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あだち康史
あだち康史
衆議院議員
Profile
衆議院議員4期、大阪9区支部長。日本維新の会憲法改正調査会長、国会議員団政務調査会長、幹事長代理、コロナ対策本部事務局長等を歴任。1965年大阪生まれ。茨木高校、京都大学、コロンビア大院。水球で国体インターハイ出場。20年余り経産省に勤務し欧州に駐在。東日本大震災を機に政治を志す。
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議事録 Transcripts

2013年5月22日 衆議院 厚生労働委員会 法案審議 基金の強制解散に係る訴訟リスク、低年金無年金対策

足立 康史

183-衆-厚生労働委員会-13号 平成25年05月22日

○松本委員長 次に、足立康史君。

○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
 私も一時間頂戴をしていまして、長いといえば長いですが、この問題は大変重要なテーマでございますので、しっかり、この一時間の時間にふさわしい質問、質疑にしてまいりたい、そのためにまた御協力をお願いしたいと思います。
 きょうは法案の審議ということですが、まず最初に、きょうの審議をずっと拝見、拝聴をしていまして、私は、民主党、自民党、公明党のことを国民会議派、こう呼んでいまして、なかなか非生産的な議論が続いているな、こういうふうに思っています。
 さきにここで私が質問させていただいたときにも、民主党がかつて政権をとられたときに、きょう、先生方、前に座っていただいていますが、民主党の先生方が言われたことの視点というか、問題提起はもう極めて正しい、ほとんど、私は個人的には九九%賛成です。
 ただ、上げて落として申しわけないですが、政権の座にあった間に、その問題提起に対応するソリューションを、国民の皆様が納得のいく形で、あるいは厚生労働省がしっかりと支えられるような形で処理をできなかった点は、現実にそうだったということで、やはりその責任は重いと思うわけでございます。
 さらに、今、国民会議派と申し上げましたけれども、山井先生初め民主党の先生方、やはりマクロ経済スライドの話は余りどうかなと。どうかなと言うのもなんですけれども、余りこの話をやっても、田村大臣がおっしゃったように、消費税に賛成された。その話を維新がやるなら意味があると思うんですよ。維新がその話をやるのであれば、何の後ろめたいところもなく、徹底的に田村大臣とやりとりすることが多分できると思います。だから、聞いていて、やろうかななんて思ってしまいましたけれども。
 民主党さんは消費税増税に賛成したんだから、その上で、今マクロ経済スライドの問題を取り上げて政策論争をするというのは、客観的に言って、第三者からいって無理があるなと。この点においては田村大臣の方に軍配が上がる、こういうふうに私は思うわけでございます。
 さて、それで、きょう私がいただいた時間でやりたいことは、やはり、きょうまさに民主党さんと自民党さんで、またこの問題提起は正しい、抜本改革はやらないのか。自民党は抜本改革はやらないのかという問題提起は、極めて正しいと思います。
 実際に抜本改革をこの年金の分野でやろうと思うと、必ず負担と給付の抜本見直しをやるということです。負担と給付の抜本見直しをやるということは、要は負担と給付の見直しですから、給付の見直しということは、今までもらっていない人に差し上げたり、あるいは今までもらう約束になっていた人から剥がさないと、負担と給付の見直しなんかできるわけがない。
 にもかかわらず、この厚生年金基金の審議においては、さきにも私は質問させていただきましたけれども、いわゆる訴訟リスクのような、要すれば、今まで何の瑕疵もなく頑張ってきた基金あるいはその加入者にとって、例えば今回の民主党提案のように、一定期間で解散を強制するというようなことをとった場合には、訴訟リスクがあるんじゃないかという議論がくすぶっているわけです。
 それに対して私がその議論をすると、委員席から民主党の方々は、いや、そんなリスクは当然ないんだ、こう言われるので、きょうは両陣営に前に座っていただいて、その点を明確にしておきたいというのがきょうの最大の論点の一つであります。
 今申し上げた訴訟リスクについて、全ての基金を強制的に解散させた場合の訴訟リスク、いわゆる財産権の問題、この問題について、田村大臣、そして民主党、それぞれのお考えをお聞かせください。
 どちらからがいいのかな。では、田村大臣からいきましょうか。

○田村国務大臣 これは、前回も私は御説明をさせていただきました。公共の福祉と絡めて委員から御説明があったというふうに思いますが、要は、いかに年金財政、これは厚生年金の本体であります、ここに対して御迷惑をおかけしない、するという中において、財産権ということの絡みがどうあるべきかという話だというふうに思います。
 そういう意味からいたしますと、やはり、そもそもの制度設計に合致した対応をされてこられる、もしくは、今までの事例から見たら、その期間内において代行割れする可能性というものがほとんどない、そういうような基金に関して、もし無理やりこれを解散させるということになった場合に、そもそも、そこからもらっておられる給付者の方々もおられるわけでありまして、その方々の財産権というものはあります。働いている方々の期待権というものもあるのかもわかりません。
 そういうものを公共の福祉と照らしても、厚生年金本体に迷惑をかけないということがかなりの確率で確かであるということであれば、そこから解散をさせて戻すとなれば、これは、公共の福祉とはやはり一線を画した中において、財産権の侵害というものを訴えられる、そういう訴訟リスクがあるのではないか、このように我々は認識したわけであります。
 一方で、もう既に代行割れをしている、もしくは代行割れする可能性が十二分に考えられる、このような基金に対して解散を促す、もしくは解散命令を出す、このようなことに関しては、これはやはり厚生年金本体、これに対する毀損をするリスクがあるわけでありますから、公共の福祉という意味でこれに対して解散をさせることに対しては、これは十二分に訴訟リスクに対して耐えられるのではないか。
 もちろん、訴訟リスクですから、訴訟する権利は幾らでもありますから、リスクはあるんですけれども、あとは、訴訟リスクの可能性といいますか重さといいますか、そういうものを考えた場合に、我々はそう考えたということでございます。

