1.”猿芝居の大道具”になり果てた不信任決議案

昨夜(11月27日夜)、外国人労働者の受け入れを拡大するための入管法(出入国管理及び難民認定法)改正案が、ムダに長い本会議を経て、自民公明そして維新の賛成多数で可決し参院に送付されました。国会審議を「ムダに長い」と揶揄するのは不謹慎とお叱りを受けるかもしれませんが、国会を混乱に陥れるため、時間を稼ぐため、そして政策論争を避けるために提出される決議案の処理に時間をかけるのは、明らかに時間のムダです。

もちろん、委員長の解任や大臣の不信任、内閣不信任等に係る決議案の提出を、すべて否定するるもりはありません。しかし、そうした攻撃的な決議案は、政策論議の基盤である政党間の信頼関係を破壊する“最終兵器”であり、いったん使ってしまえば終わりです。つまり、それ以降、建設的な議論は出来なくなります。今回の入管法の審議においても、法務委員長の解任決議案が提出された11月20日をもって野党6会派は政策論議の土俵から降りてしまったのです。

維新を除く野党六会派は、そうした“最終兵器”を乱発します。特に、立憲民主党が誕生し野党国対のトップに辻元清美氏が就任して以降、そうした傾向が強まっています。先の通常国会においても、予算委員長解任決議案、経済再生大臣不信任決議案、厚労委員長解任決議案、厚労大臣不信任決議案、内閣委員長解任決議案、国交大臣不信任決議案、議運委員長解任決議案、そして内閣不信任決議案と、本来、使っては元も子もない“最終兵器”を打ちまくりました。

使っては元も子もない“最終兵器”を打ちまくると、政府与党に再考を促す“抑止力”といった大切な機能を失い、単なる国民にアピールするための“猿芝居の大道具”になり果ててしまいます。昨日のの法務大臣不信任決議案も、一昨日26日に野党6会派が連名で大島理森衆議院議長宛てに提出した「申入れ」も、単なる“大道具”でしかなく、大島議長が「委員会の運営は委員会に委ねる」と“一蹴”されたのは“ご見識”であると敬意を表したいと存じます。

2.繰り返される“ブーメラン”と立憲民主党の“ご都合主義”

もともと民主党に所属し一時は政権を担ったはずの立憲民主、国民民主、そして無所属の会は、共産党と連名で、入管法審議に関する「見解」なる文書を公表しました。この文書において、当該4会派は、入管法改正案について、省令への委任事項が多過ぎる、憲法違反だ、と主張していますが、そんなことを言うのであれば、民主党政権時代に外国人の健康保険への加入要件を厚生労働省令で緩和したのも、憲法違反ということになります。完全に、憲法違反の“ブーメラン”です。

同見解は、法務省が用意した資料の不備をあげつらいますが、蓮舫氏の一件で注目されたように、国会質問の事前通告で問い合わせを「不可」とするなど役所のミスを誘発しているのは、他ならぬ野党ではないでしょうか。いまの野党は、霞が関の官僚たちを、これでもか、というくらい徹底的に苛め抜いた上で、少しミスをすると、それをマスコミの前であげつらう。本当に国益を毀損する悪行であると断じざるを得ません。

また、立憲民主党は、この機に乗じて「技能実習制度の廃止」を打ち出されていますが、技能実習の在留資格を創設した2009年=政権交代直前の入管法改正案には当時の民主党も“賛成”し、政権交代後の三年三か月の間、一度も入管法に手を加えることはありませんでした。自分たちが権力を掌握している時には何もせず、自公政権が動き出したら文句だけ言う。国民が立憲民主党に抱く違和感は、当に、こうした“ご都合主義”にあるのではないでしょうか。

3.入管法改正案の何が“問題”なのか

もちろん、政府与党の入管法改正案にも問題はあります。私たち維新は、グローバル化する世界の中で日本の強い経済と社会を維持していくためには外国人材を積極的に活用すべきと考えていますが、それにはマイナンバーカードを通じた在留管理の徹底した強化が条件になります。ところが、政府与党は、労働者が不足するから外国人の受け入れを拡大するという“受け身”の姿勢であり、在留管理のツールは旧態依然としたまま、受け入れ見込み数も関係府省に丸投げ、です。

数えきれない失踪者を生み出してきた現在の技能実習制度を作ったのは自民党政権です。同じ自民党政権が新しい在留資格を創設しても、問題は拡大するだけで何も解決しません。だからこそ、私たち維新の会が、自民党の中からは“逆立ち”しても出てこない、在留管理を抜本的に強化できる具体的な提案をし、野党が“猿芝居”に興じているのを横目に、法案の公布後速やかにマイナンバーカード活用の検討を開始すること等を内容とする修正を与党に飲ませたのです。

そして、一番大切なのは、外国人の受け入れ規模です。本来、日本の人口規模をどうするのか、そのうち外国人の割合はどの程度が望ましいのか、国家ビジョンを示し、広範な国民の理解を求めるべきなのに、自公政権は各府省に丸投げし、財界の求めるままに、野放図に外国人を受け入れようとしています。これでは絶対に禍根を残します。法律の見直し時期を3年後から2年度に前倒ししましたので、東京オリパラと並行して見直し作業を行ってまいります。

4.”猿芝居”の元凶は辻元清美氏と自民党

私たちは、国会を混乱に陥れるために、政策論争を避けるために、毎度毎度、解任や不信任に係る決議案を提出する手法には反対です。そうした手法は、かつて「55年体制」と呼ばれた時代に、社会党が使った古い手法です。当時は、選挙制度も中選挙区制であり、国際的にも米ソ冷戦下という特殊な時代でしたから、まだ許せます。しかし、いまの日本は、人口の減少と安全保障環境の変化という「内憂外患」に直面しています。55年体制下の社会党と同じような、“猿芝居”にうつつを抜かしている暇など、ないはずです。

ところが、政府与党と土井チルドレンの一人である辻元清美氏が率いる野党第一党立憲民主党は、万年与党と万年野党という居心地のいい役割分担の下、“猿芝居”に興じるばかりです。立憲民主党は国会では政府与党に徹底抗戦しているように見せかけながら、赤坂の夜の街では、仲睦まじく祝杯を挙げているのです。今夜も、辻元清美氏のパーティが憲政記念館で開かれますが、与党の重鎮たちが駆け付けること間違いありません。

野党6会派は、入管法改正案の採決を遅らせて審議時間を確保すべきと強硬に主張していましたが、七百人を超える衆議院議員の中で昨夜のうちに審議を終わらせたかった最たる人物は、実は、安倍総理でもなく、山下法務大臣でもなく、政治資金パーティを予定し与党の政治家を多数招待している辻元清美氏だったのです。辻元氏が野党6党の同僚を裏切ってまで与党の重鎮に媚を売る理由は報道の通り、説明するまでもありません。