコメントは明快で、「都心部に関する都市計画決定を道府県と政令市のいずれが行う場合であっても、都心部を含めた地域全体として望ましい都市の姿を描くことが都市計画を運用する上で重要である」と答弁されました。

私から、重ねて「そもそも大都市というのは、中心部と郊外部がそれぞれシナジーで、中心部は中心部だけで発展しているわけではない、郊外も郊外だけで存立しているわけではない、相互に影響しながら大都市というものは発展していく」旨の指摘を申し上げたところ、局長からは、「地域全体、都市構造全体を考えて適切な都市計画をするということが重要であるというのはそのとおりでございます」と賛同いただいた次第です。

そもそも藤井氏は、現在の大阪全体の経済実態に無頓着極まりなく、“大阪市民=都市住民”という時代錯誤としか言いようのない間違った前提に立っています。

百歩譲って、仮に(藤井氏が主張するように)、大阪市長や大阪市議会が、「(都市局長が求めているような)(郊外部を含めた)地域全体として望ましい都市の姿を描くこと」や「都市構造全体を考えて適切な都市計画をする」ことができず、大阪府議会が「NO」と判断するような都市計画しか作れないのであれば、それがそのまま大阪府市の統合=「大阪都構想」の必要性を示唆して余りある、そう感じるのは私だけではないでしょう。

大阪府市に二重行政が蔓延ってきた現実を踏まえると、おそらく、大阪府議会議員よりも格うえだと嘯いて憚らない大阪市議会議員が、(藤井氏が指摘するように)(地域全体として望ましくない、現実の都市構造を踏まえない、そして不適切な)都市計画に「GO」を出してきたのが、大阪の二重行政の歴史なのです。

 

理由2.「都市計画の手続き」が煩雑化し、遅延する
→ 政令市でも都制でも(関係者が)調整、連携し都市計画を決定することに変わりなし!

大阪がダメになる第二の理由として藤井氏は、「大阪市は自前の審議会を開いて、速いスピードで自前で決めていくことができる。その際、大阪市は多くの案件について、大阪府に一つ一つ「お伺い」を立てる必要はない」が、「都構想が実現し、大阪府と地元の特別区がまちづくりに関わるようになれば、関係者(=ステークホルダー)が増え、その合意の形成が煩雑になってしまい、様々なまちづくりが、「頓挫」してしまう」と主張しています。

これに対しても、小関局長は「現行でも、政令市が都市計画決定をする際には、道府県への協議または意見聴取が行われておりまして、両者でよく調整、連携して行われている」のであり、「(関係者が)調整、連携し合って都市計画を決定するものであることに(政令市でも都制でも)変わりはない」と一蹴しています。

百歩譲って、仮に(藤井氏が主張するように)、大阪市が都市計画決定をする際に、大阪府への協議または意見聴取を丁寧に行うことなく、地域全体の合意形成に努めることもなかったのであれば、それこそ「都市計画」のあるべき姿に反しており、「大阪都構想」が必要となった元凶そのものであると断じざるを得ません。

この点でも、第一の点と同じように、藤井氏の主張がそのまま大阪府市の統合=「大阪都構想」が必要である証左になると指摘せざるを得ないわけです。

これまでの大阪市議会は、都市の拡大や都市構造の変化に応じて自らの役割を再定義することを怠り、大阪府と連携協力して全体最適な都市計画を実現することに失敗してきたのです。

私たちの大阪都構想においては、現場に近い基礎自治体と広域自治体との役割分担を明確にしていますので、大阪都と特別区との間の連携協力の取り組みについても、(藤井氏が主張するような)煩雑で面倒な手続きとしてではなく、都心部と郊外部が全体として豊かに発展していくための創造的な営みとして位置付けているのです。

 

理由3.大阪における「都市計画の技術力」の弱体化
→ 事務の内容や分量に見合った執行体制を整備すること等により適切な事務執行を継続!

大阪がダメになる第三の理由として藤井氏は、「(都心部に係る)都市計画の技術力やノウハウは、大阪市にはあっても府には」ないため、「市が解体され、府が都市計画を行うようになっても、一朝一夕に府がそれを担うことができるとは考えがたい」と主張しています。

これについて小関局長は、「これまで政令市において行っていた都市計画に係る事務の一部が、特別区設置後に都において行うこととなった場合は、事務の内容や分量に見合った適切な執行体制を整備すること等によって、適切な事務執行が継続される」と答弁されました。

当たり前です。大阪府市を大阪都として再編するに当たっては、あらゆる行政分野で当該事務の執行体制を再編するのであり、都市計画行政の執行体制についても例外ではありません。

藤井氏は、そうした執行体制の再編が「一朝一夕に」「できるとは考えがたい」と言っているようですが、余計なお世話です。

都制移行に伴う執行体制の整備が「一朝一夕に」できるはずもなければ、する必要もありません。だからこそ私たちも、都制移行の期日を2017年4月とし、2年間に及ぶ準備期間を設けているのです。

安全地帯で論評するだけの二流学者に言われたくない、というのが私たちの率直な感想なのです。

 

3.大都市としての大阪再生こそ維新の使命

以上、藤井氏が挙げている「大阪がダメになる理由」3つのお粗末さを、国土交通省の都市局長の答弁も引用しながら紹介しました。

要すれば、行政の仕組みが政令市から特別区に変わっても、「(郊外部を含めた)地域全体として望ましい都市の姿を描くこと」や「都市構造全体を考えて適切な都市計画をする」ことは、都心部選出の府議会議員にとっても、郊外部選出の府議会議員にとっても、共有すべき共通の目標なのです。

更に言えば、そのために政党があるのです。自分の議席を守ることにしか関心のない、選挙区に利益誘導することが仕事だと勘違いしている自分党の議員たちには分からないかもしれませんが、彼らこそ、大阪が停滞してきた元凶であり、大阪維新の会が結成された背景でもあるのです。

大阪維新の会は、大阪を再生するために結成された覚悟の政治家集団です。いま大阪に必要なのは、新しいタイプの政党であり、議会議員であり、行政機構なのです。

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