○森会長 次に、足立康史君。

○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
 議題に沿って、憲法第一章の規定について意見を申し述べます。
 我が国において天皇に関する規定が近代憲法に定められてから、長い時間が経過しました。大日本帝国憲法制定から約百三十年、日本国憲法制定から七十年となりますが、日本の皇室は、そうした近代憲法よりもはるかに長い歴史と伝統に根差したものとして、日本国民に受け入れられており、国際社会における我が国のアイデンティティーの根幹をなしております。このため、どれほど時間がたっても、変えるべきでない部分があることは当然です。
 一方で、皇室が安定した形で継続するために、時代の変化に応じて変える必要が生じるならば、議論をタブー視すべきではありません。我が党は、日本国憲法の定める象徴天皇制を堅持すべきと考えており、その安定的な継続のために必要な議論があれば、しっかり行うべきと考えています。
 しかしながら、皇室典範の改正はあり得ても、天皇について規定する憲法一条から八条については、現状において、憲法を改正するべき立法事実、すなわち憲法事実は存在しないと考えています。
 にもかかわらず、本日のテーマ、第一章は、憲法審査会の幹事懇で合意されてきた今後議論すべきテーマ八項目に含まれていないにもかかわらず、民進党のたっての要請からセットされました。民進党は、憲法一条から八条の規定について、改正するべき立法事実、すなわち憲法事実があるとお考えなのでしょうか。
 かつて、民進党の辻元清美委員は、私は今護憲派と言われているわけですが、本当のことを言えば一条から八条は要らないと思っています、天皇制を廃止しろとずっと言っていますと発言されたと報じられています。
 また、辻元委員は、かつて著書に、皇室について、「生理的にいやだと思わない? ああいう人達というか、ああいうシステム、ああいう一族がいる近くで空気を吸いたくない」と書いておられます。
 蓮舫代表の安倍首相と同じ空気を吸うのがつらい発言も、この辻元発言と同根なのかもしれませんが、こうした発言を繰り返す辻元清美氏が、憲法遵守義務のある国会議員となった後も、何の弁明もなく長年にわたって憲法審査会の幹事として要職にあることは、私は適当ではないと考えています。
 まさか、民進党が党として辻元委員と同じ考えであるとは思いませんが、民進党を代表する武正筆頭、辻元幹事は、辻元発言について必要な弁明を行うとともに、民進党が憲法審査会で第一章をあえて取り上げ、何を議論しようとしているのか、明確に説明する義務があると考えます。
 同じことは、共産党についても言えます。
 共産党は、二〇〇四年、綱領において、「天皇の制度は憲法上の制度であり、その存廃は、将来、情勢が熟したときに、国民の総意によって解決されるべきものである。」としつつ、「一人の個人が世襲で「国民統合」の象徴となるという現制度は、民主主義および人間の平等の原則と両立するものではなく、国民主権の原則の首尾一貫した展開のためには、民主共和制の政治体制の実現をはかるべきだ」との立場を明らかにしています。
 二〇一二年一月には、共産党本部で開催された綱領教室で、日本の将来の発展の方向としては、天皇の制度のない、民主共和制を目標とすると述べたと報じられているとおりです。
 さて、皇室に係る憲法上の規定については以上のように考えておりますが、皇室典範に定める皇位継承のあり方については課題があるものと承知しており、必要な議論等は行うべきとの立場です。
 課題の一つは、超高齢化社会における皇位継承のあり方であります。これは、今般成立の天皇退位特例法によって一定の解決がなされようとしているものです。もう一つは、皇族の減少に伴う諸問題であり、今後の議論が必要なものです。
 天皇陛下が御在位のまま御高齢になられた場合の皇位継承のあり方は、超高齢社会の現代では当然想定しておくべきことです。皇位継承の原因を崩御に限るか否かという問題は、戦後間もなく現行の皇室典範を制定する際にも検討され、結果として否定されたとのことでありますが、当時にあっては、高齢化社会の諸課題が今ほど現実的で切実な問題ではなかったためかもしれません。しかし、天皇陛下が御公務を果たし得ず、国民との接点もない状態が長時間続く場合でも、常に終身在位制とするべきでしょうか。
 この問題につき、昨年八月八日の天皇陛下のお言葉で重い問いかけがなされました。陛下のお言葉を契機に、譲位を認めるべきという現代の日本国民の意思も明らかとなり、これを可能とするため、天皇退位特例法がつくられました。
 この法律は、皇室典範と一体をなす特例法となっているので、皇位継承を皇室典範で定めるとする憲法二条に反しないと考えますし、立法の経緯からいって、天皇の政治的行為を禁じる憲法四条にも違反しないと考えています。
 この特例法は、形式は一代限りの特例法となっていますが、皇室典範と一体をなすものとして、今後の皇位継承に当たって事実上の規範として機能するべきものと考えます。さきに述べたとおり、超高齢社会の現代にあっては、譲位による皇位継承がしばしば起きる可能性もあります。そうした事態を政府も国会も想定しておくべきであり、この特例法が今後の重要な規範となるべきであります。
 二つ目の課題は、皇族数の減少に伴う諸問題であります。
 高齢化や女性皇族の御結婚に伴う皇籍離脱によって、皇室の御公務の維持や皇位継承資格者の確保が難しくなることが考えられます。我が党は、この点について、国会で早急に協議する場を設けるべきことを主張しております。
 天皇退位特例法の附帯決議には、女性宮家の創設に関する検討が明記されました。我が党は、女性宮家については、これまでも議論しておらず、賛成とも反対とも決めておりません。今後、党内で議論してまいります。政府は、女性宮家の創設について、公務負担軽減のみを目的として検討し、皇位継承の問題と切り離すとのことでありますが、我が党も理解をいたします。
 天皇退位特例法の附帯決議に関する協議において、我が党は、当初、皇族数の減少への対策として、一つの選択肢だけが明記されるべきではないとの理由から、女性宮家という文言のない案を提案しました。しかし、立法府の総意として特例法による譲位を実現しようとするに当たり、各党各会派がまとまることを前提に、女性宮家の文言を入れることに理解を示したものであります。
 問題は、今後、安定的な皇位継承のあり方について、どのような議論を進めるかです。特に、女系・女性天皇の是非は極めて重要な問題でありますので、国として検討を始めるのであれば、慎重な国民的議論が必要であります。冒頭に述べたとおり、皇室に係る制度は、長い歴史と伝統に基づくものであります。これまで続いてきた男系による皇位継承を軽々にゆるがせにするような検討の仕方は避けるべきであります。
 現行の皇室典範制定の際にも、女性の皇位継承者を認めるかが議論され、否定されたという経緯もあります。皇族数の減少に関する対応は、さまざまな面から長所と短所を冷静に比較検討すべきであると申し上げ、私の発言とさせていただきます。
 ありがとうございました。