○山井委員 足立委員、質問ありがとうございます。
 先日の足立委員の質問も聞いておりまして、恐らく足立委員は、全廃した方がいいというふうなお考えを持った上でこの質問をしてくださっているのではないかと思っております。
 私たちは、結論から言いますと、訴訟リスクは少ないというふうに考えております。
 今回、一割の健全な基金は残すということでありますが、いわゆる健全というのも、過去十年、十二年の過去のデータにだけ基づいてそう判断しているわけであって、これは今後、株などがどう乱高下するかわからないということで、この代行制度については、必ず、もしかしたら代行割れが起こるというリスクはゼロとは言えないと思っております。ですから、私たちは全廃すべきと考えているわけであります。
 しかし一方、代行制度が廃止されても、厚生年金基金は代行給付を行わない確定給付型の企業年金制度に移行することが可能ですから、その場合は、代行部分の給付は基金ではなく国が給付ということに変わるだけでありまして、受給者にとって実質的な不利益は生じません。
 また、何より重要なのは、代行制度を廃止すると、企業側にとってはスケールメリットは運用として少なくなるわけですが、しかし一方、代行部分の給付責任は最終的には厚生年金本体が負うことになるわけで、もし、リスクが少ないといいながら、万が一の場合、代行割れになった場合には、その肩がわりは厚生年金基金に入っていない全ての被保険者が肩がわりすることになってしまいまして、これはまさに公共の福祉に反するわけであります。
 そう考えてみたときに、訴訟リスクは非常に少ないというふうに考えております。

○足立委員 ありがとうございます。
 民主党提案に賛成かどうかというのは、私は質問者であって答弁者ではございませんのでお答えしませんが、しかし、端的に言うと、山井委員が今おっしゃったラインはよくわかります。
 私もさきの質問の機会に田村大臣に申し上げた。既に厚生年金の本体が毀損してきた歴史がある、あるいは、厚生年金基金の制度についても、累次の見直しを経ても解決をしなかった。そういう意味では、ある種の政策の、言葉は悪いですけれども、政策の失敗を繰り返してきた。そういう意味では、私の立場からいえば、自民党政権に対して、長年の、二十年、三十年タームでのこの年金制度に関するハンドリングという意味では、余り信用をしていないということがあるものですから、そういう過去の自民党政権の年金のハンドリングの経緯を踏まえると、山井委員の説明の方が説得力があるかな、こう思いますが、田村大臣、何か反論はございますでしょうか。

○田村国務大臣 反論というわけじゃないんですが、毎年基金の年金財政はチェックしていきますので、今言ったルールが欠けた場合には、当然、こちらとしてはその対応をしっかりと見守るわけであります。対応しない場合には解散命令等々をかけるわけでありますから、当然、そういう意味からすると、厚生年金の本体部分に影響を与えないように、早目に早目に処置をしていくわけでございますので、そこに毀損が起こらないようにやっていくということでございます。
 考え方というか、哲学の違いみたいな話でございますので、これ以上御議論をしてもなかなかもう歩み寄れないのはよくわかっておりますけれども、我々は、訴訟リスクというものを最大限避けたいという思いの中でこのような制度設計をさせていただいた。そしてまた、今申し上げましたとおり、厚生年金本体には迷惑をかけないというような制度設計のつもりでこれはつくったわけでございますので、その点は御理解をいただきたいというふうに思います。

○足立委員 ありがとうございます。
 私も、この点、これ以上やっても詮ないと思っていますので、かつ、お忙しいと思いますので、本件、これでいいですか。もし、いや、俺たちももう一回反論だというのがあればあれですけれども。では、よろしくお願いします。

○柚木委員 失礼いたします。
 反論というよりは、まさに大臣も御答弁されておられましたけれども、重きをより置く視点がどちらかということで御答弁を申し上げたいと思います。
 まさに財産権への配慮とそれから公共の福祉の観点との比較考量についてということで、二題目、いただいておりました。
 これは本当に、結論から申し上げますと、厚生年金基金を全廃しても、それは公共の福祉に適合するものでありまして、財産権に対する合理的な制約として、容認すべきものであると考えております。
 その理由といたしましては、これは大事なところなので少し説明をさせていただきますと、年金受給権、これは憲法二十九条第一項の財産権に該当する中で、第二項に、「財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、法律でこれを定める。」とありますが、最高裁判例では、「法律でいつたん定められた財産権の内容を事後の法律で変更しても、それが公共の福祉に適合するようにされたものである限り、」違憲ではないと。
 その内容につきましては、一旦定められた法律に基づく財産権の性質や、その内容を変更する程度、それから、これを変更することによって保護される公益の性質などを総合的に勘案してということになっておるわけですが、こういった判例も出ております。
 本件では、仮に代行制度が廃止されることになっても、先ほど山井提案者からありましたが、厚生年金基金は代行給付を行わない確定給付年金制度に移行することが可能であること、その場合には、代行部分の給付が基金ではなく国からの給付に変わるだけですので、上乗せ年金部分は企業年金として存続することから、受給者等には実質的な不利益が生じない。よって、財産権の内容が変更される程度、この視点からは軽微である。
 それから、代行制度につきましても、これは本来、国民全体の年金財政の財源に組み込んで、助け合いの財源として充当すべき保険料を、この間質疑もありましたが、厚生年金基金という一部の方が独占的に利用し、利益を享受してきたものだとするならば、これは公的年金と企業年金の財政責任が非常に混在していると言わざるを得ません。
 そして、この間御指摘ありましたように、近年は代行割れとなっている基金も多数発生しており、この責任が、最終的には、まさに大臣もそうならないようにとは言われましたが、この年金本体が負うリスクを考えたときには、関係のない被保険者にも負担を肩がわりさせることになりかねない。
 こういうリスクを排除することは極めて重要な公益であるという観点から、我々は、この基金の全廃は、財産権に対する合理的な制約として容認されるべきものであると考えておるところでございます。

