○森会長 次に、足立康史君。

○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
 我が党は既に、昨年三月に憲法改正原案を公表させていただいています。その中で、憲法裁判所、それから統治機構改革に加えて教育無償化の提案をさせていただいていますので、本日は、本日のテーマのうち教育無償化に絞って、限られた時間でございますので、質問させていただきます。したがって、小林参考人中心になりますが、他の三人の参考人の皆様には御理解をいただければと思います。
 まず、ちょっと入り口のところで、後藤委員が、きょう、小林先生の御説明を伺って、憲法に教育無償化を規定することにネガティブでいらっしゃると理解したような御発言がありましたが、先ほど繰り返しおっしゃったように、憲法に規定すること自体の賛否ではなくて、むしろ教育無償化自体の困難性について御説明いただいた、こう理解をしています。
 それはそういうことでよろしいかどうか、一言で結構です。

○小林参考人 私は、先ほど申し上げましたように、学生への経済的支援ということで、特に奨学金中心にやってきたわけでありまして、それについては外国の調査も多く行っております。
 この二月にフランスに、国民教育省にその調査に参りましたときに、なぜこういうことをするのかということをお聞きしました。それから、日本では進学する人としない人の格差が問題になっている、特に、経済的な支援を受けられない人、先ほど申し上げましたけれども、そういうことが起きていることが問題になっているということを申し上げましたけれども、そのとき、フランスの国民教育省では、これは正義の問題である、国の、国家の責務であるということを明確に言われました。
 ただ、日本がここまでそういう形で言えるかということについて、私はかなり疑問を持っているわけであります。それはどうしてかというと、先ほど来申し上げておりますように、世論は、教育は家族の責任である、したがって教育費も家族が出すべきだという考え方に基づいているということがあります。
 一つの例を申し上げますと、きょうは幾つかの調査結果を申し上げましたが、現在、孫への相続税を、教育用に充てますと控除になるという制度がございます。これが現在約一兆円規模です。
 ですから、それだけ孫へは出す、しかし税金としては納めたくないというのがまだ多くの国民の声でありますので、そこを変えていかない限り、どうしようもないのではないかというふうに思っております。

○足立委員 ありがとうございます。
 中身をちょっと順番に、きょういただいた御説明に沿って、幾つか御質問させていただきます。
 まず、いただいた資料の四ページに、三つの主義ということで、大体、各国の位置づけを御説明いただきました。日本が親負担から本人負担の方に、若干の矢印を書いていただいています。
 私、そういう現状にあるとは思いますが、これは日本が、あるいは国民が個人主義を積極的に選びとって矢印ができているというよりは、家族主義が壊れていく中でやむを得ず個人がそういう負担を背負っている、個人が背負うようになってしまっている、現状はそういうことだ、こう理解していますが、御認識はいかがでしょうか。

○小林参考人 ありがとうございます。
 これはおっしゃるとおりで、やむを得なくという面がかなりございます。
 それは、やはり公財政が逼迫していく、オーストラリアとか一部の国を除いてほとんど公財政が逼迫しておりますし、中国においても、現在、高等教育が非常に拡大しておりますので十分にその手当てができないというようなことで、かなりローンを入れているというような状況があります。
 なかなか理解しがたいことかもしれませんけれども、実は、ローンというのは親負担から子負担への移転なわけですね。将来、子供が払っていくという意味では、子負担に移転しているということでありまして、これは世界的な傾向でありますので、足立先生がおっしゃるように、これはむしろやむを得ない結果だというふうに考えております。

○足立委員 次に、このまさに同じ図で、上のスウェーデンを初めとする北欧、ドイツ、フランス等が福祉国家主義の傾向、位置づけ、カテゴリーになるという御説明がありましたが、私たち、教育無償化を提案している日本維新の会としては、日本が福祉国家主義になるべきだとは思っていません、全体として。
 例えば、医療、介護、年金、こうしたものは、まさに保険事故を念頭に、保険的性格は維持した方がいい、年金についてはいろいろ議論がありますが、そう思っています。ただ、そういう社会保険制度を支えていくためにも、経済成長、子供の貧困対策あるいは少子化対策、これが必要だという考え方から教育の無償化を提案しているということを、ちょっとこれは補足的に当方の考え方として御紹介を申し上げておきたいと思います。
 それから、クリアすべき課題がたくさんあります。
 先ほど小林先生の方から、親世代が子、孫の世代に教育費として移転している、控除の規模として一兆円とおっしゃったかな、御紹介がありました。まさに今回クリアすべき課題のところの一つに、実は先生の方から逆進的再配分になるんじゃないかという論点提起がございましたが、仮に財源を高齢世代、特に資産形成に成功された方々の高齢世代に財源、税源を求めると考えれば、これは大変日本として問題になっている世代間格差の解消にもつながるので、先ほどおっしゃった一兆円の資産移転を、自分の子供、自分のお孫さんに限らず、広く子供世代、孫世代に、資産形成に成功された部分の一部を社会的に提供いただく、お願いするということは私はあり得ると思いますが、その点いかがでしょうか。

