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あだち康史
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衆議院議員
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衆議院議員4期、大阪9区支部長。日本維新の会憲法改正調査会長、国会議員団政務調査会長、幹事長代理、コロナ対策本部事務局長等を歴任。1965年大阪生まれ。茨木高校、京都大学、コロンビア大院。水球で国体インターハイ出場。20年余り経産省に勤務し欧州に駐在。東日本大震災を機に政治を志す。
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議事録 Transcripts

2015年3月25日 衆議院 厚生労働委員会 所信質疑 派遣法と労働基準法、医療介護保険と法人制度

足立 康史

189-衆-厚生労働委員会-4号 平成27年03月25日

○渡辺委員長 次に、足立康史君。

○足立委員 維新の党の足立康史でございます。
 昨年の通常国会までは厚生労働委員会でお世話になっておったわけですが、臨時国会で安全保障委員会にちょっと出向というか、一時的に出向を命ぜられまして行っておりました。
 ただ、再任を固辞された前大臣とちょっと安全保障委員会でいろいろやってしまいましたので、安全保障委員会は出入り禁止になりまして、再び厚生労働委員会に戻らせていただくことができまして、ありがとうございます。当時御一緒させていただいた委員の方々も多くいらっしゃいますし、大臣におかれましては、私、経済産業省におったときからいろいろと御指導いただいてきた、勝手にそう思っているわけですが、尊敬をしておりますので、ぜひ、きょうも忌憚なく御指導いただきたいと思います。
 きょうは、労働政策とそれから医療・介護政策、所信質疑ということですので広く質問させていただきたいと存じますが、まず前半、労働政策について質問します。
 一つ、まず派遣法、これは予算委員会でも申し上げましたが、私、実は予算委員会でこういうことを申し上げました。
 まず、アベノミクスは成功させなあかん、こういうことを言いました。そうしたら、赤旗が、維新は自民党を応援しているのかとかいって書き立ててこられまして、そんなことはないんですけれども、アベノミクスが失敗したら塗炭の苦しみを味わうのは庶民だという思いで、絶対にこの経済運営は成功させなあかん、こういうことを申し上げた。ちょっと私の真意を、共産党の委員の方もいらっしゃるので、申し上げておきたいと思います。
 それから加えて、派遣法についても、もう三度目の正直である、絶対に仕上げてほしい、こう申し上げましたら、党の幹部の方から怒られまして、まだ決めていないということであります。
 これについても、私は別に頭から何でも賛成と言っているわけではなくて、派遣法が三たび失敗をすれば、混乱するのは現場であって、困るのは労働者の皆さんです。だから、まず大臣、派遣法、今国会ぜひよろしく。御決意というか、三たびの失敗はないという、ちょっと確認です、これは。

○塩崎国務大臣 もちろん、先生方の御理解と御協力を得て、三度目の正直で必ず成立をさせるということで頑張っていきたいと思います。
 いろいろ、ややレッテル張りのようになりつつあるのを、今、一生懸命そうじゃないということを言っており、また、何か全部が派遣になるかのように言っていらっしゃる方もおられますけれども、今、雇用者全体の中で二%が派遣であります。やはりそれは多様な働き方ができていくということが大事であって、どういう働き方もみずからが選択できるというのが大事なんだろうと思うので、働く人を保護しながらこの改正をやっていこう、こういうことでございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

○足立委員 ありがとうございます。
 まだ党内、意思決定できていませんが、しっかりと党内の合意形成、一議員の立場でありますが、頑張ってやってまいりたいと思います。
 それから、今申し上げたように、派遣法が三たび失敗したら現場が混乱する、私はこう思っていますが、もし現行法制のまま、ことしずっと、何月でしたか、夏か秋か、過ぎていくと、どういう困ったことになるか。原因は民主党政権にあると私は思っていますが、その辺、ぜひ御紹介をいただければと思います。

