185-衆-本会議-6号 平成25年11月01日

○議長(伊吹文明君) 次の質疑者、足立康史君。
    〔足立康史君登壇〕

○足立康史君 日本維新の会の足立康史です。
 私は、政府提出の持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案について、日本維新の会を代表して質問を行います。(拍手)
 今回の社会保障制度改革は、昨年六月の民自公の三党合意が出発点となりました。私は、民主党も含めたこれら三党のことを、常々、社会保障制度改革国民会議にちなんで、国民会議派と呼んでいるのですが、今回の比較的穏健な社会保障制度の見直し案は、いわば国民会議派の政策、そう呼んでも間違いではないでしょう。
 私は、プログラム法案の内容に入る前に、この国民会議派による社会保障制度の見直しに今や正統性なしという観点から、一つの事実を紹介いたしたいと存じます。
 それは、昨年十二月の総選挙で、国民会議派は敗北を喫したという事実です。
 日本維新の会とみんなの党という改革政党が躍進し、その合計議席が七十二まで大きく飛躍する一方、三党合意がなされた昨年の六月時点で衆院の実に九〇%を占めていた国民会議派は、八〇%を割るところまで勢力を減らしました。
 総選挙で敗北を喫した勢力の一部が、多数をいいことにその政策を実現したとしても、近い将来、必ずそのひずみが顕在化をし、再度の政権交代の引き金になると、ここに予言をしておきたいと存じます。
 そもそも、社会保障政策には予見可能性が特に重要であり、その政策の枠組みが政権の移動とともに変動したり、あるいは負担や給付のレベルが大きく変化したのでは、とても国民の信頼を得ることはできません。
 国民会議は、そうした観点から当時の与野党の合意形成を図るための仕組みだったわけですが、昨年の十二月の総選挙を経て、その国民会議の正統性は既に失われていると断じざるを得ません。この点について、社会保障・税一体改革担当大臣の見解を求めます。
 さらに、社会保障プログラム法案は、昨年八月に成立をした社会保障改革推進法に規定する法制上の措置に値しません。
 仮に、近い将来の政権入りをうかがう日本維新の会も賛成できる内容なのであれば、その賛否を国会の場で明らかにしておくということは、社会保障政策の安定性という観点から意味のあることではありますが、単に与党である自公だけでこの法案を成立させるのであれば、その効果は閣議決定とほとんど違いがありませんし、逆にその政策の不安定性を国民に印象づけるだけであると、ここに明確に指摘をしておきたいと存じます。
 次に、消費増税との関連でありますが、日本維新の会は、社会保障の抜本改革など、構造改革なき消費増税には反対である、こう明確に宣言をいたします。
 なぜ社会保障の抜本改革が不可欠なのか、その理由は三点あります。
 第一は、世代間格差の拡大であります。
 政府・与党も、全世代型とか、年齢から能力へと銘打って、受益と負担の見直しに言及、問題の所在は認識しているようでありますが、今回のプログラム法案に盛り込まれている方針は、単なるびほう策ばかり、スローガン倒れも甚だしいと言わざるを得ません。
 社会保障等の受益と負担の世代間格差が一世帯当たり一億円にも達している状況を放置すれば、社会保障制度の信認が崩壊の一途をたどるのは明らかであります。
 全世代型の趣旨がプログラム法案にどう反映しているのか、具体的な数字を用いて示すことができますか。
 いわゆる年金の積立方式についても、少なくとも検討はすべきではないでしょうか。高校授業料の無償化に所得制限を入れるのであれば、基礎年金における高所得高齢者の払い戻し制度、いわゆるクローバックについても、即時に導入をすべきではないでしょうか。
 第二に、子ども・子育て政策の扱いも問題であります。
 政府・与党は、全世代型の一環として、子ども・子育て支援新制度を打ち立てていますが、あくまでも消費増税が前提となっているために、いわば、子供施策を増税の人質にとっているようなものであります。
 政府は、税収のいかんにかかわらず、子供政策の優先順位を引き上げる覚悟がありますか。少子化担当大臣に伺います。
 医療保険の窓口負担についても、なぜ、乳幼児は二割負担で、高齢者は一割負担などということが容認されますか。投票率の高い高齢者は、投票できない乳幼児よりも大事ということでしょうか。政府の明確な答弁を求めます。
 第三は、無年金、低年金の問題であります。
 民主党政権には問題も多く、だからこそ、政権が改めて自民党、公明党に戻ったわけでありますが、民主党の問題提起それ自体には、正しいものも多くありました。その最大の問題提起の一つが、無年金、低年金問題であります。
