2017年6月12日 衆議院 原子力問題調査特別委員会 自由討議 原発事故の責任と原発再稼働政策の評価
○三原委員長 ありがとうございます。
各党からまず一人ずついきましょう。
○足立委員 ありがとうございます。日本維新の会の足立康史でございます。
原発事故の直後というか、原発事故調のあたりから、黒川先生、あるいは石橋先生にも、いろいろ御指導をいただきまして感謝を申し上げたいと思います。
私からは三点伺えれば幸いです。基本的には黒川先生に伺いたいと思いますが、もし石橋先生の方でも特段ございましたらおっしゃっていただければと思います。
一つ目は、まずこのアドバイザリー・ボードですが、今回できましたことを、私たちも、日本維新の会としても大変よかった、こう思いますが、これは、与党、野党の筆頭の御努力が、あるいは委員長の御努力が大きかったと思いますが、しかし、遅かったなと思います。本当はもっと早く、この特別委員会ができたときに設置をしておくべきだったと私は思っておりますが、来ていただいてそこにコメントしづらいと思いますが、率直なところを、もうこの際、黒川さんにちょっとコメントをいただきたい、こう思います。
それから、過去を余り振り返っても仕方ない面ももちろんありますが、事故の総括なきところに将来の建設もありませんので一つちょっと振り返ると、余り時間もありませんので非常にざくっとした聞き方をいたしますが、結局、福島の原発事故は、自公政権、あるいは特に自民党がつくり上げてきた制度のもとで、民主党の政治家たちが治めているときに起こった。自民党の制度の上で民主党政権がマネージしたわけですが、仮に責任という問題があるとすれば、どれぐらいのウエートで、制度の自民党と、政権をつくった民主党、何対何ぐらいで、責任の配分もちょっとしていただけたらと思います。それが二点目。
○三原委員長 足立君、もっと短くね。もう三分過ぎちゃった。
○足立委員 あっ、過ぎましたか。
あと一点だけ、現在の制度ですね。日本維新の会は原発再稼働責任法案という法律をつくっています。それから、例えば、今でも原発、電力会社は無限責任でやっているんですね。だから、私は、今の制度はとにかく課題が山積していると思いますが、今の原子力政策体系を点数で評価していただければと思います。
○黒川参考人 ありがとうございます。
これが、最初は森先生からこの委員会をつくって、参議院はまだできなかったんですね。一応、形だけつくったらしいんですけれども、実は内々に、何を聞いたらいいんでしょうと言われまして、結局、開かれませんでした。何か開かれたかもしれませんけれども、少なくとも、このような、ある程度公開された、議事録が残るような会はやられなかったということです。
衆議院は、森先生がやられ、吉野先生がやられましたけれども、実際に森先生のときに、私ども九人の委員が呼ばれていろいろ聞かれたということだけでありまして、こっちのアドバイザリーはなしで私だけ呼ばれたんですが、全部、九人が呼ばれたんですが、そういう意味では本当に画期的で、三原先生以下、この委員会の、ここで頑張ってこういうことをしていただいたことについては本当に敬意を表しますし、ぜひこれは世界の関係者と共有していきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。
それからもう一つは、これが憲政史上初めてというところにまた問題がありまして、三権分立が機能していないということですね。つまり、行政府だとどうしてもまたこれが縦割りで横に行かないという極めて異例な制度ですけれども、そういうことからいうと、初めてだったので、やってよねと言われても議員の先生たちも余りわからなかったのかもしれませんし、こういうのはルーチンではありませんから、それから選挙ということもありますので、システムとしてできていなかったというところが問題なのかなと思います。
海外に行きますと、イギリスなんかは年間三つか四つ、いつもやっているよという話が当然ですし、例えば、最近非常に話題になったのは、ブレアがイラクの戦争に行ったのは是か非かというのを、独立委員会をつくって九年かけて膨大な資料を出しましたよね。やはりそういう、いろいろなことから学んでいて、次の世代に続けていくという癖がなかったということで、行政は何も責任をとらないのかもしれませんけれども、それで済ませていたというところに問題があるんじゃないかと思います。