○足立委員 ありがとうございます。
 改めて今御答弁いただきましたが、私は、個人的に、今おっしゃった民主党の方々のラインがやはり適当な御見識だろうなというふうに思っております。
 なぜそう思うかというと、これは本当に重要なところだと思うんです。この感覚の違いが、やはり今の自民党政権、自公政権の、ある種の社会保障に係る政策の非常に大きな枠組みを決めていると思うんですね。
 それに対して、今、民主党の方々が御答弁いただいた感覚は、今後、年金を含む社会保障制度の抜本改革をやっていこう、やっていく必要があるんだという公益に関する感覚、あるいは公共の福祉に関する感覚、政策に関する感覚、これがやはり違うんだろうなというふうに思います。
 国民会議派と一括してしまいましたが、国民会議という場は、まさにその改革をすべきなのか、しない方がいいのか、どちらが国民の福祉に供するのか、それをやはり討論いただいて、争い、そして、ある種これは議論ですから、論理でどちらが勝つかということで、公開しているわけですから、国民の目から見てどちらの言葉、論理に説得力があるかということをぜひやっていただくようお願いしたいと思います。
 お忙しいと思うので、民主党の方々への質問はこれで終わりたいと思います。ありがとうございます。
 今、国民会議、あるいは自民党、あるいは民主党ということで、私、僣越なことですけれども申し上げました。
 ちょっと質問の順番を変えますが、お配りをしているこの紙は、先ほど、恐らく一枚目はもう民主党の方も配られた資料だと思います。これはいわゆるクローバックということでいいと思うんですが、年金の給付額を、ここでは、低所得者に年金額を加算するのにあわせて、高所得の基礎年金受給者、高所得の老齢基礎年金について一部支給停止にするという御提案が、これは政府案ですかね、当時、民主党政権の時代ですから、これは民主党政権の時代の政府案として、政権の案として出た案でございます。
 こうしたクローバック、いわゆる年金でいうと、よく民主党は当時、最低保障の議論をするときに、スウェーデン方式に倣ったような紙を配っていたんですね。私はそこがそもそもの間違いだったと思っていまして、民主党は最初からカナダ方式で議論をすべきだったと思うんですね。カナダ方式にはこのクローバックというのがしっかりと入っている。このクローバックの議論をやはりちゃんとした方がいい。
 なぜならば、社会保障、年金の議論は、配るばかりの議論ではだめなんですね。支給開始年齢を引き上げる議論も要るだろうし、あるいは給付水準をカットするような議論も要るだろう。消費税増税の議論は既になされたわけですけれども、私たちは、相続税あるいは所得税の議論をもっとした方がいい、こういうふうに思っているわけでございます。まさに給付の削減、端的に言うと、まあ私ばかり、先ほども事務所に帰るとうちの事務所のスタッフからしゃべり過ぎだと言われたんですが、やはり国民の皆様によくわかっていただく必要があるので申し上げるんです。
 今の制度は、可処分所得が低い、苦しい現役の世代が消費税を払う、大変苦しい生活をしている若い現役の人たちが、高額所得の高齢者、この方々の年金を払っているんですね。今の制度は明らかにおかしいんです。
 民主党政権のときのこのクローバックの制度、これはなぜ実現をしなかったんですか。当時の政府が提案したものが実現しなかった、その経緯について、今の政府にお伺いをします。

○桝屋副大臣 お答えします。
 恐らく委員は皆御承知の上でお尋ねになっているんだろうと思いますが、今委員が御指摘になりましたように、高所得者の年金額を、支給停止と今言われましたが、調整することについては、おっしゃるように、所得再分配機能を強める観点から議論が行われた結果、前の政権のときに、年金機能強化法案の政府原案において、低所得者に年金加算を行うこととセットで提案をされたという経緯がございます。
 その後の話でありますが、この措置を導入した場合の影響について、三党で議論が行われました。先ほど大臣からも、現行制度の所得代替率の説明もございました。今の制度でも、相当、高所得者の所得代替率というのは低いんだ、こういう御説明もありましたが、さまざまな声がある中で、三党での議論では、高齢になっても比較的高額の所得が見込めるような者が、国庫負担相当分であっても年金額を減らされることで、保険料納付インセンティブに悪影響を与える、私が言っているのじゃありません、そのときの議論であります。それから、約束した給付が支払われないのは社会保険の原則に反するのではないかという懸念も示されたわけであります。
 これらの三党協議の結果、高所得者の年金額の調整については法案から削除され、引き続き検討する旨の附則が置かれることになった、こういう経緯がございます。
 こうした経緯を踏まえつつ、引き続き議論されるんだろう、こういうふうに理解しております。