 これだけ問題が深刻化し、改善の兆しが見えない中で、プログラム法案に無年金、低年金の問題への抜本対策がないというのは容認できません。無年金、低年金の問題に対する抜本対策を検討すべきではないですか。
 こうした深刻な問題を放置したままの増税に、さすがの政府・与党も負い目があるのか、安倍首相は、十月一日の記者会見で、消費税収は社会保障にしか使いませんと明言し、今回の増税が社会保障目的であることを強調しています。しかし、お金に色はない中で、このフレーズにどういう積極的な意味がありますか。
 幾ら全額社会保障の財源に使うといっても、増税額と同じ金額を、国土強靱化の名のもとに、経済効果が少ない従来型の公共事業やばらまき政策に投入しているようでは、八%や一〇%の増税など焼け石に水であり、何のための増税かと国民が不審に思うのも当然ではないでしょうか。
 そもそも、今回のプログラム法案の前提になっている社会保障制度改革推進法には、年金と医療及び介護においては、社会保険制度を基本とする旨が明記されています。
 そうであれば、増税をする前に、保険制度の負担と給付の抜本見直しを行うのが先ではないでしょうか。取りやすいところから取るという安易な姿勢で、本当にこの日本の社会保障制度を守っていくことができるのでしょうか。
 自民党政権は、一貫して税財源の投入を拡大してきた張本人であり、当事者に政策転換が困難なことは理解をいたしますが、そうであれば、社会保険制度が基本などと空虚な方針は、国民の前ではっきりと撤回をされたらいかがでしょうか。
 日本維新の会は、社会保障財源は原則社会保険料で賄うべきと考えており、平成二十五年度予算案の審議においても、医療の被用者保険から国庫を引き揚げることを前提とした医療保険の一元化を含む予算修正案を六十年ぶりに国会に提出いたしました。
 政府・与党も、仮にも保険制度を維持するというのであれば、その覚悟の片りんだけでも、この国会で国民に対して示すべきではないでしょうか。
 最後に、成長戦略との関連であります。
 現政権も前政権も、医療や介護といったヘルスケア分野が次代の日本の繁栄を築いていくための重要な成長分野であると打ち出していますが、政府から出てくるものは空虚なビジョンばかりです。
 私は、ひとりよがりの成長戦略などなくても、次の二つについて政府が明確な方針を打ち出せば、この分野は大きく成長し、国民の生活を豊かに潤していくと考えています。
 第一は、医療の情報化であります。
 日本の医療は、言うまでもなく、皆保険制度であり、この制度のもと、レセプトのみならず、DPCデータや電子カルテなどを通じて蓄積されるビッグデータを活用すれば、世界のどの国でもまねのできない形で医療の質を高めていくことができます。
 そのためには、いわゆるマイナンバー制度の実施に合わせて、統合した形で医療等の情報化を進めていくことが、投資の効率性から見ても有効ではないでしょうか。情報化は、医療制度改革のセンターピンであり、政府の明確な方針を求めます。
 もう一つは、医療法人の経営の適正化であります。
 まだ広くは知られていませんが、この日本に存在する各種法人の中で、いまだに会計基準が整備されていないのは医療法人だけ。会計基準というのは、経営に客観性を与えるための枠組みであると同時に、課税所得の算定の基礎にもなるものであります。中小企業庁が取り組んできた中小企業の会計に関する研究会などもしっかり勉強していただいて、厚労省が主導して取り組むべきであります。
 特に、医療の場合、八五%は保険料を含めた公費で賄われているわけであり、利害関係者である納税者に対し十分な情報提供を行うという観点から、公開会社並みの情報開示を求めるべきではないでしょうか。
 会計基準なき公費の投入は、いわば、パッキンなき蛇口から水を流し続けているようなものであると指摘をし、政府の明確な関与を求めます。
 私は、冒頭、社会保障政策には予見可能性が特に重要であると指摘をいたしました。つまり、社会保障政策は、政権交代に対し、ロバスト、すなわち強靱でなければならないのです。国土の強靱化も重要でありますが、社会保障の強靱化も劣らず重要であります。
 こうした観点から、日本維新の会は、社会保障調査会を設置し、次期総選挙に向けて、政権を担うに足る政策案と政党ガバナンスを磨き上げていく所存であります。
 皆さん、国民会議派と改革派、維新派との闘いは、まだ始まったばかりであります。日本維新の会の同志を初め、改革派の皆様の奮起と団結をお願いして、私の質問を終わります。
 ありがとうございます。(拍手)
    〔国務大臣田村憲久君登壇〕