○山本副大臣 労働者派遣法につきましては、ことしの十月一日から労働契約申し込みみなし制度の施行が予定されております。これは、期間制限違反を含む一定の違法派遣を受け入れた派遣先について、派遣で働く方に直接雇用の契約を申し込んだものとみなすという制度でございます。
 この制度につきましては、いわゆる専門業種二十六業務に該当するかどうか、すなわち期間制限がかかるかどうかがわかりにくいということで、結果として違法派遣かどうかということがわかりにくくなっているという指摘がございます。
 このため、派遣先が意図せずに違法派遣を受け入れて、労働契約申し込みみなし制度が適用されてしまうことになりますが、こうした事態を回避しようとして、このままいきますと、派遣先が派遣で働く方の受け入れをこの十月一日以前で停止して、派遣で働く方の雇いどめが生じるという可能性があると考えております。
 政府といたしましては、先ほど混乱というふうにおっしゃいましたけれども、こうした混乱を避けるために、業務区分による期間制限を廃止して、全ての業務について一律に期間制限を課す今回の労働者派遣法の改正法案の速やかな審議をお願いしたいと考えておるところでございます。

○足立委員 ありがとうございます。
 先ほどちょっと言及しておりませんでしたが、塩崎大臣には本当に、先ほど申し上げたように、御指導いただいてきているところですが、山本副大臣におかれましても、大学の同窓でありまして、私が経産省におったときに政務官でおいでで、お仕えもしておった立場でありまして、また引き続きよろしくお願いします。
 今御紹介いただいたことはまさにそのとおりで、しっかりと制度整備をやっていかなあかん、こう思っています。
 もう一つ、党内でこの議論をするときになかなか苦労している点は、私が苦労する立場でもないんですけれども、一応、一人の議員として自分の考えを党内で議論するときに一番苦労しているのは、やはり均衡、均等という話ですね。均衡待遇、均等待遇。
 我が党は、同一労働同一賃金というものが労働市場の基本だ、こう思って、それは私も大賛成なんですが、なかなか実態がそういう前提になっていないわけでありまして、諸外国、ヨーロッパではどうだとかいう議論もありますので、いわゆる派遣労働に係る均等待遇論というものを現時点でどうお考えか、ぜひ御紹介ください。
 ぜひ私が伺いたいのは、現時点もそうですが、では十年後、三十年後、五十年後、日本の労働社会はどうあるべきで、それはヨーロッパ型みたいな形、ヨーロッパには均等論があるわけですから、そういうものが将来入ってくると大臣は見ていらっしゃるか、あるいは、それは日本型、日本の社会では少なくとも予見できる将来は余り想定していないのか、その辺を特に焦点を当てて御答弁いただければと思います。

○山本副大臣 当委員会におきましてもこの議論は何度もされておりますけれども、同一労働に対して同一賃金が支払われるという仕組みについては、一つの重要な考え方と我々も認識をしております。
 しかしながら、職務に対応した賃金体系、いわゆる職務給というものがまだ普及していない、能力や経験などさまざまな要素を考慮して働く方の処遇が決定される職能給ということが一般的である我が国のこの労働市場において、すぐさまというには難しいということでございます。
 また、派遣労働者の場合におきましては、では、派遣先の労働者と雇用主が異なるといった場合に、派遣先のどの労働者と比較するのかといった課題も存在いたします。
 このため、今回出させていただく改正法案におきましては、まずはこの派遣労働者と派遣先の労働者との均衡待遇を進めることとさせていただいております。
 まず、こういったことをしっかりやらせていただいた上で、いわゆる職務給導入の流れが今後どういう形になっていくかということは現時点では定かではございませんけれども、諸外国の制度や運用状況等に関しまして調査研究にしっかりと取り組ませていただきたいと考えております。

○足立委員 ありがとうございます。
 ぜひ、この委員会でも、また法案も上がってくると思いますので、しっかり御討議をさせていただきたいと思います。
 次に、労働法制のもう一つの柱が、先ほども民主党の委員の方々が取り上げていらっしゃった、彼らが、彼らがというか一部政治勢力がおっしゃるいわゆる残業代ゼロ法案というものですね。私はその呼び名は大変違和感があるわけでありますが、むしろ、時間ではなくて能力等に基づいた働き方、新しいそういう働き方は必須だ、私はこう思っていますけれども、これは確認です。
 法案を出されてこられるわけですから当然でありますが、なぜ今、今でもないな、以前からこれは取り組んでこられたわけですが、私は、もうできるだけ早く制度整備をしていく必要があるテーマだと思っています。正式にどういう名前か、高度プロフェッショナル何とかとかいうこともありますが、私は余りわかりやすい話じゃないなと思いますが、名前はともかくとして、この制度の必要性について、簡潔で結構です、御答弁いただければと思います。

