189-衆-厚生労働委員会-30号 平成27年07月10日

○渡辺委員長 次に、足立康史君。

○足立委員 維新の党の足立康史でございます。
 きょうは本当に、参考人の皆様、貴重な御意見をありがとうございます。
 磯会長、それから松原部長には、私は政治を志す前の仕事でも大変御指導をいただいていまして、きょうは御無沙汰をしております。それから赤松常務、菊池委員長と茨木事務局長さんは大阪からということで、ありがとうございます。私も大阪でふだん活動しておりますので、大変興味深く御意見を賜りました。
 まず最初に、私は、一番実は今回の法案で気になっていることは、現場の、現場というか、社会福祉法人の当事者の経営者あるいは働いていらっしゃる方々にとって、この法案がどういう感覚で受けとめられているかということなんです。
 私も、いろいろな社会福祉法人の方、経営者の方々ともおつき合いさせていただいていますが、総じて申し上げれば、無税なので社会福祉法人という形に甘んずるというか、そういう形で仕事をしているが、実際、役所のいろいろな通達とかさまざまな規制については若干辟易している方が多いです。余りに手かせ足かせが多いと、もう税金を払った方がいいやという声も一部あるのが現状だったんです、私の理解はですね。
 その中で、今回、きょうは法人の話を中心にさせていただきますが、ある種、社会福祉法人のバージョンアップを図る、公益性、非営利性ということで、特に公益性の観点を徹底するということになります。
 もし、今私が御紹介したような感覚の、感覚というか、そういう方が多いとすると、今回の制度をバージョンアップすると、もう有税でいいやというように、イグジットですね、要すれば、この社会福祉法人制度から外に出たいというような方が少なからず、少しはいらっしゃるように私は思います。
 特に、これは二つの意味があって、一つは、手かせ足かせというような、義務がいろいろかかってくるということもありますが、もう一つは、きょう菊池参考人が御紹介くださったように、社会福祉法人として頑張っていらっしゃる方の多くは、もともと御自分の財産を供出して頑張ってこられたという方もいらっしゃるし、家族を挙げて、地域のため、福祉のために頑張ってこられた方もいらっしゃるわけです。
 ところが、今回の制度だと、公益性の徹底ですから、そういう家族制みたいなもの、あるいは、ある種の、制度的には帰属していないわけですけれども、徹底的にそれは地域のものだということになるわけでありまして、若干そこがしんどいのかなという印象を持っています。
 私は、極論すれば、これだけの制度を構築するのであれば、出口、イグジット、要は、別の形に移行するような出口を用意してあげないと、全ての社会福祉法人が全てこれでいきなさいというのはやはりきついという印象を持っていますが、きょうお越しの五人の参考人の皆様、私が今申し上げたような意見についてどうお感じになるか、一言ずつで結構ですので、御紹介をいただければと思います。

○磯参考人 今の質問でございますが、もう釈迦に説法みたいな話になりますが、財団型である社会福祉法人といわゆる社団型である株式会社というのを比較しますと、社会福祉法人には構成員というのが存在しておりません。また、財産が特定の個人に帰属することもございません。一方、株式会社は、株主がおりますので、会社の財産は株主に帰属している。これは大原則としてございますので、つまり、法人そのものの基盤が根本的に異なっているということから、それは私自身はあり得ないんだろうというふうに思っております。
 加えて言えば、今後、社会福祉法人の役割がさらに重要になってくると思いますので、その必要性は乏しいというふうに考えております。
 ただ、一点だけ言いますと、今回、合併という仕組みが一つ明記されておりますので、そこを精査していくことによって、その方が、お父様が建てられたんだけれども、息子がもうその仕事をやる気がないというような場合が出てこようかと思いますので、それも一つ、一策として考えてもいいのかなと思います。
 以上でございます。

○松原参考人 今回の法改正によりまして、簡単に言うと、いろいろ負荷がふえる、面倒だというお話だと思いますけれども、そもそも、一部の人だけを対象にした時代ではなくて、これだけ社会の中心で社会福祉法人が事業をするようになった以上、もう既に公益法人も上場企業の営利企業もやっていることですので、これはやはり世間並みに足をそろえる努力が当然に必要だと思います。従来やっていなかったことを行うことになりますので、負荷がふえるのは事実ではございますが、これは、社会的責任からして求められる時代になってしまったと受け入れていただきたいと思っております。
 次に、では、営利になればいいじゃないかという話ですけれども、社会福祉事業に携わる以上、たとえ株式会社であっても、非営利組織並みの理念、経営の仕方が求められると考えます。

○赤松参考人 先生がおっしゃるその手かせ足かせの話が、社会福祉法人にいろいろかけられている公的な規制のことをおっしゃっているんだとすると、私は、やはり、先ほども申し上げましたように、社会福祉法人の非営利性とそれから公益性を担保するためには必要な規制や要件だと考えております。私の知っている社会福祉法人の多くは、そういった規制を受けながら、きっちりと地域で役割を果たしているという形をとっているというのが実態であります。
 ですので、もし先生が、手かせ足かせの問題で、やはり出口のことも考えないといけないということであれば、そのことは、実態をちゃんと調査するなり、そういう実態の把握をした上での議論ということになるかなというふうに考えます。

