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あだち康史
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衆議院議員
Profile
衆議院議員4期、大阪9区支部長。日本維新の会憲法改正調査会長、国会議員団政務調査会長、幹事長代理、コロナ対策本部事務局長等を歴任。1965年大阪生まれ。茨木高校、京都大学、コロンビア大院。水球で国体インターハイ出場。20年余り経産省に勤務し欧州に駐在。東日本大震災を機に政治を志す。
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議事録 Transcripts

2014年4月23日 衆議院 厚生労働委員会 法案審議 徳洲会に対する調査状況、医療法人グループの非営利性

足立 康史

186-衆-厚生労働委員会-14号 平成26年04月23日

○後藤委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。足立康史君。

○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
 八十分という貴重なお時間を頂戴しました。うちの秘書からも、ちょっと議員はしゃべるのが遅い、民主党の先生方のようにもっとペースを上げてしゃべるようにというアドバイスが事務所の秘書からありましたので、できるだけ早口でいきたいと思います。民主党の先生、きょうは三人いらっしゃいますので、ありがとうございます。
 午前中、大臣、大変お疲れさまでございました。私も、この法案は大変重要だと思っていまして、私自身あるいは維新も、大変力を入れて準備をしてきたところでございます。
 ただ、午前中の審議は大変中身の偏ったというか、私は、もちろん民主党さんの、またここで民主党さんについて解説をするのは私の分を越えていますが、御主張自体はあっていいと思うんですが、個々の利用者さん、個々のAさん、Bさんについて、その取り扱いについて大臣に質問してコミットを求めるというのは、民主党の先生方が政治行政についての御見識というか、やはりちょっと正していただかないといけないところもあるかなと。
 我々もまた、何らかの形で政権入りをしたいと思って頑張っているわけですが、やはり、政治がやるべきこと、行政官がやるべきこと、あるいは地域でしっかりやっていくこと、いろいろあると思います。私は、やはり政治は大きく、特に今回の法案のような大変骨太な政策パッケージについては、その大きな枠組みについてまず議論を深めて、大きな枠組みから議論に入っていく方が、傍聴されている方、私の傍聴者は余りおりませんが、既得権というか、既存の集団と余り関係ないものですから、済みません、寂しくて。
 ですが、この法案の大きな枠組みについて、例えば、私、午前中聞いておって、では民主党さんだったらこれはどういう改革をするのか、そもそも地域包括ケアという、地域にサービスを、いろいろな意味で地域に力を持ってもらってやっていただくという大きな流れ、ではそれにそもそも反対なのかどうか、そういう議論がまずあると思います。
 私は、維新の会の中でもこの法案を担当させていただいて、何度も委員の方々と、あるいは党内の部会で議論をしてきましたが、最初に申し上げたいことは、自公あるいは政府・与党がつくってこられたこの法案、全体については大賛成です。だから、本当は、議論の当初、上野理事がちょっと首をかしげているかもしれませんが、当初、部会で議論をしたときに、これはやはり進めないといけないよなというところから、我々は議論に入りました。
 ただ、何度も申し上げますが、例えば、本会議で清水鴻一郎議員の方から申し上げたように、我々は、今回のこの法案、この審議、これは本当に、十年後に向けた、二〇二五年に向けたラストチャンスだというふうに清水先生もおっしゃって、私も常々そう言っています。だから、厚生労働省あるいは田村大臣、皆様方は、プログラム法を受けて、満を持してここに出てこられている、こう承知をしているわけです。
 であれば、この点とこの点とこの点だけは議論、討論をやはりさせていただかないといけない、あるいは、この点だけはもう少し手を入れていただく必要がある、こういう議論が維新の中で幾つか出ているということで、いろいろな理事の先生方、自公の理事の先生方といろいろ、陰に陽に、陰に陰に、水面下でいろいろ御相談はさせていただきますが、なかなか、頑張っていただいていますが、第一歩というところであります。よくわかりませんね。
 法案の話にすぐ入るべきなんですが、今ちょっと大変関心も高いGPIFの話を、一言だけ触れておきたいと思います。
 これも先般の、あれは一般質疑だったかな、野党、民主党の方からもいろいろとございました。委員の人事について、新聞報道もありますので、大臣の方から、今、このGPIFの委員の交代、これにまつわる、簡単で結構です、今こうだということだけ、ちょっと御紹介をください。

○田村国務大臣 GPIFの運用委員のお話だと思いますが、四月二十二日でございますので一昨日に、七名の方を任命いたしたということであります。
 任命に当たって、我々いろいろな勘案をしながら、今回、七名という形で任命をさせていただいたわけでありますが、一つは、やはり金融でありますとか経済に見識の高い方という形で選ばせていただきましたが、あわせて、やはり経済の局面が変わってきております。デフレから脱却をしつつあるという状況の中で、当然、運用環境も変わってくるわけですね。そういうところもいろいろと勘案をしていただきながら、しかし、我々が目指すのは、年金の財政検証をしたことによって、目指す運用利回り、この運用利回りをしっかり確保しつつ、一方で、リスクはなるべく低くということでございますので、こういうようなことをやっていただけるような方々ということで、今回、任命をさせていただいたということであります。

○足立委員 ありがとうございます。今おっしゃられたような考えで任命をされた、こういうふうに理解をいたしました。
 いろいろ批判もありますが、安倍政権は比較的積極的に人事権を使うということをやっていらっしゃいます。例えば日銀総裁や、いろいろとやっていらっしゃいます。ちょっと事例を忘れましたが。
 GPIFについても、いろいろ物の雑誌等を読むと、厚生省は、理事長の更迭と言うと非常に言葉が悪いですが、理事長についても人事を検討されている、一部こういう指摘がありますが、いかがでしょうか。

○田村国務大臣 済みません。先ほど、運用委員、一昨日と言いましたが、昨日でございまして、訂正させていただきます。
 理事長は適任の方にお願いをするということでございますので、適任の方にお願いを今させていただいておるということ以外、何物でもございません。

○足立委員 先ほど具体的な話をちょっと失念いたしましたが、安倍政権は、例えば日銀もそうですし、内閣法制局長官についても、これも明らかに、安倍政権が目指す方向。私は、人事権を持っている方がその政策意図に従って人事を行う、これはもう当たり前のことで、法律の枠組みがそもそも想定していることだと思っているんです。
 そういった意味では、GPIFの理事長職についても、私は、厚生労働大臣が一定の、先ほどおっしゃったような、マクロ経済と年金資金の運用、ここには一定の関係があるわけですから、これが、マクロ経済環境あるいはマクロ経済政策の流れによっては、不適任だということはあっていいと思いますが、これは任期があります。任期前の更迭は考えていらっしゃらないんですか。

○田村国務大臣 任期というものがあるわけでございまして、今の理事長も大変御活躍をいただいておりますので、適任な方に理事長をやっていただいておるというふうに思っております。