○塩崎国務大臣 これは、全体として労働市場改革、雇用政策改革ということで、この日本の経済をもう根本からやり直すという中で、特に労働生産性を、かつて世界に誇っていたものだったわけでありますが、今はかなり負けている、そういう中で賃金も下がって生活水準も下がるということでありますから、これを挽回していくためには、やはりさまざまな産業が、そして、さまざまな働き方によるさまざまな働く人たちがいて初めてさまざまな能力が生かされて、それでまた勝てる日本の経済になれるということではないかと思うので、個人のレベルからいけば、ワーク・ライフ・バランスを大事にしながら働き過ぎを是正し、そして多様なニーズを生かしていく。
 そういう新しい働き方の選択肢の一つとして、我々は高度プロフェッショナル制度と言っていますけれども、我々から見れば、ユニークな専門性を持った人たちが自由な働き方をできるようにして、能力を目いっぱい発揮してもらう、そのことをやはりきちっとし、今までの時間規制をしないとしても、別な規制をしっかりかけて、一人一人の働く人の健康や生き方を守っていく。
 こういうことで、我々は必ずこれも通していかなきゃいかぬというふうに思っておりますので、御審議をまずいただいて、皆様方の御理解をいただければというふうに思います。

○足立委員 ありがとうございました。
 ぜひ、この高度プロフェッショナル制度ですか、法案の審議も通じてしっかり深めていきたいと思うんですが、非常に残念な国会の状況だと私は思っています。
 要すれば、残業代ゼロ法案というような、あるまじきレッテル張りがあって、そういうことによって、結局、政府・与党もディフェンシブになりますよね。新聞も、あることないこと書きますし。だから、非常に、攻める方というか、野党も野党でそういう言い方をするし、政府は政府で、これまでも苦労してきたものだから、どうしても、本当はこう思っているんだけれども、ちょっと丁寧にやろうかということになるわけです。
 そうして、与野党のやりとりの中で制度がなかなかすっきりとしないというか、言えば困った妥協の産物ができ上がっていくわけでありまして、私たちは、やはり国政を預かる国会議員として、本来の議論というか本当の話をしっかりとこの委員会の場で、この委員会の場で何を言っても大丈夫なわけですから、忌憚なく、しっかりやっていきたい。
 大臣、これは、きょう、この残業代の問題というのは大事だと思っていまして、ちょっと正確に通告できていないんですが、可能であれば、政務三役の方どなたでも結構ですから、ぜひ一つ教えていただきたいことがあって。
 というのは、今度、この高度プロフェッショナル制度については、年収要件みたいなもので法律にも文言が入って、年収の下限みたいなものができると思いますが、私は、職種によってはもっと低くてもいいと思っているんですね。いや、個人ですよ。党のコンセンサスはありません。ありませんが、私は、もっと低くていいと思うんです。
 経団連がかつて四百万とか言っていたのはどうかという、それは議論があると思いますが、私は、少なくとも今の議論は高過ぎると。ある職種はですよ。
 例えば営業職、営業職というと一般的過ぎますね。私たち、秘書がおりますね。公設秘書は、先ほど山井先生に教えていただいたところによると、公設秘書は基準法の適用除外だということだそうです。私設秘書、皆さんも私設秘書を雇っていらっしゃると思います、残業代を払っていらっしゃいますか。大臣、どうですか。

