1.熱海の甚大な被害

ここ数日、熱海の土石流で安否不明になっている二十人をこえる方々のことが頭から離れません。亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、すべての被災者、関係の皆様にお見舞いを申し上げます。

静岡県熱海市で起きた土石流災害は発災から7日目を迎え、新たにお一人の身元が確認されるなど土石流による死者は9人となりました。うち身元が判明したのは6人。更に、依然として21人の安否が不明となっています。

2.元凶は建設残土か

これだけ被害が甚大になり、かつ、安否不明者の捜索が難航している、その理由の一つは、流れ出した土が大量の建設残土(産業廃棄物を含む)だったことにあるのではないか、と考えています。

発災した翌日、「開発行為による盛り土があり…この盛り土がすべて流れ出て…被害を甚大化させた可能性がある」との県の発表を受けて、私はツイッターに「この開発行為って何?建設残土ではないのかな。」と書きました。

その後、分かってきた事実は、各種報道を総合すると、
・崩落現場の盛り土の量は、行政に届け出ていた量より2万立方メートル近く多かった、盛り土の高さも計画より3倍以上になっていた
・盛り土の工法も(技術者の個人的見解として)不適切であった(難波喬司静岡県副知事)
・盛り土には、本来、必要な排水溝などが設置されていなかった
・盛り土の他、崩落現場の周辺で宅地造成や太陽光発電施設の設置など合わせて7カ所で土地の改変、開発が行なわれていた
・現場近くでは最近まで、残土などを運搬するトラックが、度々目撃されていた
・盛り土の中に産業廃棄物が混ざっていることが判明した(難波副知事)
・県や市は、これまでに何度も当時の所有者だった不動産会社に様々な違法行為について指導を行っていた
・太陽光パネルの影響がゼロとは言わないが、大きな影響を与えたかというと、そうではない(難波副知事)
・災害を甚大化させたのは、盛り土の5万㎥を超える盛り土であったことは、推定ではなくて確実(難波副知事)

3.建設残土を巡る政府の不作為

実は、同じような建設残土の崩落は、全国各地で起こっていました。2014年2月25日夜、私の地元である大阪府豊能町木代でも、大量の建設残土が崩落、土砂は長さ約200mにわたって府道に流れ込み、復旧に半年かかりました。

これを受け、国会でもたびたび質問し、議員立法にも挑戦しましたが、地元の代議士はじめ自民党の協力が得られず断念。そこで、総務省行政評価局の調査対象に加えていただき、近々、報告書が公表される段取りでした。

2014年 2月25日夜 大阪府豊能町木代で土砂崩落報道ぶりYouTube

        ↓《国会で問題提起》

   同年 2月26日    衆院予算委(第六分科会)で質問
      4月 8日      環境委
      5月16日      国交委

        ↓《法案提出、条例制定》

   同年11月14日      国交委
         同日  維新「建設残土安全確保法案(特定土砂等管理、土地掘削等規制法案)」を衆院に提出(審議経過情報
     12月26日  大阪府「土砂埋立て等の規制に関する条例」制定
2015年 5月20日    衆院国交委
      7月 1日  大阪府「土砂埋立て等の規制に関する条例」施行
      8月 4日      国交委
2016年12月12日  維新「建設残土安全確保法案」と同旨の3法律案を参院に提出
2017年 2月22日    衆院予算委(第八分科会)

        ↓《地域から外堀り埋める作戦にシフト》

   同年 8月     国交省「建設発生土の取扱いに関わる実務担当者のための参考資料」公表
2018年12月 7日  大阪府「第1回残土等にかかる土砂問題対策全国ネットワーク会議」開催
2019年 5月10日    衆院国交委
     11月22日      経産委
        25日  大阪府「第2回残土等にかかる土砂問題対策全国ネットワーク会議」開催

        ↓《行政評価の対象化》

2020年 1月     総務省行政評価局「建設残土対策に関する実態調査」開始
2021年 3月末    同調査の期限過ぎるも、総務省は調査中との答弁を繰り返す

   同年 7月 3日  静岡県熱海市伊豆山で土石流発生報道ぶりYouTube

4.迅速な規制法制定が必要

建設残土の不法投棄の危険性については、以上のように国会でも訴え、松井知事(当時)率いる大阪府も、1)全国の自治体を巻き込んだネットワーク会議を立ち上げ、2)毎年の国家要望でも法制定の必要性を重点要望として位置付けてきました。

今回の熱海の土石流災害が発生する前に政府を動かすことが出来なかったことは慚愧に堪えませんが、被害者の無念を弔うためにも、二度と同様の人災が起きることのないよう必要な法整備に取り組む決意です。

以上