○足立委員 ありがとうございます。すると、ないということですね。任期は満了させると。

○田村国務大臣 任期というものは決まっておるということを申し上げたわけであります。

○足立委員 きょうは法案審議ですのでこれぐらいにいたしますが、いずれにせよ、なぜこれを私が今ここで取り上げたかというと、若干保守的な意見が一部政党からもありましたので、むしろそういう人事権の行使というのはあっていいはずだという応援演説、まあ応援されている気分はしないかもしれませんが、私としては応援演説のつもりであります。
 それから、これはきょうの法案とも実はかかわりますが、徳洲会グループに一定の調査をされている、こう聞いています。猪瀬前東京都知事の起訴ということもあったわけですので、今、徳洲会グループに対して調査をされているようですので、その調査の現状と見通し、できればその目的もあわせてお願いします。

○田村国務大臣 いわゆる徳洲会グループが公職選挙法違反に絡んでおるというような中において、法令にのっとって国民に医療を提供するという役割を担っておられる中において、理事長も含めそういうところに絡んでおられるとすれば、これは大きな問題があるという認識のもと、調査をさせていただくということであります。
 医療法に基づく医療法人への監督という意味、また指導監督ということを行うわけでありますが、今般のは、医療法にのっとったというよりかは、自主的に報告を出してくださいということで二月の二十八日にこれを求めたわけでありまして、四月の七日に報告書を提出いただきました。
 ただ、十分ではないので、改めて、足らない部分に関して報告を今求めておるという状況でございます。

○足立委員 今、徳洲会グループと私申し上げたわけですが、医療法上、ちょっと私も勉強不足ですが、これは、いわゆる医療法人あるいは社会医療法人、特別医療法人、いろいろグループにはあるのかもしれませんが、医療法人だけでしょうか。あるいはその関連の、いわゆるMS法人と言われているような、例えば株式会社徳洲会、いろいろあります。このグループ全体について調査をされているということでしょうか。

○原(徳)政府参考人 お答えを申します。
 今、任意の調査ということでお願いしておりますが、具体的な相手方としては医療法人徳洲会にお願いをしている。その中で、そのグループの中でいろいろあるので、グループ全体のことについても報告を求めている、そういうような状況です。

○足立委員 きょうこれからそのグループという話も出てくると思います。前も原局長とは討論させていただきましたが、そもそもグループとは何だとか、そういう議論もありますので、ぜひこれは、私は、今回の猪瀬前知事の事件は、徳洲会グループが、特に医療にまつわる巨大医療グループのかかわりでありますので、これは実際に何が起こったかということについて、やはりしっかりと明らかにしていただかないと話が終わらない、こういうふうに理解していますが、大臣、最後までしっかり徳洲会グループの調査をしていくと、一言お願いします。

○田村国務大臣 いろいろな法人があります。もとより、都道府県とも協力をしていかなければならない部分でありますけれども、これだけ大きな案件で、国民の皆様方も注目をされておられるものであります。
 医療法人という、国民に適切な医療を提供する法人が、変なお金の流れであったりでありますとか、直接、公職選挙法に触れるようなことをしておれば、これは大きな問題でございますので、しっかりと調査をさせていただきたいと思います。

○足立委員 今大臣から、しっかりと調査をすると。いつごろまでにお願いできるでしょうか。

○田村国務大臣 今、追加の報告を求めておるわけでございますので、これを見た上で、どうするのか判断をさせていただきたいと考えております。

○足立委員 大臣、物事には一定のタイミングというのがあるので、大体、今国会中ぐらいでしょうかね。

○田村国務大臣 これからの調査の、といいますか、まず報告の内容を見ないと、それによっては、またさらなる、場合によっては法律にのっとったということもあるのかもわかりません、そういう対応をしなきゃなりませんので、一概に申し上げられませんが、どこかにめどをというようなお話であるならば、夏ごろを、夏も幅が広いんですけれども、夏ごろをめどに一定の、今般の調査に関しての成果といいますか、何らかのものを我々としても判断させていただきたいなというふうに思います。

○足立委員 ありがとうございます。
 国会中と私が申し上げたのは、我々はやはり開会されていないとなかなかアプローチができませんので、会期中と申し上げましたが、臨時国会もあるかもしれませんので、しっかり明らかにしていただきたいと申し上げておきたいと思います。
 冒頭申し上げた法案ですが、今回の法案、党内で最初、閣議決定の後かな、厚生労働省から説明を受けました。党内ではもう、やいのやいの、この法案は何だ、でか過ぎる、こういう意見がありました。私は担当者として、しかしと、大臣のお気持ちもおもんぱかって、内閣法制局も通ったんだから、一定の総合確保ということであり得るんじゃないかということを申し上げたわけですが、つぶさに見ると、やはり薄いなと。医療、介護の橋渡しが、こっちからも申し上げると、基金とか計画の整合性とか、あと在宅関係とか、若干はあるわけでありますが、私は、もっともっと、医療と介護は、実態的には、地域においてシームレスに連携しながらサービスが提供されていく面があると思っています。
 大臣、政党によっては、これは国会対策だ、こういう指摘もあるわけですが、ちょっと反論をお願いします。

○田村国務大臣 医療と介護という意味からしますと、もう以前から申し上げておりますとおり、団塊世代が七十五歳以上になる二〇二五年というものを一つ目途に置きながら、医療・介護連携、地域で完結するような医療、介護ということで、例えば急性期の受け皿の整備でありますとか在宅、こういうものの整備、さらには地域包括ケアシステム、これは医療も介護も入ってまいります。そういうものの、今までもやってきたわけでありますけれども、しっかりとした位置づけ、それに向かっての整備、こういうものを入れ込んでおるわけでありまして、当然のごとく、地域支援事業の中で、医療・介護連携ということも入れさせていただいておるわけであります。
 それを実現するためにということで、総合確保、これにのっとって方針をつくる。国で方針をつくって、地域にそれぞれ都道府県計画をつくっていただいて、それに合わせて、これはまさに人材確保や在宅のサービスの整備であるとか、それこそ先ほど言いました地域の病院の受け皿、こういうものも含めて、新たな財政支援策というものを、それぞれ、基金というような形で配分をさせていただくためのいろいろな計画をつくっていただく。もちろん、地域の実情によって、それはそれぞれ都道府県と話し合いをさせていただく中で配分は決まっていくわけでありますが、そういうものをやっていく。
 そしてもう一つは、介護保険事業計画と医療計画、これは都道府県の地方医療計画ですね。こういうものを、今までは五年と三年ということで合わなかったものを、これを合わせていく、そういうようなものを盛り込ませていただいております。
 ただ一方で、言われるとおり、医療の第三者委員会、まさに、医療事故に対してどう対応するんだという法案が入っておったりでありますとか、あと、チーム医療の話もあります。
 ただ、これも、この医療事故の問題、調査の問題に関しましては、やはりこういう医療事故をどうやって防止していくか。防止していくこと自体が、やはり医療に対する信頼にかかわってくる、また質にかかわってくるわけでございますので、そういう意味ではやはり、これだけこれからいろいろな意味で医療と介護が協力をし合っていくという中において、医療、病院というもの、病院だけではないんですけれども、その事故を防止していくことは大変大きな観点でありますし、医療自体、強化するためにはチーム医療を進めていかないと、今日本の医療の人材の現状の中においては、なかなか厳しいところもあるわけでございまして、でありますから、チーム医療もこの中に盛り込ませていただきました。
 国会対策だという話があるんですが、本来は、これは一緒にやはり御議論をいただきたい、いただいた方が、多分いろいろな意味でいろいろなところが見えてくる。逆に、一本一本だと見えない側面が、全体で議論していただくと、違った側面の方から見ていただけるということがあるので、私は、これは一緒に御議論をいただきたいという思いがありました。
 ですから、これだけボリュームがある法案なものでありますから、大変恐縮で申しわけなく思うんですけれども、このような形で、今般、一本化して提出をさせていただいたということでございまして、御理解をいただければありがたいというふうに思います。