○塩崎国務大臣 必要に応じて払っております。

○足立委員 これは、模範答弁としては、必要に応じて払うというのは当たり前のことですね。
 ちょっと私ごとですけれども、きょうは結構私は覚悟を持って来ていまして、まず自分のことを申し上げると、私の事務所は私設秘書を抱えています。残業代は払っていません。
 先日、かつての従業員、かつての秘書から、受任通知兼請求書が来ました。残業代を払えと。最高裁まで争うつもりでありますが。
 何が言いたいかというと、私たちの事務所、政治家の事務所、多分皆さんわかるでしょう、残業代をきっちりと労働基準法に沿って払えるような体制かということを私はきょう問題提起したいと思っていて、この通知書にはこう書いてあります。メールやフェイスブックを用いた連絡文などの客観的資料に基づき当方で計算したところ、時間外勤務は四千五百時間を優に超え、七百万円を支払えと。ふざけるなと思うわけです。
 だから、ぜひ、委員長、これから労働基準法の改正案が出てきますね、政務三役が、それぞれ自分のところの事務所、労働時間管理をどのようにしていて、割り増し賃金を払っているのか払っていないのか、正確に労働基準法を守れているのか、きょう今御答弁できる方はしてください。できない方は、後刻、資料で出していただくようお願いしたいと思いますが、まず、政務三役の皆さん、どうでしょう。
 まず、三役にお聞きします。三役皆さんにお聞きします。

○塩崎国務大臣 追って御報告申し上げます。

○山本副大臣 残業が生じるような働き方をしていない人を私設で雇っています。

○永岡副大臣 調べまして、後ほど御報告いたします。

○橋本大臣政務官 追って御報告させていただきたいと思います。

○高階大臣政務官 調べまして、追って報告申し上げます。

○足立委員 恐らく、こういうような請求書が来るような事務所はうちだけだと思いますが、ただ、一般論としてぜひ、私は何人かの議員と一般論として議論したんです、この話は。結構シンパシーというか、足立さん、大変やなということを皆言ってくれます。
 実態は、例えばメール、電話、フェイスブック、さまざまな方法で秘書たちとは連絡をとり合っています。正直、二十四時間三百六十五日仕事をしています。私はしています。夜中でも起きます。朝でも起きます。そういう中で、秘書だけ労働基準法に沿って残業代を支払うということは、私はできません。
 だからこそ、労働基準法を直していただくために国会議員になりました。いいですか、そのために国会議員になったんですよ。おかしい。
 私が文句があるのは労働基準法だけじゃないんですよ。
 道路交通法。阪神高速を走ってごらんなさい。一車残らず違反していますよ。もしそこに掲げられているスピードを守ったら交通事故が起こります。みんなと一緒に走ったら違反しているんですよ。いいですか、これが道路交通法の一部です。
 公職選挙法。公職選挙法も、結局うちわがどうなったか知りませんが、法文上どういうふうに解釈していいかわからない問題がいっぱいあるわけです。
 そういう中で苦労しながらみんなやっているんだけれども、法治国家であれば、道路交通法、公職選挙法、そして何よりも労働基準法については、しっかり真面目にやっている人が守れるような制度、これをつくる必要があると思っていて、そういう意味では、きょうテーマになっている、何かしいんとしていますが大丈夫ですか、経済実態、社会の実態、働き方の実態に即して考えたときに、実現可能な立法をしていくのが国会の責務だと思っています。
 きょう、山井委員がいろいろと、ああだこうだということで、問題があるとおっしゃいました。確かに問題があるところもあるが、法律違反をしているところを取り上げて、かわいそうじゃないかという問題は全く別ですよね。法律があって、法律を守っていない会社の労働者が苦しんでいる、それは、エンフォースすればいいわけだから法律の問題じゃない。
 でも、私が申し上げているのは、真面目にやっている人が守れないような法律だったら直さないといけないですよねという、山井さんの問題提起と私の問題提起は全く別の話だということを御理解いただきたいし、また、私は、今申し上げたようなことがきっちりできない限り、山井さんがおっしゃっているような上限規制とかインターバルとか、私はそういう規制は要ると思いますよ。要ると思いますが、労働者を守る法律だけが、労働者を守る事項だけがばあっと制度化されていって、私は今、事務所の経営者です、経営者が法律を守るのが大変なものが、野党の、残業代ゼロ法案になるというようなレッテル張りでマスコミをひっかき回してやるようでは、こちらができないならこちらだってできないよなというバランスの中で厚生労働行政というのは今あるわけです。
 ぜひこの国会では、もう一回、政務三役の事務所の実態を明らかにしていくことを通じて、それはそうですよ、だって提案者なんですから、それを明らかにしていただくことを通じて、今国会の労働基準法の審議をより有意義なものにしていただきたいと思っています。
 一千何十万という一応下限みたいなものが議論になっていますが、これは将来的に引き下げる余地はあるとお考えでしょうか。大臣、どうですか。

