1.両院議員総会で賛否を決した日本維新の会

「特定秘密保護法案」の採決が参議院特別委で強行された今日、12月5日の午後4時、国会議事堂の二階、日本維新の会の控室に所属国会議員が勢ぞろいした。かねてから議論を続けてきたものの党内の賛否が拮抗し結論が得られていなかった、原発輸出の基礎となるトルコやUAEとの「原子力協定」の取り扱いについて、党の最高意思決定機関である両院議員総会で決しようというのだ。

維新の会は、国政に進出する前、地域政党「大阪維新の会」の時代から、1)徹底的に議論を尽くし、その上で、2)結論は多数決で決し、3)決したからには一致結束して従う、こうした「決める」ための党内の仕組み(=ガバナンス)にこだわってきた。民主党の失敗に学んだところもあったし、古い自民党が、いわゆる「一任」方式によって意見の違いを“見えなく”してきたのとは大違いだ。簡単なようだが、個々の議員には相当な「覚悟」が要る。

そして、党内屈指の原発推進派である(と自認している)私は、“にもかかわらず”、今夕の両院議員総会で原子力協定に「反対」票を投じた。そして、採決の結果は、対トルコが25対33で「反対」、対UAEも僅差だが28対31で「反対」となった。私一人が賛成しても結果は変わらなかったが、加えてもう一人の反対者が賛成票を投じていれば、対UAEは30対29と逆転したわけであり、その責任の重さに、改めて襟を正さずにはおれない。

2.維新の会が原子力協定に反対する理由

では、原発推進派である私まで含めて、なぜ「原子力協定」に反対したのか。それは、いまの政権に原発推進に必要な「覚悟」と「決意」が全く足りないからだ。私は、政府が原発を“推進し過ぎている”と考えているのではなく、“推進し足りない”“推進するに必要な「覚悟」が足りない”と深く憂慮してきた。福島第一原発事故という未曾有のシビア・アクシデントを経験した日本において、引き続き原発を推進するのであれば、政府には、従来よりも強力な原子力へのコミットメントが求められる。

昨年12月、ちょうど一年前の総選挙で当選させていただいてから再三再四、私が訴えてきたのも、この点だった。日本政府は、福島第一原発事故により突き付けられた三つの課題のうち、第一の課題、つまり原子力安全規制の再構築については、本年7月に原子力規制委員会を発足させるなど、何とか成し遂げつつあるが、原子力損害賠償責任法等の見直しは検討も始まっていないし、そもそも福島第一原発は、収束どころか汚染水問題が深刻化する一方である。

原子力損害賠償責任法は、原賠制度における国の責任を規定するものだが、福島第一事故で改めて、その曖昧さ、不十分さが明らかとなった。そこで、大震災の年の8月に成立した原子力損害賠償支援機構法(=東電を資金援助するための特別法)の附則において、原賠制度に加え原発事故の収束等に係る国の関与と責任について1年を目途に見直すこととされたにもかかわらず、未だ検討さえも始まっていないのだ。福島第一原発についても、政府は「前面に出る」と言いつつ、未だに東電の後ろに隠れたままで、国費についても研究開発費に限定し、その枠から一歩も出てこないのが現状である。

3.30年代までに「フェードアウト」の意味

初めて衆参の国政選挙に臨むにあたって、日本維新の会がその公約に、既設の原発について「30年代までにフェードアウトする」と明記してきたのも、そうした考えからだった。橋下徹共同代表も、常々この公約には二つの意味があると指摘し、第一の「意識的にフェードアウトさせる」という意味よりも、第二の「フェードアウトするのは避けられないから、それに備えねばならない」という意味が大事だと強調してこられた。

私自身は、橋下市長よりも諦めが悪いので、この一年間、それでも未だ可能性はある、政府が覚悟を決めれば未だ原子力を維持する道はある、と、これまで以上に原子力に対する強力なコミットメントを形にしていくことを、衆議院の予算委員会や原子力問題調査特別委員会、更には東日本大震災復興特別委員会などの場を通じて政府に求めてきたが、そうした私の期待・希望は、誠に残念ながら、裏切られ続けてきてきた、と言わざるをえない。

国会審議の中で一番違和感があったのは、関西地域にも影響の大きい敦賀原発(福井県)の廃炉を巡る日本原子力発電(日本原電)の態度だった。敦賀原発については、本年5月に原子力規制委員会が2号機直下の破砕帯が活断層であると認定したにもかかわらず、日本原電の反論を受けて、未だに廃炉の決定はなされていない。民間企業の経営判断に任せていたら、いつまでも廃炉の決定は将来に繰り延べられていく。当たり前のことなのに、これについても政府は、一義的には日本原電の判断であるとの姿勢を崩さないのだ。

4.腰砕けの政府に原子力を推進する資格なし

こうした深刻な状況に加えて、私が改めて政府与党の政権運営について、不甲斐なく、情けなく、そして一人の国会議員として忸怩たる、残念な思いをしたのは、政府与党が、(今夜の参議院特別委で強行採決した)「特定秘密保護法案」を扱う特別委員会の審議を優先させ、トルコ等との「原子力協定」の臨時国会での締結承認を見送ったことだ。

私の感覚では、本当に緊急性があるのは、自民党政権が何十年も放置してきた秘密保護法制、つまり特定秘密保護法案の強行採決ではなく、アベノミクスの第三の矢=成長戦略の柱である原発輸出を軌道に乗せることだ。特にトルコに対しては、安倍首相が今年に入って2度も訪問するなど力を入れてきたはずで、トルコのエルドアン首相が訪日する年明け1月までに国会承認を済ませることは、まさに国益に直結する最重要案件だった。

政府は、加えて、本日開催された有識者会議で、これまで半世紀以上にわたって司令塔として原子力を推進してきた「原子力委員会」の役割を改め、省庁を超えた重要課題の解決に絞って取り組む組織に縮小、委員の数もこれまでの5人から3人に減らす案をまとめたという。繰り返しになるが、政府が仮に原子力エネルギーの利用を続けるのであれば、今必要なのは、原子力委員会の縮小ではなく強化なのである。

以上が、腰砕けの現政権が「原子力協定」を締結することに、維新の会が反対する理由である。(トルコ政府の姿勢についても問題があるが、本稿では割愛する。)原子力エネルギーを利用するに十分な「覚悟」を有しない、腰砕けの政府に、原子力を推進する資格なし、そう断じざるを得ないのである。