○足立委員 理解をしました。
 まるで与党の質疑のようなやりとりでありますが、まさに今大臣がおっしゃったように、これは一緒に議論すべきだと私も思います。
 さて、では医療と介護を一緒に議論しようということで、総合確保という、総合というのは何だとか、そういう議論も本当はしてもよかったんですが、時間も、長い時間ですけれども限りがありますので、その辺は割愛をして、ちょっと資料をお配りしています。
 ページがたくさんありまして、済みません。ちょっと気合いを入れ過ぎまして、これも要るだろう、これも要るだろうと思って、そうしたら、紙がきょう朝なくなりまして、何とかそれを隣の事務所から借りてくると、今度はトナーがなくなりまして、ぎりぎり先ほど運び込んできた次第であります。
 一番申し上げたいことは、この一枚目です。足立康史、足立事務所作成というものですね。これは、医療と介護を一緒に議論しないと出てきません、こういう議論は。
 非常に簡単に書いていますので、厚労省の皆様方からすると稚拙に見えるかもしれませんが、要すれば、医療と介護というのは、源流という言葉がよくわからないんですけれども、昔、もともとどういうサービスだったかというと、個人のお医者さんが民間で普通にやっていましたよね、でも、介護はもともと措置でしたよねというようなことから入って、でも今や、今や医療は皆保険となり、介護もすばらしい保険制度ができた。
 これは、私の経済産業省の同僚の伊原さんというのがいまして、お兄さんが介護保険のチームにいらっしゃって、当時、隣の役所から、何と介護保険制度というのはすばらしいのかと。医療保険のある種、学習効果もあったんだと、いや、勝手に思っているんですよ、勝手に思っていて、非常にいろいろな観点で新しい考え方が入っているということで、私は介護保険制度というのは個人的には高く評価を、僣越ながらさせていただいていて、一方で、医療保険制度あるいは医療の提供体制には課題が多い、どうしてもなかなか直せていないことが多い、こう思っているわけです。
 こうやって並べてみると、平成十八年の医療法人の抜本改革、社会医療法人ができましたね。ここには、公益性の高いサービスを担う法人として、医療分野では社会医療法人が非課税で、介護については社会福祉法人が特養等を経営している、これも非課税です。積極的な公益性を要求されない法人として、介護では営利法人の参入を認めた。医療については、経過措置型医療法人として、法人税の課税はあるという形で、そういう経過措置型の医療法人として見直しがされ、あわせて、持ち分なし医療法人を原則とする、こうなったわけであります。
 ぱっと見ると、何か平仄が合っていないなと。何で介護は会社で、医療は、一生懸命一生懸命、会社的なるものから離れよう離れようと。
 これは、なぜ持ち分なし医療法人が原則になったか。当時の資料を読めばもう至るところに、要は、持ち分の配当は禁止しているから非営利だけれども、持ち分の解散時の分配等は認めるということで、会社でもないと。公益法人でもない、会社でもない、そういうものが医療法人だ、こう説明しているわけであります。そういう二義的な、両面のある医療法人、要は、解散時には分配もするという意味では営利性が一定程度ある、でも、配当は禁止しているという意味では非営利性もある、そういう若干ハイブリッドな法人制度が医療法人制度だったわけです。
 当時、私は、もういいじゃないか、議決権もリンクさせて、もう持ち分会社にしてしまったらいいじゃないか、こう思っていたわけです。持ち分会社というのは例えば、会社法で言う、株式がないとすれば多分、合資会社、合名会社、合同会社とか、そういう会社にしてしまえばいいと思っていたんです。
 厚生労働省は当時、もう持ち分は返上しよう、こう決められたわけですけれども、少なくとも医療、介護を並べると何か平仄が合っていないように見えますが、いかがですか、大臣。

○田村国務大臣 私もこれを見て、医療法人、社会福祉法人の歴史的な経緯まで勉強しているわけじゃないので的確に答えられるかどうかわかりませんが、そもそも違いますよね、これは。
 医療の場合は、この真ん中の医療法人、今言われた持ち分がある医療法人から社会医療法人の方に、左にシフトしたものができてきたわけであります。
 一方、介護の世界は、措置のとき、左の社会福祉法人、この非営利のところから始まって、公益性の高い、つまり非課税ということですね、始まって、介護保険制度と同時にこっちにシフトしているということなので、ちょっとやはり……(足立委員「経緯は違う」と呼ぶ)経緯も違うし動きも違うという流れの中で、こういうような平仄が合っていないという部分もあるんだと思います。
 今言われたような、ちゃんと持ち分を議決権にリンクするというような方がいいじゃないかというようなお考えも委員は言われるわけでありますが、委員とは意見が合うところが多いんですけれども、ここは絶対に合わないところなんです。
 やはり、ここにも書いてありますが、事業をどう承継するか。この中で、やはり持ち分という考え方が、今、大きく弊害が生まれてきておるということでございますので、今般の法律にも絡んでくるわけでありますけれども、持ち分、できればこれからはなしという中に置いた方が事業を永続できるのではないかという流れの中で、委員が余りお気に入りになられていない方向に今動いてきておるということであります。