○小林参考人 この点につきましては、スライドの二十八に、教育による所得再分配について少し御紹介させていただいております。
 時間の関係で紹介できませんでしたが、これは有名な論争がありまして、一九六〇年代のアメリカで提起された問題で、公立大学が非常にその当時授業料が安かったために、進学しない人との間で格差があるのではないかという議論がありました。それに対してアメリカでは活発な論争が繰り広げられまして、そこに反論として書きましたように、高所得者は累進的な税も多く払っているとか外部効果があるとかいろいろなことが言われまして、現在でもこの論争は五十年たっても決着しておりません、それは外部効果の測定が難しいというのが一番の理由なんですけれども。
 そういったこともありまして、こういったことを十分に考えなければいけないということでありまして、高齢者あるいは高所得層から税を取るというような仕組みをつくっておけばこの問題はクリアできるというのは、足立先生の御指摘のとおりだと思います。

○足立委員 ありがとうございます。
 次に、同じ十四ページの、クリアすべき課題のもう一つとして、放棄所得の御指摘をいただいています。
 これは、だから財源がたくさん要るんだよという御指摘なんですけれども、逆に言うと、大学進学の問題を個人で乗り越えるということは、さらに、みんなが思っている以上にこれは難しいハードルなんだということを示していると私は理解をしますし、逆に言うと、高所得層であっても進学をすればそれだけの放棄所得があるわけでありますので、必ずしもこの点は、クリアすべき課題というよりは、無償化をしなければならない理由の一つにもなり得る、こう思いますが、いかがでしょうか。

○小林参考人 これは全く制度設計の問題だと思います。
 放棄所得についてはスライドの三十四に示してありますが、一般にはこれは学費とはみなされていないわけでありまして、三十三の方が学費なんですが、これは日本は国際的に見て非常に高いわけでありますけれども、それ以外に放棄所得というものも考えなければいけないということを申し上げたわけであります。
 例えば、教育が無償になりますと、奨学金とかは生活費の援助になる、あるいは放棄所得の援助になりますから、性格が変わるわけですね。ですから、必ずしも矛盾した議論にはならないと思います。制度設計のあり方だと思います。

○足立委員 ありがとうございます。
 質問を五月雨式に申し上げて恐縮ですが、たくさん伺いたいことがありまして。
 それから、クリアすべき課題のもう一つ、次のページに、現状固定化というイメージですね。
 大学はいろいろ問題が多い、これを固定化するんじゃないかという議論がありますが、我々、無償化にも、これはもう仕組みの問題で、機関にお金を投げるんじゃなくて、利用者にお金を投げれば、これはむしろ質の低い機関は淘汰されていくと。
 大阪で実際に高等教育の、私立も含めた無償化をやっているのは、公立と私立の線引きも超えた競争をむしろ促して、切磋琢磨を促す、そして、それぞれの教育機関が質を高めるインセンティブを与えるという趣旨で実は大阪は取り組んでいまして、無償化イコール固定化ではないと私は思いますが、いかがでしょうか。

○小林参考人 これもいろいろ検討しなければいけない問題が入っておると思います。一つの可能性として申し上げたのでありまして、さらに詳しく検討しなければならないと思います。
 今、個人補助の問題というふうな形でおっしゃったと思いますけれども、教育に対する公的負担は、今回は詳しくは申し述べませんでしたけれども、機関補助と個人補助という形態があるわけでありまして、機関補助が国立大学への運営費交付金でありますとか私学助成になっているわけでありまして、それ以外に給付型奨学金のような個人補助と、両方の組み合わせがあるわけであります。これは、どこの国でも、どちらかだけでやっているという国は余りないわけでありまして、この二つをどういうふうに組み合わせるかということが一番焦点になるわけですね。
 ですから、これから、これもやはり具体的に制度設計をどのように考えていくか、よりよいあり方がどうかということを考えていくということが必要だろうというふうに思っております。

○足立委員 御質問としては最後にいたしたいと思いますが、二百十億円の給付型奨学金ができた、これは本当にすばらしい、先生も御努力いただいた成果だと思いますが、まさに桁が一つというより私は二つ足りないと思っていまして、国会でゼロを、桁を一つ、二つふやしていくのは、私は不可能だと思っています。
 きょう聞いていただいても、民進党も、もう出席率も悪い状況ですから、したがって、やはり国会が、特に、シルバー民主主義と言われるような中で現役層から高齢層に税源をぐっと動かしていくというのは、これは大変な政治エネルギーがあります。そういう政治エネルギーでは七十年間できてこなかったこの教育の分野の構造改革を、むしろ国民の手で、国民投票にかけて、国民が政府を縛る形でやるのが私は憲法改正の意味だと思っています。
 きょう御懸念を示された、では否決されたらどうするんだという問題は、実は九条についても同じことが言われています。自衛隊を書こうといって否決されたら、これは自衛隊を否定することになるのかといった議論も一部にはございます。
 したがって、私は、憲法改正とは何だ、これは国民が政府を縛るんだという趣旨からいえば、むしろこれは、法律論では無理で、憲法改正こそ唯一の道である、こう主張しますが、一定の御理解をいただけますかどうか、ちょっと所感をいただければと思います。

○小林参考人 きょういろいろ申し上げましたけれども、私の方では、考えなければいけない問題が非常にたくさんあるということを申し上げたかったわけであります。
 一つの方向性として、教育の無償化というのは、目標として置くということは非常に賛成であります。ただ、それを憲法に書いたときにどういうことになるかということは、これからいろいろ考えていかなければいけないというふうに考えておりますので、現在ではその点については判断はできないというふうに考えております。

○足立委員 参考人の先生方、ありがとうございました。