○塩崎国務大臣 今回の法律では、年収が平均給与額の三倍を相当程度上回る水準ということを法律に書きます。実際に、今想定している一千七十五万円というのは省令に書くわけでありまして、したがって、法律に、年収が平均給与額の三倍を相当程度上回る水準、こういうふうに書いてある限りは、この法律を直さないと、一千七十五万を、四百万だ、三百万だみたいな極端なことを言う方が時々おられますけれども、そういうことは法律を改正しないといけないので国会での御議論になる、こういうことでございます。

○足立委員 明快な御答弁で、ありがとうございます。本当に国会の責務は大きい、こう私も思います。
 労働法制、ちょっと微妙な雰囲気が漂っていますが、一旦これで区切りにさせていただいて、委員長、ぜひ、先ほど、政務三役、五人の先生方、追ってということをおっしゃっていただきましたが、紙で。
 要は、私設秘書で結構です。公設はエグゼンプトされているということであれば、私設のスタッフの労働時間管理がどのようにされていて、そして、残業代を、普通は残業していれば支払っているだろうし、山本副大臣のように、残業していないということであれば支払っていないのは当たり前のことですね。
 それから、いわゆる労働時間の管理の実態、要は、勤務表というんですか、そういうものをちゃんとつけていらっしゃるかどうかも含めて確認をしていただきたいということで、委員長にお願いをしておきたいと思います。

○渡辺委員長 後刻、理事会で対応させていただきます。

○足立委員 わかりました。ありがとうございます。
 では、話を労働法制から医療、介護に移したいと思いますが、あと十五分弱であります。余り時間がありませんが、まず、私が医療制度、介護制度についてどう思っているかということを端的に御紹介した方が質問の意味がわかりやすいと思うので、申し上げます。
 私は、医療と介護は出自は違うと。医療は、民間の産業でありました。民間の営みとしてあった、なりわいというか仕事であったわけですね。一方で、介護というのは、措置として行われてきておった。出自は全く違うものであるが、医療も皆保険制度が整備され、介護についても、おくれながらも、より完成度の高い保険制度が整備をされてきたわけでありまして、今や医療保険と介護保険というのは、私は、もう医療介護保険と言ってもいいぐらい同じような枠組みが基礎にある、こう思っています。
 医療保険と介護保険というのは、もちろん、医療は子供たちも対象ですね、医療サービス。現役世代も対象です。介護は、一部の方を除けば、基本的には高齢の方が対象だったりする。そういうふうに、対象の違い。サービスの内容の違い、これは当たり前です。医療と介護なんだから違う。でも、医療保険、介護保険、保険制度としては本質的な違いはないと私は理解していますが、それでよろしいでしょうか。

○唐澤政府参考人 医療保険と介護保険は、御指摘ございましたように、医療サービスと介護サービスという違いはございますけれども、同じ公的な保険として、強制加入である、また保険料納付義務がある、そして必要なサービスを給付して受ける権利がある、こういう基本的な点は同じでございます。