○足立委員 私も田村大臣を限りなく尊敬申し上げているわけですが、この点だけは違うなと。多分、私の方が正しいと思うんですよね。
 大臣は、必ずしも全て詳しいわけではないとおっしゃいましたが、きょうは局長もおいでですからあれですけれども、これは今おっしゃったように、経緯と向きが違います。
 この表からわかることは、もともと医療は個人ですから、営利も非営利もありません、個人ですから。民間です、まあ営利です。営利と非営利が区別がないんだから、営利です。その民間営利個人事業であった医療が、持ち分ありの配当なしの医療法人を経て、今や原則持ち分なしよというふうに、営利からハイブリッドを経て、今や持ち分なしに行っちゃったわけです。
 ところが逆に、措置であった介護サービスは、社会福祉法人を経て、今や営利法人に至ったわけです。
 逆どころか、両方とも医療保険、介護保険なんだから、普通は、違うところから発しても、ここで一緒になればいいわけですよ。ところが、違うところから発したものが行き過ぎちゃって、医療は何か、株式会社参入論の圧力から逃げるためだと思いますが、どんどんどんどん非営利の方に、非営利を徹底させれば株式会社参入論を蹴飛ばすことができるという、その一点で、そういう措置をとってきた。
 介護保険は、さっき申し上げたように、伊原先輩を初めとしてすばらしい厚生官僚が、これからの保険制度はこうあるべきだということで白地からつくったから、当然それは競争してもらおうと。実際にそういう方がプレーヤーとしていたということももちろんありますが、逆転しているんです、行き過ぎちゃっているんです。
 同じ保険であれば、同じように平仄を合わせませんか、大臣。苦しければ、局長でも結構ですよ。

○田村国務大臣 これまたやはり経緯が違うんだと思います。
 医療はそもそも、自由診療から始まって保険診療になるという中において、出来高制という流れでありました。出来高制というものは、いろいろなものをつけて、いろいろな診療報酬を取ろうと思えば、やろうと思えばやれる。もちろん、余りやり過ぎると、保険者からクレームが入ったり、監査が入るわけでありますけれども、しかし、いろいろなやり方があるのは事実だと思います。
 介護はもともと措置でありますから、株式会社というよりかは、もう決まった措置費の中で運営するので裁量性がなかったものを、保険という形で、しかも介護保険制度というのは、前から申し上げておりますけれども、出来高ではなくて、基本的には要介護認定において上限が決まるということでございますから、それでも、ないサービスをつくって出しているような事業者がたまにあって、そういうものは我々としてはしっかりと対応しておるわけなんです。
 しかし、上限というのは一人一人決まっておりますので、それ以上というものはないわけでありまして、そこに民間が入ってきても、もちろん悪いことをするところばかりじゃありませんよ、真面目にやるところもあるわけでありますが、悪いことをしようと思っても、なかなか、一定の歯どめがあってそんなに大稼ぎはできないというような、そういう制度の違いがある中において、介護の方は、これも前も申し上げましたけれども、初め、保険あってサービスなしと言われる可能性があるということで、民間のお力もおかしをいただいて、特に訪問系に関しては、民間のお力で今サービスが拡充をしてきておるわけであります。
 だから、そういう、やはり経緯が違うものでありますから、本当は一致したところでとまればいいんですけれども、こちらはさらに、先ほど言っております事業承継をどうするんだみたいな、そういう問題があって行き過ぎておるというのが今の現状であろうというふうに思います。

○足立委員 通告と順番がちょっと入り乱れていくかもしれませんが、大臣、恐縮です、この点はもう明らかに、私が申し上げることがやはり合理的なんです。
 何でかというと、今、この表をお出ししました。まだ解説していない文字があります。三角のかぎ括弧みたいなのでくくってあるところに、事業承継税制なしとかありとか書いていますね。わかりますか、この一枚表。
 まさに今大臣がおっしゃられたように、当時、持ち分なしの議論をしたときに一番議論をされたのは、持ち分でやはりみんな困っていたんです。
 何でかというと、またこれもちょっと議論がいろいろあるんですけれども、要すれば、診療報酬が出来高制であり、言えば幾らでも入ってくるわけです。一方で、配当はできませんから、すると、持ち分あり医療法人の持ち分は、持ち分というか資産は、剰余金は膨らんでいくわけでありまして、その中で、例えば今、医療法人の事業承継コンサルティングをしますみたいなホームページは山のようにあります。それを読むと、必ず柱の枕言葉に、配当できないから皆さんお困りでしょうと。
 先生方、済みません。お金がない先生もいらっしゃるのはわかっています。わかっていますが……(発言する者あり)私とかおっしゃっていますけれども。
 ただ、要すれば、配当できないから、あるいは医療機器が、医療機関でいろいろな機器をそろえないといけないこともあって、やはり資産は膨らんでいるんです。すると、事業承継とか、あるいは誰か持ち分を持っている人が抜けるとかいうときに大変な問題が起こるわけです。
 そのときに、では事業の継続性が問題になるじゃないかといってできたのが、この持ち分なし医療法人。それは、株式会社参入を阻止したい人たちの、言ったら無理やりでっち上げたロジックがそれであります。
 この会社のところを見てください。事業承継税制は毎年のように拡充を続けているわけであります。具体的に、この資料でいうと二十五ページ、二十六ページをちょっとあけてください。
 これは、いわゆる非上場株式の相続税、贈与税の納税猶予あるいは軽減制度でありまして、大臣、これは当たり前のことなんですけれども、医療機関が直面している事業承継問題、持ち分問題は、当然に中小企業、零細企業、全部同じなんです。物づくりの企業、サービス企業、あらゆる事業者が事業承継に悩んでいるんです。
 私、中小企業庁にもいたことがありますが、中小企業庁の毎年の大きな政策の柱の一つは、必ず事業承継対策なんです。毎年毎年充実をさせてきて、これを見てください。平成二十七年、来年施行される拡充事項もたくさんあるわけです。抜本拡充に今入っているわけです。なぜこれを医療法人は使わないのかと私は思いますよ。
 だから、もう一回、一枚目に戻ってください。今申し上げたように、中小企業庁が財務省主税局と一緒に整備をしているこの事業承継税制は、非上場株式等持ち分なんですよ。それはそうです、株式会社じゃない会社もたくさんあります。持ち分なんですよ。でも、医療法人の持ち分だけは、厚生労働省が頑として事業承継税制の要求をしていないんです。不作為なんです。
 大臣、どうですか。

○田村国務大臣 私は、厚生労働族だと思われがちですが、商工族もやっておったわけでありまして、一連のこの事業承継税制は、毎年税調で要望してまいってきておりました。
 これも、ここまで拡充してきたのはそんなに歴史が長いわけではなくて、ごくごく最近でありまして、もうとにかく、このままではなけなしの工場を手放さなきゃいけないという悲痛なお声の中で、自民党の中で議員連盟もつくってやってきたわけであります。
 そういう意味からすると、確かにおっしゃるとおり、医療の方が若干出おくれたのは事実であります。何度もこれは財務省、国税庁と議論をやって、ああでもない、こうでもない、どんな方法があるんだとやり出したのが、多分今からもう、それでも政権を失う前でしたから、もう五年も六年も前だと思いますけれども、それでやっとここにたどり着いた。
 そういう意味では、なかなか税という問題は御承知のとおりハードルが高いわけでありまして、それを乗り越えるために、これはもう私というよりかは自民党の関連の議員の先生方が大変な思いをしてここまで持ってきたということでございまして、若干遅くはありますが、そんなに何十年もおくれたというわけではございませんので、何とかこのおくれを取り戻すべく、お力をおかしいただければありがたいというふうに思います。