ノルウェーもそうですけれども、すぐにあのシューティング事件の後に国会の事故調、独立したものを立ち上げて、一年間でやりました。フランスでもやりますし、アメリカはもうルーチンにやっておりまして、これは、リンカーン大統領がナショナルアカデミーを、ちょうどゲティスバーグのころですが、つくりまして、ナショナルアカデミーをつくる、これは、議会の法案について、いろいろな政策についてコメントを頂戴ということがあるので、年間百ぐらい、全て何か法律があるたびに諮問するというのが癖になっておりまして、そういう話があるので、常に立法府、アメリカは特に、法律は全部議会がつくりますから、そういうことになれているというのもありますが、そういう意味で、ちょっとなれていなかったということだろうと思います。
ぜひ、これを契機に、例えば衆議院の議席の数とか、それから、使ったものをどうやって廃炉にするかなんという話も独立した委員会を使えばいいわけなので、それも提言に書いてありますが、その独立委員会は何も日本人だけである必要はなくて、これは世界的な問題ですので、世界のエキスパートと一緒にやろうよということをどんどんやっていただければいいと思います。それが一つの問題です。
二つは、民主党政権のときがありまして、実際の行政の動かし方その他の体系がなかったのかもしれませんが、そういう意味では、冒頭に、原子力という膨大なエネルギーというか、産業界の、生活の一番トップの電気をつくるというところからいいますと、原子力の基本法ができてからいろいろな改革その他がありましたけれども、一旦オンになるとオフにできないというところが日本の問題ですね。だから、五十基つくってもまだつくらなくちゃならないというのは、あくまでも行政と専ら自民党という与党がある程度の協議をしながらやっていたとはいえ、なかなか、いろいろな利権の構造ができて、やめようという動きができなかったところに、数十年にわたる一党独裁政治の問題という話を書いてありますけれども、突然民主党になったというところは、いい悪いは別として、そういうときに起こってしまったというのは、やはり長期政権の一つのエフェクトが出てしまったんじゃないだろうかなと思います。
そういう意味では、本当に規制委員会をどういうふうにするかというのは、中にも書いてありますが、ぜひ立法府の方で、行政府に任せないで、きちんとやれよなという話をしょっちゅうぎりぎりとやらないと、本当に世界的に、日本は一体何をやっているんだと。
たまたま今再稼働していますけれども、IAEAがやっている五層の防御、つまり、もしシビアアクシデントが起きたときにはどういうふうに地方自治体が逃がすのかという話について、まだ日本はちゃんとやっていないということをみんな知っていますからね。だから、どうしてそんなことが済んでしまうんだという、自治体同士の問題、電源三法からきてしまっていますけれども、そういうことも与党が頑張ってやらないと、世界じゅうで、何か日本は何やっているのよという話が、一般的には私のところにもしょっちゅう聞かれます。
先生たち方、ぜひ頑張っていただいて、原子力も、これからは高齢社会、人口が減るにもかかわらず、まだ再稼働、再稼働といって輸出をするぞなんて言っているけれども、本当に大丈夫なのというのが、世界の、IAEAその他の識者の日本に対する懸念というか、それだったらもういいやというような雰囲気もないわけではありませんが、その辺のことを世界に隠せない世の中になっていますので、ぜひ、そういう意味では、トランプ大統領ががあっと言っても、議会の方が反対だなんということを平気で言うようなカルチャーをつくっていくことは非常に大事だろうと思っております。
そのほか、石橋さんの方から何か追加することはありますか。よろしければ。済みません。
○石橋参考人 先ほど、事故の総括という二つ目の御質問がありました。
先ほども申し上げましたけれども、このダイジェスト版の八ページ目の「問題解決に向けて」というところがございます。事故の根源的な原因は人災であるが、この人災を特定個人の過ちとして処理してしまう限り、問題の本質の解決にはなりません、逆転関係を形成した真因である組織的、制度的問題、その解決なくして、単に人を入れかえ、あるいは組織の名称を変えるだけでは再発防止は不可能であると。今、先生のお言葉を聞きながらここを思い出しました。
以上でございます。ありがとうございます。