○足立委員 まさに今副大臣がおっしゃったような経緯でこの案は潰れたわけでございますが、私は、必ずこういう制度は将来必要になる、近い将来必要になるし、こういう議論をしないのであれば自民党政権は絶対続かない、ちょっと偉そうですけれども。私は本当にそう思っているんです。負担と給付の見直しは絶対必要。
 今副大臣がおっしゃったように、いろいろな指摘があった。ここでは、例えば、今、保険の性格上、約束していた給付を下げるということは、それは保険の原則に反するという御指摘がありました。だからこそ、実はきょう、まさに入り口のところで訴訟リスクの議論をしたんですね。
 結局、大義、すなわち公益あるいは公共の福祉という観点で、そういういわゆる給付を削減するある種の約束違反、財産権の侵害、それをカバーして余りある公共の福祉の観点があるかどうかが問われているわけです。
 だから、自民党にはそういう大きな公共の福祉の観点が、長く政権におられた歴史の中で、やはり私は失われてきているんだろうなと。だから、そこのリスクをリスクとしてやはり感じちゃうんですね。しっかりと抜本改革の構想を練り上げれば、その抜本改革の枠の中で、一部財産権を、ごめんなさいというようなところが出てくるのは、これは必然だと私は思います。
 そういう意味で、きょう最初から申し上げている訴訟リスク、あるいは財産権への配慮と公共の福祉の観点との比較考量という観点が、ここでも同じように出てきて、民主党は提案したけれども、自民党を初めとして反対してこれは潰れたということを改めて確認しておきたいと思います。
 もう一つ、今副大臣がおっしゃった理由の中で、約束だからという話と、もう一つ、保険料を支払うインセンティブに影響を与える、要は、そういう制度変更をするんだったらもう払わないよというような議論があるということであります。
 そもそも、この年金というのは、保険料というのは、きょうも出たかもしれませんけれども、基本的には強制加入、強制加入という言い方はよくないのかな、強制徴収じゃないですね、いわゆる自由加入ではないですね。にもかかわらず、そういうように、保険料を加入者が支払うそのインセンティブに配慮をしなければいけないのは何でなんですか、というのは質問になりませんか。

○桝屋副大臣 今の委員のお尋ねは、そもそも強制適用ではないか、強制徴収なんだからインセンティブのことなんか気にしなくていいと。
 こうはおっしゃいましたけれども、やはり多くの国民の皆さんは、我が国の全体の社会保障制度の中で、年金制度、これは医療も同じだと思いますけれども、強制徴収であるがゆえに、それだけ強い関心をお持ちであるのも事実であります。その結果、自分が強制徴収されたその保険料がどう使われ、どう年金として設計されるかということは、私は、委員が思っておられるほど、国民の皆さん、簡単ではないだろうというふうに肌で実感として感じている次第でございます。

○足立委員 ありがとうございます。
 通告との関係でちょっと入り乱れたかもしれませんが、ごめんなさい。
 この保険料の徴収の問題というのは、やはり、これから我々がこの年金制度を、あるいは社会保障の負担と給付を見直していく抜本改革をするに当たって、先ほどの財産権と公共の福祉の関係の比較考量と同じように、制度の基礎として、この徴収の仕組みというのは本当に大事だと思うんですね。
 今、年金の保険料については、今のお話でいうと、いわゆる自主納付ということになっているということですが、歴史的にはいろいろな議論はされてきたらしい、これは事務方にもお伺いをしました。
 現時点で、この年金の保険料徴収について、現状がどうなっていて、その改善に向けてどのようなお取り組みになっているか、事務方でも結構ですのでお答えください。

○高倉政府参考人 お答え申し上げます。
 国民年金の保険料、その納付率の状況でございます。現状と改善に向けた取り組み状況ということでお答えさせていただきます。
 国年保険料納付率につきましては、近年、国民年金加入者の就業状況の変化、あるいはまた年金制度に対する不信や不安などを背景といたしまして、低下傾向にございます。
 具体的には、一番近い時点での満年度の納付率、平成二十三年度の当該年度内の分の現年度納付率という部分で申しますと、五八・六%という大変厳しい状況にあると認識しております。
 なお、直近の月々の動きで見ますと、今の現年度分の納付率、ことしの二月末現在では対前年同期でプラスに転じてはおりますけれども、まだまだ厳しい状況にございます。
 そのような中で、この国民年金の未納対策をどうするか。これは、年金制度に対する国民の信頼を確保して、そして国民皆年金を堅持していく、この上で大変重要な課題と考えておりまして、基本として、私ども、未納者の属性などに応じたきめ細かな対策が必要ということで、幾つか分けて取り組んでおります。
 具体的には、一つには、低所得者の方々への場合は、文書や電話による免除制度の周知、勧奨、また短期の未納者、まだそんなにはたまっていないといったような方々に対して、戸別訪問などによる納付督励などの業務、こういったことをやっておりますけれども、その部分を効率的、効果的に行う観点から、民間に委託する市場化テスト事業という形でやっておる、これを、いろいろインセンティブ構造を変える等の強化をしております。これが一点。
 二点目としては、高所得者でありながら未納という方々に対しましては、差し押さえなどの強制徴収の対象者を拡大してきております。
 三点目、最後でございますけれども、負担能力がありながら一定期間納付しない未納者、中間的な方々が中心ですけれども、特別催告状というようなものをお送りしまして、納付していただくか免除手続をしていただくか、きちっと手続をとっていただかなければ強制徴収に移行していきますという予告状のようなものを出すというものも、近年、新たな対策として進めてきております。
 さらに、現状での検討状況としましては、これは、昨年八月に成立いたしました税制抜本改革法におきまして、「年金保険料の徴収体制強化等について、歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し、実施すること。」とされたことを踏まえまして、現在、内閣官房副長官を座長とする検討チームにおきまして検討いただいているところでございまして、この御議論も踏まえて、未納対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。