○足立委員 御答弁はもっともで、この事業承継対策は本当にここ最近、急速に変わってきた分野だと思います。ただ、いずれにせよ、八割相当の減免等が実際にはできるわけであります。
 要すれば、この経過措置型医療法人について、事業承継税制の対策からそこだけ穴があいているものだから、彼らは当分の間、経過措置として持ち分ありと認められているにもかかわらず、事業承継や贈与、そういう問題にぶち当たった途端、仕方ないから持ち分なし医療法人に移らざるを得ない、そういう政策体系になっているわけです。
 私は、この持ち分あり医療法人について、経過措置型医療法人について、事業承継税制が、要は、ほかのあまねく会社については一定の要件のもと制度が整備されつつあるのに、ここだけ措置がゼロであるのは、厚生労働省の不作為であり、実際にこの持ち分というのは財産です。だって、実際に、今、持ち分ありの医療法人で、持ち分ありの人がちょっと抜けると言ったら、資産を当該割合で持っていくわけです。これは実際に、今の存在している財産権を侵害していませんか、大臣。

○田村国務大臣 中小零細企業の事業承継税制という意味からすると、これは、ずっと持ち分といいますか株式なりがあるわけですよね、納税猶予という形にはなりますけれども。実は、この納税猶予も使い勝手が悪いというので、何度も何度も、やってから怒られながら改良してきているんですが、まだ完璧じゃないのかもわかりません。
 しかし、一方で、医療法人の場合は、これは持ち分なしにするということで、実は今回承継をしようと。ここはなかなか私からも申し上げにくいんですが、税務当局と議論をする中で、やはり医療というような、医療法人というような特殊性に鑑みながら、やはりそのような持ち分なしということが一つの要件であるねというような話し合いの中で、このような形態になってきたわけでございます。遅きに失したわけでありますが、実はそこにも大きな要因があった。
 そういうような方向性を出すという中において税務当局の方とも一定の合意を得られてきた、そういう流れもあるということは御理解いただきたいと思います。

○足立委員 この持ち分なしというのが、私は、もう誰と議論してもそうです、医療界のどなたと議論しても、これはフィクションですよね、そうですと。某医師会の役員だってそう言いますよ。某医師会の役員と議論しましたら、これは賛成したんですか、いや、そのとき私はいませんでしたとか、そんな人ばかりです。誰が腹を据えて持ち分なしにする覚悟があるんですか。
 例えば、この資料二十三ページをあけてください。
 これは、厚生労働省が今回の持ち分なしに移行を促進するための移行計画をつくって、厚生労働大臣が認めた場合につくる税制です。これは大した税制じゃありません。要すれば、持ち分なしにするんだから、税が免除というか猶予される。免除されるのは当たり前です、だって贈与を受けないんだから。当たり前なんだけれども、手続上いろいろとそごが出てくるから、その一定の期間、要は、事業承継をするんだけれども来年なんだよねとか、そういういろいろな手はずがあるからその間を埋めてくださいねという、ある種、制度と制度のすき間を埋めるような制度なんです。
 ただ、この説明紙の二十三ページと打ってあるところの「有効性」のところを見てください。これは、厚生労働省がいかに持ち分なしにするかと。要は、法律に持ち分なしと書いてある、厚生労働省は、持ち分なしなんだ、こう言っているけれども、では、その経過措置となっている持ち分あり医療法人の持ち分なし医療法人への移行の意思、診療所については五%ですよ。これで、持ち分なしが原則って……。(田村国務大臣「診療所ね」と呼ぶ)
 今、大臣は診療所ねとおっしゃいましたが、もちろん私の関心は病院です。私の関心は病院ですが、厚生労働省の政策は、診療所であってもあまねく医療法人ですよね。社団の持ち分あり医療法人です。あまねくそれが持ち分なしですよ。五%は、これは整合性というか、厚生労働省として、舌をかんでいませんか。
 私はこれをとっても、厚生労働省が、持ち分なしを原則として、経過措置型医療法人なるものをつくって、当分の間、現状を認めた。これは壮大なるフィクションで、国税当局と握り、そして、持ち分ありの多くの医業を営んでいらっしゃる医療機関の財産権をじわじわと、彼らは相続のときにしかその問題にはぶち当たらないわけです。じわじわと、相続の際には持ち分を放棄せざるを得ない。苦しくてせざるを得ないような政策枠組みをわざわざつくって、真綿で首を絞めるように医療機関を次第に持ち分なしの方に持っていく。こんな政策があっていいのかと思うが、厚生労働省及び医療界がそれでいいなら、まあいいですよ。
 しかし、さっき申し上げたように、一枚目にあるように、平仄が合っていないわけですよ。大臣が、地域医療介護総合確保法案、先ほど冒頭おっしゃったように、ぜひ両方一緒に議論してもらうことによって見えてくるものがある。これは見えてきましたね。これはおかしいんじゃないですか、大臣。

○田村国務大臣 与党が、また厚生労働省が、勝手にこんなことをやりたいと言うわけないんですよね。そんなの、納税猶予して持ち分なしになったらば税金要らないですよなんという制度を、わざわざそんなものを自分らで思って誘導するわけではないので、これは病院団体から強い要望をいただいて、税制要望の中で毎年いただいてきた案件です。
 委員は、病院を経営する持ち分あり医療法人、三分の一しかないじゃないかと言われるかもわかりませんが、全病院の三分の一がこれで困って病院を次に移行できないというような話になれば、もう日本の医療はがたがたになってしまうわけで、実は三分の一というのは結構大きい要望だと私は思うんですね。
 そういう皆さんの要望をいただいた上で、与党・政府が一体となって、これを何とかしなきゃならないということで今般の法律になってきておるわけでございまして、三分の二が関係ないと言っているからいいじゃないかというのはなかなか、今の日本の医療の現状を考えると、そうは切って捨てられないという中で今回の状況になってきておるということを御理解いただければありがたいと思います。

○足立委員 厚生労働のみならず商工にもお詳しい大臣に僣越なんですが、私、医療関係者と議論をしても、この事業承継税制についてやはり御存じない方が多いんです、お医者さんだから。本当にそうですよ。
 だって、繰り返し言いますけれども、皆さん、あらゆる経営者が、あらゆる事業者が事業承継問題を抱えているんです。先ほど大臣もおっしゃいました。長年の大問題だったわけです。
 これは、中小企業庁等と平仄を合わせて、同じ、持ち分ありのままであっても、事業承継対策は中小企業庁と厚生労働省が一緒になってそれを講じていく手もありますよ、これが一つの案です、持ち分なしも一つの案ですと、これを並べて聞きましたか。並べて聞いたときに、少なくとも私は、多くの医療関係者に、持ち分を放棄しますか、しませんと。この数字のとおりですよ。
 なぜ、なぜ、持ち分ありの医療法人について事業承継税制を、中小企業と同様の事業承継税制を講じないんですか。
 大臣、百歩譲って、この持ち分なしへの移行に当たっての制度整備、それはやればいいですよ、そういう方もいるんだから。でも、三分の二の方のために事業承継税制を講ずる必要はありませんか。