○菊池参考人 先ほどの私の発言の中に触れていただきましたけれども、過去に家族でそうやって事業を支えた時期があったのは事実でございますが、大変そのときから時代も変わってきております。そのことを歴史的な事実として忘れてはならないことだというふうには思っておりますけれども、今の時代にそういった考え方が合うかどうかというと、必ずしもそうではないというふうに思っています。
 なぜかと申しますと、その当時から比べますと、制度もかなり充実しておりますし、そういった家族の犠牲を払わなくてもできるような状況になっているということでございます。ただ、過去の事実は事実としてやはりしっかりと受けとめた中で、今後を考えていくことも大事だろうというふうに思っております。
 それから、課税の問題でございますが、一部に、収支差額が出たら課税オーケーじゃないかと、非常に危険な発言をされる方がいらっしゃいます。ただ、収支差額に対してだけ課税されるのかというと、必ずしもそうではないというふうに理解しております。多分そこのことを御存じないから、安易におっしゃっているのではないかなと。
 これは介護保険導入時にもあったことでございますけれども、一部の介護事業関係者の中から、課税オーケーという話が非常に沸き立った時期がございました。ただし、今、それをおっしゃっていた方たちも、ほとんどそれはおっしゃらなくなりました。それは多分、課税の実態を御存じになったからではないかというふうに思っております。
 そういう意味からしますと、私は、あくまでも、社会福祉法人、それは公益性を徹底して守りながら、非課税の状況をある意味では堅持していきたい、ぜひそうお願いしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○茨木参考人 社会福祉法人は、やはり公益性というところで強い公的規制を受ける一方で、いろいろな支援の措置を受けてきた。それが、先ほど話が出ていたような非課税の問題であったりとか補助金であったりとかということだというふうに思います。
 そういう点でいうと、やはり社会福祉法人の制度というのは、歴史的に形成された、きちっと運営がされて、そして国と地方自治体の財政措置がきちっとされる中で運営されれば、日本がつくってきた特有の、非常に評価すべき制度だというふうに思っています。
 そういう点では、やはり社会福祉法人は非営利を徹底するべきだというふうに思いますし、出口論をまず語る前に、やはり今の営利が参入してきている実態をきっちりと見ていくべきではないかなというふうに思っています。

○足立委員 ありがとうございます。
 菊池参考人の方から今、私も先ほど菊池参考人の言葉を引用しましたけれども、私、過去の経緯をしっかりとみんな心しておくということが本当に重要だと思っています。
 一方で、なぜこういうことを申し上げたかというと、社会福祉法人の中には、例えば保育園だけをやっていらっしゃる方、あるいは介護保険事業だけをやっていらっしゃる方もいらっしゃいますね。これも私が申し上げるまでもないですが、今、それぞれの制度が変わってくる中で、例えば保育の分野も営利企業が参入しています。それから介護保険もそうです。先ほども御紹介ありましたが、実際に営利企業がもう活動しているんですね。先ほど松原参考人の方からは、いや、それは供給量の確保や多様なニーズに応えるためであるという一応御説明をいただきましたが、実際に今そこでいるんですね。
 だから、そういう営利会社と、マーケット、まさに市場の中で混在をしていることをどう考え、処理したらいいか。磯参考人、松原参考人、まずはお二人から伺えればと思います。

○磯参考人 二〇〇〇年の基礎構造改革以降、民間の参入がされました。しかしながら、現在も、利用者、処遇の困難な方等々に対しては、第一種、第二種というふうに区分けされておりますし、第二種に関しては民間が参入できるようになっておりますので、それ以上のことでもなく以下でもなく、この状況を当然保つべきではないかというふうに考えています。

○松原参考人 同じ市場に非営利組織と営利組織が参入している状況をどのように考えるかということですが、先ほど申し上げましたように、そもそもこうした社会福祉事業、介護事業も保育事業も含めて、こうした事業に営利組織が入ってきた目的は、供給量の確保と充実と多様なニーズに応えるためでございますので、あくまでも非営利組織の考え方、理念で経営してもらわなければ困る、公的資金で賄われている事業である以上、そうした考え方、規律というのが必要だと考えております。

○足立委員 ありがとうございます。
 今御紹介いただいたように、松原参考人はもうずっと公的資金ということを強調されていて、私も賛成ですが、先ほど紹介した保育の分野とか介護保険の分野で営利会社が活動している。彼らも公的資金ですね。同じですね、それは。
 すると、先生方、松原さんを初めとしておっしゃっているロジックを敷衍すると、今私が紹介したような営利会社は、規制で配当制限をすべきだということになると思いますが、それはどうお考えになりますか。松原参考人、お願いします。

