明治維新150年に向け憲法論議を前に - 維新の憲法改正3草案が目指すもの -
1.教育の無償化こそが国を強くする
昨日の毎日新聞に、安倍総理が昨年10月に自民党の保岡憲法改正推進本部長と会談した際、改憲項目として「教育無償化」を例示していたと報じられていました。他党のことですので論評は控えますが、衆院憲法審査会の中谷与党筆頭から年末に提示されたリストにも「教育無償化」が明記されていた通りです。
維新のいう教育無償化には、遊んでいる大学生らに税金を投入するのかといったご批判があるのも承知していますが、大阪での高校無償化が公立と私立を越えた“競争”を生み出し、既存の教育システムに改革を促した点にも留意をいただきたい。現在の大学システムを前提に議論を矮小化する必要はないのです。
私は、教育の無償化こそが国を強くする、と考えています。少子化対策の切札として、格差是正の根幹として、消費の活性化策として、教育無償化は国を強くします。民進党は、法律でやればいいと、やりもせずに言いますが、そうした軟弱な政党がが存在するからこそ憲法に明記し政府を縛る必要があるのです。
2.立憲主義に求められる憲法裁判所
今年の憲法審査会でテーブルに載るテーマは、教育無償化だけではありません。維新が提唱している「憲法裁判所」も重要です。だいたい民進党が「立憲主義の破壊」と政府批判をすればするほど憲法裁判所の必要性が際立つばかり、昨年末には、ジャンピング小西議員もそも必要性を認めざるを得ませんでした。
つまり、「立憲主義」とは、憲法に則って政治権力は行使されるべきであるとする考え方であり、今の日本国憲法は、行政府に憲法解釈を委ね、立法府に過半数で法律制定を認め、司法府には統治行為論で一歩下がることを容認してきたのです。安倍政権は、当に日本国憲法に則って安保法制を成立させたのです。
私たち日本維新の会も、国会に提出した対案が賛成少数で否決され、成立した安保法制には不満がありますが、民進党のようにプラカードや暴力には訴えません。決定には従います。但し、指をくわえて泣き寝入りすのではなく、実効的な違憲立法審査のための憲法裁判所創設を憲法審査会で提唱しているのです。
3.統治機構改革で内憂外患に対応
昨年の憲法審査会では、自民党委員から、参院の“1票の格差”是正のために隣接選挙区を統合した「合区」に強い不満が表明されました。一票の格差に係る一連の違憲状態判決を受けて、憲法を改正し参院議員を「都道府県代表」と位置付けたいというのですが、統治機構に係る大議論に直結するテーマです。
日本維新の会は道州制と一院制を主張していますので、私は、参院の権限を十分に弱めた上で、であれば、地方代表の府にする案には賛成です。ちょうどイタリアで上院の議員定数を1/3にし市長や州議員ら地方の代表者で構成する憲法改正案が(否決はされましたが)国民投票に付されたのと同じ方向です。
日本は、厳しい少子高齢化時代を乗り越え繁栄を続けていかなくてはなりません。内憂だけでなく外患についても、トランプの米国、プーチンのロシア、習近平の中国に囲まれ、迅速な意志決定が求められる時代に、いったん捻じれれば国権が麻痺する今の二院制は拒否点が過剰であると言わざるを得ないのです。