○田村国務大臣 そこで初めに戻るわけでありまして、医療法人を持ち分なしという方向に誘導しているわけですね。それは、これからは持ち分なしという形でなければならないと。
 税務当局と、事業承継を何とか、このままではだめだから、税制上何らかの優遇措置をいただかなければ病院が運営し続けられない、そういう危機的な病院がかなりの割合あるというお話で、これをいろいろと議論させていただいたときに、やはり税務当局にしてみれば、もう医療法人は持ち分なしという方向性でしょう、そういう方向性であるのに、持ち分を持ったまま優遇措置、事業承継の優遇はなかなか難しいのではないですかというようなやりとりがいろいろある中で、そんな今ある状況を勘案したときに、では落としどころはどこかということで、それならば、これならばお互いに目指すべき方向、利益というものは一致するよねということで合意を得たわけでございます。
 もとへ戻って恐縮でありますけれども、非営利性という流れの中で、もともと医療法人が持ち分なしという方向に進んでいったわけでありますので、今般、このような形の決着になってお願いをさせていただいておるということであります。

○足立委員 いや、大臣、ごめんなさい、持ち分なしに行ったのは平成十八年です。今般は、それを促進するというか、制度的な不備を直すというだけの話ですね。
 私が問題にしているのは、十八年の判断は間違っていませんかと。当時は医療だけしか見ていなかったからわからなかったけれども、地域医療介護法案としてこうやって横に並べるとおかしいと思いませんかというのが私の質問なんです。
 ちょっと一回休まれて、局長に。
 局長、どうですか、これはおかしくないですか。

○原(徳)政府参考人 平成十八年のときに、やはり非営利性を徹底する、そういう趣旨で、方向としては持ち分なしの医療法人へ行くということを、議論の末に決めてきたわけであります。そういう中で、今、承継税制もそういう方向の中で、今回、持ち分なしへの移行についての措置を考えているところでございます。
 また、医療と介護は、先ほど大臣からも触れましたけれども、医療につきましては、要するに上限がないといいますか、当然ながら、医療の必要に応じてサービスを提供していけるという保険制度上のそういうものがあるのに対して、介護保険は、例えば上限が決められている、そういう、世界が違う形でサービスを提供していますので、そこの中であって、全ての形態が同一でなければおかしいというふうには考えてはいないところです。

○足立委員 先ほどの大臣の御答弁も含めて、出来高制あるいは上限がない、この話は実はもうちょっとちゃんとやりたいんですが、今の話、十五ページの資料、これは営利、非営利ということで、かつての判例も含めて書いてあります。
 営利法人の定義、この「そもそも、」というところの判例ですね、アンダーラインが引いてあるところ、「毎年利益配当しない場合であっても解散時にまとめて社員に残余財産ということにして分配することを契約しているならば、」普通、持ち分ありの医療法人はこうです、「法人形態として営利法人と違いがない」と。
 こういう判例もあるから、どんとジャンプして、その下の方に移ると、「医療法人について、「社員の出資額に応じた払戻し」が認められることは、医療法人における非営利性の確保に抵触するのではないかとの疑義が生じた。」疑義が生じた、だから非営利性の徹底、こうなるので、理由が書いていないんですよ。
 要は、抵触したら、その条文がおかしいんだから直せばいいわけですよ。なぜ非営利性がそんなに大事なのか。
 そこで、先ほどの、上限がないとかそういう話になるんでしょうが、一般質疑等でも再三申し上げてきたように、そもそも、では、今の医療は非営利であることによって医療費を管理できていますか。局長、できていますか。

○原(徳)政府参考人 ちょっと御質問の趣旨がよくわからないのですが、管理ができているかというのをもう少し、どういう意味か教えていただけたら。

○足立委員 要は、医療費を抑制、際限なく医療費が伸びていくと、これは財源がもたないですよね。だから、医療費を適正な形で管理していくのは厚生労働省の、まあ医政局長の仕事ではないかもしれませんが、大臣、これは大事なことですよね。
 提供体制のところを非営利にすることによって、この後、徳洲会とかにまた戻るんですが、それが管理できていますか。

○田村国務大臣 それは、完全に管理できていれば監査に入る必要もないわけでありますし、保険者がいろいろな問題提起をする必要もないわけなので、個々においては適正な診療だと医療機関が思っていても、それはそうでないという場合で、いろいろな対応はあるというふうに思います。
 ただ、株式会社が入った場合とそうでない場合ということを考えると、これは前も申し上げましたけれども、株式会社は基本的には株主に対して配当をしなければならないわけでありまして、場合によっては、株主を満足できなければ経営者は解任をされるわけであります。
 そう考えたときに、やはり常に、制度上、制度上といいますか形態上、利益を上げなければならないというような形、そしてそれを分配しなければならないという制度になっておりますので、どうしても利益を上げる方向にインセンティブが働くがために、完全な不正とは言わないまでも、これをやらなくてもいいのかもわからないけれども、ここまでやった方が、うちも入るし、患者の方も今までよりも悪くはならない、ちょっとはよくなるというような、そういうさじかげん等々の中において医療費が伸びていくというおそれは、これはもう株式会社という形態に内在はしておるんだろう。
 もちろん、全ての株式会社がそんなことをやるとは、私は言っておるわけではありません、形態に内在しておるであろうと。
 一方で、非営利という形からすれば、そういう形態は内在していない。だからといって、悪いことをする、そういうような医療法人も事実あるわけでありますから、だから絶対に悪いことはしないとは言いませんけれども、形態的にはそもそもそのような内在しているものが違うんであろうということであろうと思います。