○足立委員 ありがとうございます。
 さまざまな御努力をされておられることはよくわかります。
 一方で、今まさに冒頭おっしゃったように、今の実態は、端的に言うと、四割以上の人が払っていない、かつ、その改善についても、前年同期比で上がったり下がったりですから、要は膠着しているわけですね。決して改善の見通しがまだ持てていない、数字の上では持てていないのが現状です。
 私は、四割の未納というのは、言葉は悪いけれども、別に年金に対する信頼を、逆にこういう議論が失わせることをもちろん恐れながらでありますが、もう既に今の制度はそういう意味では破綻をしているというふうに言う方々がいても仕方がない、そういう納付率だと思います。
 そういう中で、さまざまな方々が抜本改革ということを議論する。我々維新の会は、まだ公約としてきっちり整理していませんが、端的に言えば、クローバックのような議論は必ず入れるべきだ。クローバックのような議論を入れるのであれば、さっきの財産権の問題もそうですから、その点は私は問題ないと思っていて、むしろそういう徴収の問題をきっちりと解決しないと、これは制度としては完結しないな、こういうふうには思っています。
 この徴収の問題については、今おっしゃったように、一部強制徴収ということで取り組まれていますが、大変なコストがかかるという中で、私は、一つ注目すべきは、いわゆるマイナンバーみたいな制度と、そして歳入庁のような議論、これはいろいろ批判があるのはわかっていますが、少なくともこの徴収の仕組みについては、抜本的な議論をというか、しっかりとした議論をもう一回やらないと、四割以上の未納付があるような中でどう議論しても、それはもう誰からも評価もされないし信頼もされない、こういうふうに思うんですね。
 その観点から、きょうは内閣官房にもおいでをいただいていますので、歳入庁構想、今、我々も含めて野党五党で歳入庁の法案を提出させていただいていますので、この法案についての現時点での政府のお考えをお答えください。

○山際大臣政務官 今のお話の歳入庁の法案についてですが、もともとこれは、昨年成立した税制抜本改革法のときに、自民党、公明党、民主党の三党合意に基づいて、「年金保険料の徴収体制強化等について、歳入庁その他の方策の有効性、課題等を幅広い観点から検討し、実施する」、ここに基づいて行われているものと承知しております。
 政府といたしましては、この三党合意に基づきまして、内閣官房副長官を座長とする関係省庁の政務官による検討チームを開いておりまして、まさに税制抜本改革法の規定に基づいて、この徴収体制強化を歳入庁のことも含めて今検討しているところでございます。
 一方、野党が法案で提案されている歳入庁については、現在の国税庁に近い職員数で新たに年金保険料の徴収業務等を行わせるものであるというふうに承知しておりまして、その場合に、業務に必要な人員をどう確保するのか、そしてまた、そもそも年金保険料の納付率向上につながるのかどうかという根本論の話、また逆に、国税の徴税能力が低下するおそれはないかといった観点から慎重な考え方もある、このように認識してございます。

○足立委員 山際政務官、ありがとうございました。
 この歳入庁の法案自体はまた別途審議があるかと思いますので、その際に詳しくやりとりをしたいと思います。
 ただ、一番、私がいろいろな方とこの歳入庁について議論をしたときによく言われるのは、国税庁といわゆる年金機構、旧社保庁、この二つのある種の文化というかがやはり余りに違うと。わかったようなわからないような議論ですけれども、よくそういう議論をまことしやかにおっしゃる方がいます。違う組織で長年やってきた、税を徴収し、あるいは社会保険を徴収し、社会保険を徴収している方はその給付もいろいろな仕組みの中でやっているということですから、そもそも違う組織なんだということもわかるんですね。
 ただ、実は、この後ずっと、まだお時間を頂戴して、若干、税と保険料という話をしたいと思うんですが、そもそも税と保険料の性格が既に相当入り乱れてきているわけであります。これだけ税と保険料が、例えば、年金制度、医療制度、介護制度という保険制度の中に、大変大きな公費が入っているわけでありますので、そういう中で、私は、歳入庁の議論というのは非常にその合理性が高まってきている、少なくとも以前よりは高まってきている、こう思うんですね。
 これに対して、いわゆる国税庁の関係者の方が、勘弁してくれ、俺たちは非常にちゃんとやっているんだ、ちゃんとやっていないチームと一緒にしないでくれという気持ちもわかる。しかし、私は、この歳入庁の議論はやはりしっかりと、先ほど山際政務官の方から、歳入庁も含めて議論していくんだ、こういうふうにおっしゃっていただいていますので、我々も含めて、これは国会の場でもしっかりと歳入庁構想の法案を含めて議論をしていきたいと思います。
 ただ、やはり大事なところは、さっきの財産権の問題、この歳入庁の問題、そして、今から、あと残り時間で御議論、御討論をいただく税と保険、あるいは年金と福祉、こういう一応立て分けがある制度が混然一体となって、私は、バケツにばんそうこうを張る、こういう言い方をするんですけれども、包帯でぐるぐるに巻いて、バケツが一体バケツなのか何なのかわからなくなっているのが、今の、戦後続いてきた、自民党政権がつくってきたこの日本の社会保障制度の現状である、こういうふうに、僣越ながら思うわけであります。
 それ以上話はもう深入りしませんが、今申し上げたように、実は、日本の今の年金制度というのは税も入っている。さらに言えば、きょうお配りをしたこの資料、一枚目は成立をしなかった。もうちょっと詳しく、もう時間も限られていますから私の方から申し上げると、こういう提案をしたけれども、クローバック、すなわち、高所得の老齢年金の受給部分については、その一部、特に税金の部分、半分税金で面倒を見ているわけだから、その税金の部分の高額の部分は支給を停止する、そこで生まれた財源を、ここには、この制度でいうと七百億円の財源が生まれる、こう書いてあります。
 この財源が、もともと実はこの二枚目の制度に乗っかっていたんですね。五千六百億円の七百億円ですから六千三百億円ですか、という制度だったけれども、その財源がなくなったのでその分を減らして、こういう年金生活者支援給付金という法律ができたということでございます。
 また、この給付金が、ちょっと誤解があったら訂正していただいたらいいですが、低所得高齢者・障害者等への福祉的給付なんですね。これは、この給付は福祉なんですか、年金なんですか。通告にないかもしれませんが、大臣でも、どうでしょうか。