○足立委員 まさに、今、端的に御紹介をいただいたとおりで、私もそう思っておりましたが、局長からおっしゃっていただくと、やはりそうなんだなと思うわけであります。
 ところが、厚生労働行政は歴史がありますから、例えば保険局というと、医療介護保険を見ているんじゃないんですね、当たり前ですけれども、医療保険を見ているわけであります。では介護保険を誰が見ているかというと、老健局長が見ていらっしゃる。多分、間違いないと思います。
 また、介護は、いわゆる社会福祉法人が中心的に担っている部分もあれば、営利会社の参入も大きく認めて、営利会社の方々のお力もかりながら介護保険制度というのは運営をされている。でも、医療は、通常国会、去年もおととしもよく私がここで取り上げさせていただきましたが、ますますその非営利性を高める、非営利性を徹底する方向での制度改革が積み上げられているわけであります。もともと民間の営利事業であった医療は非営利性を強め、もともと措置であった介護は営利性を強めているわけです。
 私は、介護と医療、それからもう一つちょっと申し上げておくと、医療は都道府県にどんどん今集めています、さまざまな機能、保険者機能も。ところが、介護は市町村です。これから地域で医療と介護が連携していこうというときに、本当にこの医療と介護の制度の違いというのは何なんだろうということなんです。もう保険の話は今御答弁いただいたので。
 同僚の浦野理事も、社会福祉法人を経営されておられますが、よくぶつぶつおっしゃっています、余り言っちゃいけませんが。要は、いろいろ役所の通達がいっぱいあって、この通達に則するとこうだ、いやいや、こういうことはやっちゃいかぬ、いやいや、こういうことはやっていい、ううん、どっちだろうということを日々やっているわけです。
 それに対して、医療法人は幾らでも会社をつくっていい、何をしてもいい、まあ何をしてもよくないですが、明らかに社会福祉法人よりも、医療保険の上に乗っている医療法人の行為というのは、介護保険の上に乗っている社会福祉法人よりも極めて自由度が高いんです。何でこういうふうに違うのかなと。
 私が親しく御指導いただいている地元のある社会福祉法人の方が、箸の上げ下げまで役所に言われるので、もう法人税を払ってもいいから社会福祉法人をやめようかな、こういう方がおられました。これは私にしてみたら、みんな営利会社にして、会社法に基づく会社に全ての法人をして、もし配当をしちゃいかぬというのであれば、配当制限を法律で定めたらそれで済む、こういうビジョンを私自身は持っていますが、なぜこんなに医療法人と社会福祉法人は規制の濃淡というか、あれが違うのか、端的にもし教えていただけたらありがたいです。よろしくお願いします。

○二川政府参考人 医療法人と社会福祉法人の規制等々のあり方の違いといったことでございますけれども、御承知のとおり、医療法人は、病院等を開設する法人として医療法に規定されているものでございます。社会福祉法人は、高齢者を対象とした社会福祉事業の実施を目的とする法人として、歴史的な経緯も踏まえながら制度化されてきたもの、こういったような違いがございます。
 また、それを前提にいたしまして税制措置も違ったものとして位置づけられておりまして、医療法人は、基本的に一般の株式会社等々と同じ扱いを税法上は受けておりますけれども、社会福祉法人の方は、篤志家の寄附等々を前提といたしまして、そういった税制上におきましても特別扱いが行われている。こういった経緯の違いから、制度としてそのように位置づけられているものというふうに認識をしております。

○足立委員 現状の御説明を今いただいたと思います。
 私の質問は、何が本質的な違いかということなんですね。なかなか御答弁が難しいテーマなんでしょうが、私が何を聞きたいかは御理解いただけていますか。いますかというのも変だけれども、要すれば、医療はこうだから、介護はこうだから、社会福祉法人、根拠法がそれぞれ違うんだ、税法も違うんだ、税法の適用のされ方も違うんだと。しかし、どうも見ていると、この国会にも社会福祉法人の改革の法案が出てきますが、どちらかというと、現状のあり方、無税で営んでいる社会福祉法人のありようについて世間様に説明がしにくくなってきたので、無理やり公的な仕事をやってねと頼んでいるという印象を持ちます。
 もう一回聞きます、局長。医療と介護、根拠法とか、そんなものはどうでもいいんです。なぜ医療は法人税を払っていて、なぜ介護事業は法人税を払わないでいいんですか。何が本質的違いなんですか。

○二川政府参考人 まず、法人制度の現状を先ほど御説明したところでございますけれども、医療と介護、医療サービスと介護サービスそのものの違いということにつきましては、まず医療につきましては、極めて専門性、安全性が高い、要するに医師といった国家資格を有する人が行う、こういったサービスであるということで、医師や医療機関の裁量が非常に大きい。そのサービスを受ける患者サイドとサービスを提供する医療側との情報の非対称性が大きい。
 一方、介護につきましては、具体的に入浴サービスをするとかそういった形で、どういったサービスによって自分の便益が受けられるかということにつきまして、利用者側の認識というのもそれなりに判断ができるであろうと。
 こういったような違いがあるといったことが医療と介護の違いかなというふうに認識をしておるわけでございますが、そういったようなことを踏まえての医療制度、介護制度といったものが実情であるんだろうというふうに考えているところでございます。