○足立委員 私は、先ほどフィクションと言いました。要は、当面、持ち分あり医療法人のままとどまるものが大宗であるにもかかわらず、持ち分なしを原則とするというそのこと自体が大きな大きなフィクションだと思っていますが、加えて今の、非営利であれば利益が漏れていかないんだ、これも私は壮大なるフィクションだと思っています。
 例えば、もう紙は見なくても結構ですが、二十七ページ以降に明治安田の紙を載せています。要は、非営利法人であっても幾つかの形で利益が外へ漏れていく。非営利性が侵食されると彼らは言っていますが、例えば二十八ページ、これは何度もやっています、MS法人を通じた配当ですね。それから二十九ページ、これは土地建物の流動化を通じた流出であります。
 私は、これまでの一般質疑では、この点について、例えば原局長から、世間の相場ならいいんだ、こういう御答弁で、私も引いてきたわけですけれども、きょうは、これは引きません。きょうから法案審議ですから、真剣度が上がっていますのでね。
 本当に医療法人が非営利だというのであれば、その取引先に、本来医療法人としてできるようなものを、例えば病院の建物を持っていてもいいですね、それを流動化して外に出す。外に出すと、必ずそれは営利事業体が受けているわけですから、利益が出ますね。彼らは利益を出すのが仕事ですから、大臣がおっしゃるように。その利益を積んでやっているわけでしょう。それは、その利益分が外へ流れ出していますよね。
 例えば、私は経産省にいたのですぐそういう話になるわけですが、これも何度かやりました、トップランナー制度というのがあるということを御紹介したことがあると思います。トップランナー制度の紙を十二ページに、大臣、これはぜひ見てほしいんですよ。十二ページの左下に、トップランナー方式の例ということで、省エネ、自動車の燃費のことを書いています。ある基準設定時に、トップランナーの効率、このレベルを目標年度の最低の基準にするんですね。これがトップランナー方式です。
 診療報酬はボトムランナー方式です。かつ、この診療報酬というのは、もう時間がないので急がないといけないんですが、これは丼なんですよ。
 例えば医師会なんかも、これは九ページの日本医師会の主張、右側の二段目、診療報酬には再投資費用が明確に含まれていない云々という記述があります。そもそも、診療報酬というのは出来高制だという話がありましたが、診療行為について点数がつくだけなんです。いわゆる再投資についてはつきません。これは、経営者がそれをしっかりやっていくしかないんです。だから、もともと診療報酬というのは丼なんです。この丼である診療報酬でばたばた倒産されても困るから、ボトムランナー方式で公定価格を決めているのが診療報酬なんです。
 何度もこの場でやりましたが、経営力のある法人は必ず剰余金がたまります。大規模であれば、なおたまります。規模の経済、範囲の経済が働けば、なおたまります。行き場がないんです。
 その行き場はどうなっているかというと、先ほど御紹介をしたような、明治安田と言って御紹介をしたような、二十八ページのような形で流出をしているんです。本当に非営利だということであれば、MS法人を認めてはいけないし、さらに言えば、薬局も非営利にすべきだ、こう思いますが、大臣どうですか。

○田村国務大臣 ちょっと整理をさせていただきたいんです、なかなか難しいお話をされているので。
 まず、MS法人というものは、何か商行為をしているわけですね。ですから、そこで適正な価格でやられている限りは、MS法人を使わなくても、他の経営者主体の企業に利益というものはちゃんと行くわけでありまして、それが適切な金額であるかどうかというのは大切であります。
 たまたまそこに、同じ運営者の方がつくった会社があるとしても、そこは商行為という労働があるわけなので、それに対する利益というものが、他の事業主体の企業に移った場合でも同じように利益が行くわけでありますから、そこまではやはりなかなか否定できないのである。そこで何か不当に高い金額、安い金額か……(足立委員「両方あります」と呼ぶ)両方ともありますね。要するに、利益を移すような行為があれば、それは問題だということで、前々から言っておるわけであります。
 それから、病院等々、ボトムランナーというお話がありましたが、診療報酬は、確かにおっしゃるとおり、医療経済実態調査を踏まえて、病院等々、診療所が運営できるような形の部分で、上げ下げという部分もあるわけであります。もちろん、それ以外にも、そのときの医療ニーズ、さらには政策的な部分、こういう部分で診療報酬をつける部分がありますから、必ずしもそれだけではないわけでありますけれども。
 そう考えたときに、この出し方は、それぞれの事業規模、例えば病院なら病院の規模、規模別、それから診療所、有床診、それぞれ分かれております。その上で、その中は平均で出しておりますから、そういう意味では、ボトムという意味ではなくて、平均で対応いたしておるわけであります。
 それは、中には、潰れる医療機関も最近はふえてきておるということでございますから、潰れるところもあると思いますし、一方で、剰余金を出すところもある。剰余金を出すところは、本来は、やはりちゃんと医療的な投資をしていただいて、さらによい医療を提供いただくというのが医療法人のあるべき姿でありますし、多くはそうしていただいているんだろうというふうに思うわけでございます。
 そういう意味からいたしますと、MS法人というのは、確かに、同じ運営者という形からすれば、委員には、利益が漏れたというふうに映るのかもわかりませんが、これは、他の企業であっても同じだけのものが出ていくということで考えれば、そちらの側面から考えれば合理的であるというふうにも見えるというふうに思います。

○足立委員 私が、MS法人を禁止すべきだ、仮に非営利だというのであればですよ、仮に非営利だというのであればMS法人も論理的に破綻すると申し上げているのは、大臣が今おっしゃった、系列のMS法人に出すか、また別の事業者に出すかの比較でありますが、私が言っているのは、医療法人で本来やっていた事業を外に出すと、例えば、病院というのは、病院の建物、これは自分のところで持っていらっしゃるところが比較的多いのか少ないのかわかりませんが、持っています。ところが、だんだん資金的に融通がきかない、要は、資金調達の一環として、これを流動化といって、言ったら外の方に持ってもらってリースバックする、こういうことがありますね。
 そういうふうにすると、その建物の、先ほどSPCと書いてあった紙ですが、必ず利益が出ます。そうすると、利益は流出していますので、その二つの比較、自分の中でやっている、その当該事業を医療法人の中でやっているのと、MS法人に出すのと、これでは利益分が外へ出ているでしょうという話です。
 この点については、かつて、この場で原局長に、そもそも医療法人は何をやらないといけないんですかと。いやいや、それは医業に差し支えない範囲であれば何を出してもいいんだ、そういう類いの、そういう傾向の、そういう内容の御答弁があったと思いますが、これは明らかに、この二つを比べれば、利益は外に出ていますねと申し上げているんです。

○田村国務大臣 ヘルスREITみたいな形のことをおっしゃられておられるんだと思いますが、この場合、資産を流動化しただけの話であって、それで入ってくる、仮に現金といたしましょう。それは、賃料をずっと払っていくわけでありまして、賃料を払っていくものを一旦現金化したというような形であろうと思いますから、それをどう考えるかというのはまた別の話なんだろうなというふうに思います。

○足立委員 ちょっと全然わからないんです、別の話って、何が別の話かわからないんですけれども。
 自社ビルを持っていれば、要すれば、その減価償却というか、そのビルは自分が持っているわけですよ。でも、それを、例えば何とか何とかREITとか、あるいは何とか不動産とかに売っ払ってしまう、すると、彼らはそこに利益を乗せて賃料設定をしてくるんですよ、リースバックするとね。賃料は、彼らの利益が乗った賃料になってくるわけですよ。その利益は流出していますね、自分で病院を持っているのに比べたら利益分が外に出ていますねと言っているんです。それは事実としてそうでしょう。

○田村国務大臣 リース料に利益を乗せて払っているという意味合いですか。それは、ある意味、委員が以前言われた、融資を受けたものに金利を乗せているのと同じ話で、資金を調達するためのコストであると考えられるわけであります。
 だから、それを利益の流出と考えるかどうかというのは、まさに、医療法人の利益というものを、株主配当で出すのがいいのか、それとも、融資だとか今のヘルスREITみたいな形で賃料で出すのがいいのかというのは、どこが違うかというと、多分、ヘルスREITで利益を出して、要するに賃料としてもらわれた側は、病院に対しては支配権がないわけであります。しかし、株式の場合は、それぞれ株主が支配権を持っておるわけでありますので、そこでもうけるためのいろいろな行動をするおそれがあるということでございますから、それに関しては、我々としては、そういうものは余りよろしくないということで、持ち分なしというような方向性を打ち出しておるわけであります。
 ちょっと考え方が、若干、会社に対しての支配権みたいな形の中でずれておるのかなというふうに私は思いますけれども。