○桝屋副大臣 ちょうど私が浪人中の法案でありまして、私も関心を持って見ておりましたが、当初、年金本体でということもございましたが、福祉的給付として措置されたというふうに理解してございます。

○足立委員 この二枚目の図には、基礎年金の給付額に対して赤いラインで付加しているわけですね。すると、これは年金に福祉が上乗せされているということでよろしいですね。もう一度お願いします。

○桝屋副大臣 おっしゃるとおりでありまして、あくまでこの福祉的給付の対象者は年金受給者でありますから、所得の少ない年金世帯に対する給付でございますので、そういう理解でいいと思います。

○足立委員 幾つかこの点について確認というか議論をしておきたいんですが、この制度は実現をした。この制度は、年金生活者支援給付金を受けられる対象者、これは基本的には、今、名前にもあったように、低所得あるいは低年金の方々を対象にしているわけですが、なぜこの支給範囲になったんでしょうか。この低年金の範囲について、どういう理由でこうなっているのか、御答弁をいただければありがたいです。

○香取政府参考人 御答弁申し上げます。
 この制度は、今副大臣が御答弁申し上げましたように、基本的には低年金の方々に対して一定の所得保障を行うという趣旨で議論されたものでございます。
 当初は、御説明申し上げましたように、年金制度の中で、公費を用いて加算を行うということで御提案申し上げたわけですが、当然、一定の所得制限をかけるとか、一定の要件をかけて、いわば事後的な事由で年金額の変更を行うというような制度設計になります。
 これについては、やはり、社会保険制度として設計されている年金制度で、いわば給付の額自体を所得制限で動かして、かつ、それを公費で入れるというのが、全体の制度体系上なじまないのではないかということで、趣旨としては、あくまで低所得、低年金の方に対する加算ということで、年金制度の上に乗っかるものでありますけれども、制度体系上の性格としては、福祉的なものとして年金の体系の外で加算をする、こういう議論になったということであります。
 したがいまして、対象者の物の考え方は、基本的には低所得で低年金という考え方なので、具体的に申し上げますと、最終的には、施行時、二十七年の年金額で決めますが、その方の公的年金の収入と所得の合計額が老齢基礎年金に満たない方に関して、かつ、世帯全体、家族全体が住民税非課税である、こういういわば通常福祉の世界で使っている低所得の定義を持ってきまして、これに該当する方ということで、かつ、五千円の額に対して月々の拠出に応じた加算ということで対象を考えるという形にしたということでございます。

○足立委員 ありがとうございます。
 大臣、今局長から御答弁いただいて、私も本当に申しわけないなと。何が申しわけないかというと、やはり、厚生労働省の方々は、民主党政権の時代にこういう案をつくって、政権交代とともに、さまざまな調整を経て、こういう制度を……(発言する者あり)政権交代の前ですね、野党である自公と調整してこういう案に落ちついたわけでありますが、今あったように、年金の上に加算するけれども、年金制度の外でやるというような、これは、私たちはまあわかりますけれども、普通は理解に苦しむと思うんですね。
 私は、実はいろいろなところで、言葉が悪いですけれども、今の年金改革、少なくとも政府・与党の年金改革、社会保障改革はびほう策にとどまるという言い方をさせていただいているんですが、なぜ私がびほう策、びほう策と言うかというと、それはまさにこういうことなんですね。こういうことというのは、普通こんなことをしないだろうと思うような、非常にいびつな、福祉と保険が入り組んだ制度、こういうものが繰り返されてきているんです。
 詳細は繰り返しませんが、今の社会保障制度というのは、本当に、特に年金、そして医療なんかはその最たるものでありまして、バケツをつくった、水を入れた、当時はそれで運んでいたんですね。ところが、ところどころからひびが入ったり穴があいたりして水が漏れる。水が漏れると、漏れているぞということで、ばんそうこうを張るわけです。それをもう張って張って、びほう策を繰り返してきて、大変なバケツに今はなっているんです。
 繰り返し申し上げるけれども、民主党は、もうこのバケツはやめて新しいバケツにしようと言った。それはそれで、当時の役人たちは、これはおもしろいと思ったんですよ。こういう改革ができれば、これはまた新しい時代をつくることができるぞと思った人もいた。しかし、結局またこういう制度が繰り返されていく点について、やはり非常に残念な思いをしている方々もいるということなんですね。
 もう一つ、この表で申し上げると、副大臣、これは福祉だとおっしゃっていただいた。
 一回切った方がいいですか。では、大臣。