○足立委員 今、局長は情報の非対称性とおっしゃいました。情報の非対称性が大きいのが医療だ、こうおっしゃいました。
 情報の非対称性というのは、経済学で、これは釈迦に説法ですが、公的規制のリーズニングで出てくるわけですね。すなわち、医療の方が公的規制は強くないといけないんですよ。逆じゃないですか。

○二川政府参考人 医療はまさしく、今私が申し上げましたように、情報の非対称性が強いといったサービスでございます。
 そういった形でございますので、医療につきましては非営利性を徹底していくといったことが必要であろうというふうに考えているところでございまして、そういった方向での医療制度というものを実現していくという方向にあろうかというふうに思っております。

○足立委員 医政局長ですから答弁は限界がありますが、私は、きょう、所信質疑ということで、医療と介護にまたがるようなテーマをお聞きしているわけですが、時間の関係もあるので一点だけ。
 今、医政局長にお答えいただきました。では、例えば介護の分野で特養、特養は社会福祉法人しかできませんね。これはなぜなんですか。

○三浦政府参考人 御案内のとおり、特別養護老人ホームは、そもそも、御指摘ございましたとおり、措置という制度のもとで、高齢者の介護を社会福祉法人が担うという形で進んでまいりました。
 そういう意味で、そもそも特別養護老人ホームということになればこれは社会福祉法人が担うものとして整理した上で、施設のサービスとして介護保険で給付するということで整理したということでございます。

○足立委員 お聞きいただいたとおりで、理由はないということが明らかになるわけでありまして、ぜひこれはしっかり、また国会を通じて、審議を通じて討議を深めていきたいと思います。
 最後に、この国会でまた新しい法人制度ができます。地域医療連携推進法人、私は、これは大変期待をしておったんですが、期待倒れであります。
 私が一番問題だと思うのは、せっかく介護保険で営利会社の方々のお力をかりているにもかかわらず、これから地域包括ケアなど地域における取り組みで中核的役割を期待しているこの新法人に営利会社は参画をできません。
 新しい介護保険でせっかくすばらしい制度をつくって、営利会社も参入できるすばらしい保険制度を皆さん厚生労働省がつくってきたのに、なぜ今また新しい制度をつくってそこから営利会社を排除するのか、私は全くわからないんです。理由があれば教えてください。

○塩崎国務大臣 いろいろな議論がございました。今回の法律につきましては、やはり去年の日本再興戦略の中で、非営利の医療の法人という位置づけの中でお話が出てまいりました。
 先生、非常に本源的な問題提起をされて、この場を外してゆっくり議論したいなと思っているぐらいでありますが。
 確かに、ややねじれたことになっておりまして、医療は、税金を払っているけれども非営利を追求するということになっています。株式会社の参入というのがよく言われますが、実は、株式会社の本質はやはり株主が配当を受けるということと残余財産の分配を受けるという権利で、これを両方放棄するというようなことは効力を有しないというふうに会社法に書いてあるんですね。ですから、そうすると剰余金の配当と残余財産の分配を両方とも禁止するということはなかなか難しくなってまいりまして、何が一番大きいのかというと、私は、とどのつまり、医療というのはやはり命にかかわることであり、そこに影響を直接与える投薬とかいろいろなことをやるということで、ここは非営利ということになっているんだろうと思います。
 法人の課税するしないの話は、少しまたいろいろな経緯があって違う理由だろうと思いますが、ですから、今回は、医療の法人の中でバリエーションでもっと効率的なことを、しかし、これからは、言ってみれば高齢者の介護と医療を一体的にいろいろ地域ではやらなきゃいけないということは、地域包括ケアシステムもそうだし、今回の法人も、だから社会福祉法人は入っていただこう、それは医療の非営利というものと合わせていただくということが基本かなというふうに考えて整理をしております。

○足立委員 ありがとうございました。
 大臣、ぜひ、審議の場を含めて、また御指導いただきたいと思います。きょう取り上げました労働法制の話と医療、介護の話、政治生命が続く限り取り上げ続けてまいりたいと存じますので、また御指導のほどよろしくお願いします。
 ありがとうございました。

 

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