○足立委員 私と大臣がずれているだけじゃなくて、いわゆる世間の、一般の常識に私は乗っていまして、大臣がその世間の常識から若干、本件については、ずれているかなと。
 まことに僣越なことではございますが、この二十七ページに、非営利性の侵食が想定される現象ということで、実質配当行為ケースとか営利企業に実質的に支配されるケースとかを書いています。だから、これは実際、別に株式で支配されなくても、例えばある会社が、お金がもうないんだ、本当に苦しいんだと、某地銀からお金を借りました、人も一人入れました。これは、実質的には、その銀行の言うことを箸の上げ下げまで聞かないといけないようになっている病院はたくさんありますよ、今でも。それは実質的に支配されているんです。
 だから、私が申し上げているのは、本当に、非営利、非営利、非営利と、特にこの医療の分野で、これだけ設備投資もする、特に、その設備投資や、病院の建てかえ、そういったことについては丼勘定で、そもそも診療報酬で手当てをされていない。明らかに経営の中で処理をされている。やっていることは、営利事業と全く同じことをやっているんです。
 それを、この範囲は医療法人の中でやりなさいよというような規制が全くないわけです。何ぼでも外へ出せるわけです。医療行為だけ中でやっていればいいんです。全て外に出せばいいんです。それは、規律として成立していないでしょう。
 大臣は、ううんという顔をされていますが、原局長、これはそうでしょう。原局長は、足立さんの言うとおりだな、こう思っていらっしゃると確信をしますが、イエスかノーか。

○原(徳)政府参考人 どうしても意見の相違になるんですけれども、非営利である、要するに、事業活動を行う上で必要なものを、例えば利息を払うとか、そういう当然なものは、必要なものとして当然、お金の移動としてはあるというのは、この前からもお話をしているところです。
 ただ、一番根本のところは、医療を営利の目で見ると、先生がおっしゃるように、いろいろと工夫する余地があり過ぎるといえばあり過ぎるわけです。だから、逆に言うと、非営利ということを徹底しないと医業全体がうまくいかないというふうに考えているわけです。

○足立委員 本当に、原局長、申しわけないですけれども、違うんですよ。営利になると何でもできちゃうと言うけれども、今は何でもできますよ、医療は。それに、医療法人は非営利だという大きな大きな、何かバリアというか、何かテーゼを、テーゼというか看板を、非営利ですという看板を張っておいて、さあ、会計基準もない。まあ、できましたけれども。では、開示もしない、それで社福のような丁寧な監督もない、自由にみんな営業というか医業を営んでいる、幾らでも外にアウトソーシングができる、利益を乗せてアウトソーシングができる。
 きょうはこの一枚目にまた戻るわけでありますが、なぜ、そんな世界を、無理やり看板だけ持ち分なしと言う必要があるんですか。大宗の医業を営んでいらっしゃる方は、事実上会社を持ってやっているんですよ。医療法人でやるのは、それは医療行為だけやっていればいいわけです。これからイメージングセンターとか、あるいはいろいろな機器も要る、いろいろな建物も要る。全部やっていますよ。
 もう時間がありませんが、通告の中で、私も勉強不足なんだけれども、何か、かつて徳洲会グループ、この例は本当に悪いことをしている例だと思いますが、私が言っているのは、合法的に利益が流出しているじゃないかということをきょうはずっと言っていたわけですが、そもそも厚生省から見てもおかしなことをやったケースがあると聞いています。
 徳洲会とセコム、これはどういう対応になっていますか。

○原(徳)政府参考人 まず、徳洲会グループにつきましては、平成十六年に、当時の特定医療法人徳洲会に医療機器を納入している系列企業二社が、医療機器のリース代を通常より高くして、利益を外部に移転したということは把握しております。これに対しましては、近畿厚生局及び九州厚生局において立入検査及び改善指導の対応をとったところでございます。
 また、二点目のセコムにつきましては、いろいろと御指摘があることは承知しておりますが、この事例に関して具体的な対応を行ったことはございません。

○足立委員 まず一点目の徳洲会については、これは誰が摘発というか、事件を掌握しましたか。国税ですよね。厚生省は何をしましたか。
 それから、セコムはなぜ対応していないんですか。

○原(徳)政府参考人 徳洲会の件に関しましては、国税局から指摘を受けたということであります。
 また、セコムにつきましては、これは医業経営の非営利性等に関する検討会の参考資料として出された資料の中に一部そういう記述があったというふうに聞いておりまして、具体的に私どもで把握したわけではないということであります。

○足立委員 セコムが医療に参入しているというのは、恐らく常識だと思います。ただ、自分でやっているんじゃないんです。実質的に医療法人なり病院なりを支配しているんです。そういうケースはたくさんこれから出てきます。
 セコムについてはよく知りません、それから徳洲会の事件については国税ですと。厚生労働省は大丈夫ですか。非営利、非営利と言っていますが、私がきょう指摘した、少なくとも局長がおっしゃった世間の相場から外れているものでさえ、厚生省はそれを取り締まる体制も知識もノウハウも見識もない。
 そこに加えて、私がきょう申し上げた、そもそも合法であっても、そもそも世間の相場であっても、あまねく医業にまつわるさまざまな事業を外へ出せば、利益は際限なく、利益は相当大きな形で、営利法人の配当等の形で外へ出るんです。閉じていないんです。これは、局長、そうですね。

○原(徳)政府参考人 繰り返しの答弁になりますけれども、医業の活動に必要なものについては、正当な対価を払って、その分が受ける側の利益になることは当然あるわけですけれども、医業の中から配当という形の目的でやることについてはお断りをしているということでございます。

○足立委員 もう時間が来ました。
 繰り返しになりますが、規制がないんです。規律がないんです。規範がないんです。幾らでも医業について、医業にまつわるサービスについて、外へ出ます。それは、かつて局長もおっしゃいました。
 私は、この点について、この法案の審議中、毎回これをやり続けますので、必ず、この営利性、非営利性、持ち分の話は、平成十八年の政策を変更していただいた上で賛成したいと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。
 ありがとうございます。

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プロフィール
あだち康史
あだち康史
衆議院議員
衆議院議員4期、大阪9区支部長。日本維新の会憲法改正調査会長、国会議員団政務調査会長、幹事長代理、コロナ対策本部事務局長等を歴任。1965年大阪生まれ。茨木高校、京都大学、コロンビア大院。水球で国体インターハイ出場。20年余り経産省に勤務し欧州に駐在。東日本大震災を機に政治を志す。
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