○田村国務大臣 当時、私もこの議論の中に入っていろいろなことをやっておりました。これは福祉なんですが、しかし、年金の色彩を持っているんです。なぜかというと、消費税というのは使われる使途が決まっていまして、一般の福祉の事業には使えないんです。そこで、これは福祉的給付といいながら、年金の色もつけました。
 言うなれば、無年金者の障害者の方々に給付をやりますよね、これは先ほど来話が出ています。あれは一応、年金の中のお金ではないんですけれども、年金という色彩でしているんですね。これと同じようにしませんと、これは消費税を使えないということでございまして、福祉的給付といいながら、実は、年金の一種というような形の中で整理をさせていただいておるわけであります。
 それで、先ほど来のクローバックの話がございまして、カナダは、まさに委員がおっしゃられたとおり、一階は全部税なんですよ。税だから切れるんですよね、税だから。
 なぜかといえば、当然、そのときの収入で切るものといえば、普通、税の世界の話であって、収入があるからたくさん税を取ろう、控除をなくそうというのは、これは一つの方法なのかもわかりませんが、しかし、この基礎年金というのは半分税で半分保険料なんです。何が起こるかというと、税の部分を切っちゃうと、将来収入がある可能性のある方というのは、それはもう国民年金を払わないという可能性が出てきますよね。全部税ならば、それはもう関係ない世界ですから。
 だから、こういう制度、カナダのような制度もあるんでしょうけれども、国民年金の場合はどうしても半分税で、しかも、昔は三分の二が保険料で三分の一が税でありました、今やっとこれが二分の一、二分の一ですから。すると、やはり国民年金の保険料を払うというインセンティブからすると、自営業の方々にしてみれば、これぐらいの収入がある方はおられると思います、六十五を超えられて。すると、もうそんなのは入らないでおこう、そういうことも起こってくるので、ちょっと制度として、やはりカナダとは違うと。
 だから、抜本改革をやれという話になられるのかもわかりませんが、これも先ほど来申し上げましたが、抜本改革というのはかなり時間のかかるものであります。委員もおっしゃられていた、例えば完全積立制なんという話になれば、過去の勤務の債務をどうするんだという問題はどうしても離れられない。そういう継続性のあるものを、抜本改革して、いい制度ですよというのが、我々も知恵を使ってもなかなか出てこないという中において、このような形で、現在の年金制度をなるべく皆様方に御信頼いただける方向で、何とか改良していこうということをやってきたという経緯があるということでございます。

○足立委員 今大臣からおっしゃっていただいたように、この民主党政権の時代の案は、クローバックといっても、税金の部分だけになっているわけですね。保険の部分はさわらない。こういうことになっているわけですが、保険のところをどうさわるかについては、まさに、きょう、冒頭からお話をさせていただいたような話があるし、その際には徴収の方法もあわせて議論をする必要がある。
 こういうことで、この抜本改革あるいは年金改革、医療の制度改革というのは、やはり全体を議論しないと、一部だけやると、こっちがないからだめだ、こっちを議論するときは、こっちがないからだめだということで、何も変わらない。これからの改革は、やはり全体の社会保障のあり方について、だからこそ、自民党の社会保障ビジョン、民主党の社会保障ビジョン、そして維新の社会保障ビジョン、公明党さんの社会保障ビジョン、こういうものを出し合って、私が申し上げているのは、その根底にある思想の違いというのがあると思うんですね。
 きょう、冒頭、財産権と公共の福祉と申し上げたのは、そこの感覚の違いがベースにあることをおいておいて、さあ、クローバックがどうだ何だということが、若干、それは議論として不毛じゃないかという大臣の感覚は、私も全く共有します。
 共有しますが、民主党政権の改革が大変残念な状況に終わったので、そういう意味では、改革派と現状維持派がもしいるとすれば、とりあえず、足元では現状維持派が勝った、勝っているということなんですが、私がこの質問で繰り返し申し上げているのは、しかし、現状の制度を見てくださいと。現状の制度を見るにつけ、足元では現状維持派が勝っているように見えるけれども、この制度はもう立ち行きませんよと。やはり、民主党が当時問題提起をした抜本改革の議論については、必ず出てくるということを繰り返し申し上げているわけでございます。
 ちょっと抽象的な話になってしまいましたので戻りますが、今の低年金の方に対する補足的給付について議論しました。
 私は、実は、ちょっとほかの質疑もあってきょうは外していたので、一部聞き漏らしたかもしれません。大臣が今おっしゃっていただいた無年金の方に対する措置もあるかと思います。この無年金に対する対策がどうなっているかということと、この低年金に対する給付金とそれから無年金に対する措置、この辺が全体としてどういう整合性になっているか、局長の方からお願いをします。では、大臣から。

○田村国務大臣 実は、その点は我々もかなり議論したんです、なぜ無年金者等々にはつかないんだと。それは無年金者の方がかわいそうじゃないかという議論もあったんですね、その当時。
 ただ、そのときに、最終的に民主党の方々と議論したのは、やはりこれは年金という色彩である。ですから、先ほど言ったとおり、消費税が使えるというのは、年金という位置づけだから消費税が使えるのであって、福祉的給付とはいいながら年金の一部である。低所得者に対して付加的に給付する年金的色彩を持った福祉的給付金であるということでございますので、無年金者にはつかないという整理、位置づけをしたような記憶がございます。