○松原参考人 今直ちにここで配当制限すべきとまでは申し上げませんけれども、まさにおっしゃるとおり、その事業のほとんどが、営利組織の行っている事業のほとんどが公的資金で賄われている場合であれば、それは、そういうことも検討の余地は十分あると考えております。
 ただ、一方で、営利法人は、多くの場合、いろいろ多角化しておりますから、この事業だけやっているというわけではありませんので、なかなかそういうことは現実的に難しいと思いますが、もし限定できるのであれば、社会福祉事業で得た事業これだけでと限定できるのであれば、そういったことも検討の余地は十分あると考えます。

○足立委員 それぞれの、保育であれ介護であれ、活動されている方々、本当に皆さん一生懸命されている。きょうは菊池参考人の方から大阪の取り組みを御紹介いただいて、浦野理事はよく御存じで、いつも教えていただいているんですが、本当に、困難な状況があるからこそ一生懸命そういうふうに取り組んでこられている、そういう現場の思いみたいなものが、十分にこれからも国としてもお支えしていける体制が本当に重要だと思うんです。
 一方で、今我々が直面している制度的現状というのは、財団という話はよくわかりますが、そういう今申し上げたような異なる主体が、端的に言うと、医療なんかでは公共も一緒に競争しているわけですね。だから、さまざまな、違う、民間と公的な主体が競争していることをどうさばいていくかということが、これだけ規模が大きく、何兆円、何十兆円というマーケットの中で、本当にこれを整理していかなければ、持続というか、みんな混乱して大変だ、こう思っているわけです。
 最後に、もう三、四分ですが、この議論は尽きないわけでありますが、私は、政府の取り組みに対しては、全体としては理解をするが、若干受け身、守りの姿勢で全て対処していると。例えば医療制度改革、この後に医療法が出てくるんですが、医療も、株式会社の参入の議論があると、それから逃げるようにして、持ち分を否定する。そうですね。先生はよく御存じだと思います。それから、この分野も、内部留保を批判されると、こういう形になる。
 若干受け身になっているわけですが、私は、きょう先生方が御紹介くださったような現場の思いみたいなものを実現していく、もっと前向きの、本当にこの分野の制度はどうあるべきかという構想力を我々政治家も持たなあかん、こう思っています。
 最後に、ちょっとそういう観点から御意見、御見識を賜りたいと思うのは、松原参考人なんかは、よく昔、準市場ということで、財源は公だけれども活動主体はみんな民間なんだと。これが、日本の介護でもそうだし、医療でもその特徴だと思います。そうした意味で、民間の活力を導入しながらも公的な仕事をやっていく。
 その民間というときに、経営力、民間というのは必ず経営力に差があります。今回、制度的に地域公益事業義務化というようなことになっていますが、私は、必ず社会福祉法人にも、経営力のある法人と経営力のない法人とあると思います。経営力のない法人は、にわかに古い建物が、建てかえの必要はあるがお金がないという法人がたくさんあります、今、現場に。一方で、内部留保がたまってどうしようもない、行き場がないという法人、両方あります。経営力の差というのはあるんですね。これをどうやってこの社会福祉法人制度は解決するのかというのが、実は私はわからないんです。
 経営力のある者はどんどん拡大していきます。そうですね。経営力のないところはなかなか苦しい状況がずっと続きます。これを社会福祉法人制度がどういうふうに解決をしていくべきなのかについて、ちょっと時間が限られていますが、磯参考人、それから松原参考人、菊池参考人にもぜひお言葉、御見識をいただければと思います。

○磯参考人 法人による規模と経営力というのは、そこのトップリーダー、経営者の力によって動いてくるものだろうと思います。
 実は、私どもの法人も、スタートのときはスタッフ八名からスタートをいたしまして、五十年経過をしておるわけであります。
 繰り返しになりますが、公益性、非営利性、そのことを担保して、国民の期待、負託に応えていくということに関しては、私自身は、最終目標地点、例えばガバナンス等々、そこのことは、小規模だからということで甘んじてはいけないなというふうに感じております。
 以上です。

○松原参考人 例えば報酬とかというのも平均的な事業者を前提に設定されておりますので、足立議員おっしゃるように、決して、だめなところはずっと居続けるというわけではなくて、ちゃんと努力しなければ生きていけない状況になっているのではないか、そういう面は忘れてはいけないだろうと思っております。

○菊池参考人 確かに、マンモス法人と非常に小さな零細法人と、たくさんございます。そこに経営力の差があるのは当然のことでございますが、ただ、一つだけ大切なことは、やはり、いかなる状況にあっても、存在する限りは、その法人のミッションというのは忘れてはならないなという気がしております。
 そういう意味からすると、公益性の担保をすることは、一つガバナンスとして大事なことだと思うんですが、実は今回も、評議員の設置の問題で、零細法人の方からいろいろ意見が出ております。それが一定の考慮をされる方向で、今、猶予期間をいただく方向でいっておりますけれども、そういったことについても、否定することではなくて、受け入れて、その地域とともに生きていく、零細法人であっても生きていく、そういう体制をつくっていく。そこで、地域の中から人材を求めて、そういった体制を整えていくことが大事ではないかなというふうに思っております。

○足立委員 済みません、時間を超過しました。
 ありがとうございました。