○足立委員 ありがとうございます。
 田村大臣、私は繰り返し申し上げますけれども、大臣のことは尊敬申し上げていますが、今みたいな話は、まさに私が申し上げているこの話の象徴で、今おっしゃった年金的色彩を持っている福祉的給付も、非常に、何だ、それはというようなものを編み出してきたのが、この……(発言する者あり)民主党政権ですか。一緒にね、だから国民会議派ですね。自公と民主党を含む国民会議派が編み出してきた制度というのはこれなんですよ。
 それは、ぎりぎり、法制局やいわゆる官僚の中で頭のいい人たちが、何とか、では、これでいきましょうとつくってさしあげたんだと思いますが、いわゆる政治家が仕切る話ではもうないですね、これは。本来、私たち政治家は、元官僚で、僣越ながら、申しわけありませんが、田村大臣ほどの方であれば、やはり政権をとっている間にもっと本格的な議論をやって、民主党の方々も参ったと言えるような社会保障改革に取り組んでいただかないと、今の政権も先行きは厳しいな、こう言わざるを得ないわけでございます、僣越な話で済みません。
 もう時間がございませんので最後になりますが、きょうずっと申し上げたのは、例えば、財産権と公共の福祉、徴収の問題、年金と福祉、あるいは保険料と税金、こういうさまざまな軸で、一体、日本の年金制度、医療制度、社会保障制度をどうしていくのかという議論を本当にしていかないといけない。
 繰り返し申し上げるけれども、民自公の国民会議派の方は、こういうお化けみたいな制度を生み出してきてしまったこの点については、僣越ながら、私たち維新の会は、今後の委員会質疑あるいはさまざまなところで、この議論はやはり正面から訴えていかざるを得ないと考えております。
 田村大臣、お取り込み中ですけれども、最後に、やはり、今申し上げた、税と保険料、年金という保険制度と福祉、こういう点で入り乱れている、制度が入り組んでしまっていることは大臣もお認めいただけると思うんですよ。現状が多少複雑になってきている。保険料と税の問題、あるいは福祉と年金、さらに言えば負担と給付、こういう軸で制度の見直し、それを抜本的と言うかどうかはまた民主党さんとやっていただいたらいいんだけれども、今申し上げたような視点での見直しというのは、今、国民会議を含めて、これから御議論をされていかれるでしょうか、どうでしょうか。

○田村国務大臣 これは、我々が、自民党が野党になったときにも、税と保険料と、いろいろなものが入っているけれども、全体の受益と負担というものはどう整理すべきだろうという議論は、いろいろと党内ではやってきておりました。
 問題は、そうはいいながらも、歴然と今、医療なら医療保険制度の中で、抜本と言えるかどうかはわかりませんが、高齢者社会に備える形で高齢者医療制度というものをつくって、これは、別建ての保険をつくったわけでありますから、かなりの改革であったことは確かだと思うんです。
 ただ、その中で、保険が成り立ちませんから、公費を入れざるを得ないという制度設計がある。だから、そういうものに対して、税ですぱっと、では、税でもう医療は全部やるんだと。それはわかりやすいですよね。実際問題、そういう国はありますが、それが結果的に、そのために財政状況等の影響があって、いっときかなり医療を縮小したという国もありました。その後、また拡大しておりますけれども。
 だから、税は税で、その時々の財政的な制約というもので大きく社会保障が影響を受けるという可能性もあるわけですね。保険制度というものは、安定的に保険料収入というものが一定のルールの中で入ってくるわけでございますから、保険方式の方がいいという議論もある。
 ですから、いろいろな御議論はあるんですが、すぱっと、これならば全て解決するなというような制度が、いまだ我々も拝見をしたことがないわけでありますし、そういう議論は、議論の中では出てくるんですけれども、では、これでやったらきれいさっぱり全部片づくねというような、そういう御議論をいただいたということは今のところないという状況であります。

○足立委員 これまでの国会等での議論は、まさにおっしゃるとおりだったと思うんです。
 ただ、なぜそうだったかというと、やはり、負担と給付、例えば負担を上げるとか、消費税は増税されたわけですけれども、給付の削減とか、いわゆる本当に苦しいところへの取り組みが足りなかったからだと私は思っています。要すれば、パッケージとして、改革案というのは、やはり相当国民に対して痛いというか厳しい内容に、それはもうならざるを得ない。
 ただ、私は、最後にやはり申し上げておきたいことは、年金であれば、先ほども申し上げたけれども、お金のない現役がお金のある高齢者に、まあ、消費税増税がそうですね。消費税で、お金の余りない現役が消費税で払ったお金が、お金をたくさん持っている高齢者の年金に行くというのが今の制度なんです。
 そういう制度が本当にこれからも理解を得られるのかについては私は否定的だし、むしろ、年金については、やはり、さまざまな、消費税のみならず、相続税や所得税にもしっかりと向き合ってその税源を充てていく。そして、年金については、生活保護や失業保険との兼ね合いもありますね。まさに老齢年金と生活保護との逆転現象ということが言われる。だからこそ民主党さんは、低年金、無年金について光を当てて政権をとったわけです。
 だから、そこについては、引き続き課題はあるんですね。そういう生活保護、失業保険、そして老齢年金というこの三つを全部一体で考えて、そして、私は、もう時間が来ていますね、済みません。その現金給付制度については、やはり税にある程度頼らざるを得ない。一方で、大臣が今おっしゃっていただいた医療については、やはり、保険の性格をきっちり堅持しながら、むしろ医療提供体制の出口のところの改革もしっかりとやっていくことが、今足元で一番重要だというふうに考えています。
 私の意見を申し上げても仕方ないんですが、以上のようなことを、私あるいは維新の会としても、これからさまざまな局面で正面からお訴えをしていきたい、こういうふうに申し上げて、質問を終わりたいと思います。
 大変にありがとうございました。

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プロフィール
あだち康史
あだち康史
衆議院議員
衆議院議員4期、大阪9区支部長。日本維新の会憲法改正調査会長、国会議員団政務調査会長、幹事長代理、コロナ対策本部事務局長等を歴任。1965年大阪生まれ。茨木高校、京都大学、コロンビア大院。水球で国体インターハイ出場。20年余り経産省に勤務し欧州に駐在。東日本大震災を機に政治を志す。
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