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あだち康史
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衆議院議員
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衆議院議員4期、大阪9区支部長。日本維新の会憲法改正調査会長、国会議員団政務調査会長、幹事長代理、コロナ対策本部事務局長等を歴任。1965年大阪生まれ。茨木高校、京都大学、コロンビア大院。水球で国体インターハイ出場。20年余り経産省に勤務し欧州に駐在。東日本大震災を機に政治を志す。
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議事録 Transcripts

2014年5月29日 衆議院 原子力問題調査特別委員会 参考人質疑 原子力規制、損害賠償、人材育成

足立 康史

186-衆-原子力問題調査特別委員会-6号 平成26年05月29日

○森委員長 次に、足立康史君。

○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
 参考人の先生方、本当にお忙しい中、本日はありがとうございます。
 きょうは、率直に、国会で活動しておりまして思案をしている点について、何点かお伺いをしたいと思います。
 今、日本維新の会と御紹介申し上げましたが、昨日の報道にありますように、党内ではちょっと、分党というような報道が流れています。憲法観が理由だというふうに報道されていますが、実は、最も大きな内部的な亀裂は原子力政策にあるわけでありまして、このテーマ、原子力政策、規制のあり方が、政界全体にわたって、都知事選の例を挙げるまでもなく、非常に大きな議論だということを、手前みそでありますが申し上げて、始めたいと思います。
 それで、きょうは、限られた時間ですので、澤参考人それから西脇参考人を中心にお伺いをさせていただきます。御了承いただけたらと思います。
 大きく三点お聞きをしたいと思っています。一つは規制委員会のあり方。もう一つは人材育成。それから三点目が、安全規制以外の原子力政策ですね、澤参考人の資料でいえば、例えば原賠法の話等もありました。この三点を御質問申し上げます。
 まず一点目の規制委員会のあり方。これは、本当に端的に御紹介をいただきました。澤参考人は、偉大なる常識人と。あるいは西脇先生も、合議制の委員会として機能しているかと。同じ問題意識であると思うし、また、この事務局というか助言機関、あるいは原案作成機能、こういったことを御紹介いただきました。あるいは、あともう一つ申し上げると、西脇参考人からPRAの話を御紹介いただいた。この確率論的リスク評価手法は大変重要だと思っています。
 いずれにせよ、こういう話を伺うと、まだまだ途上国だなという印象を非常に強く持ちます。これだけの基数の原発を運営してきたこの日本が、実は、規制委員会のあり方については大変心もとない面があると思います。
 私は、実は、党内の原子力政策の議論において常に私が主張してきたことは、原子力については、やるならしっかりやろう、推進するならしっかり推進しよう、しっかりできないならやむを得ない、こういう立場で論陣を張ってきているわけでございますが、きょうのお話を伺っていると、必ずしもまだこの規制委員会のあり方はしっかりしていないように見えます。
 西脇参考人は、最後のところで、不断に見直していく、あるいはアメリカのポール・ディックマンへのインタビューということで、じっくり改革していこうと。この規制委員会は若いからじっくりやっていこうということですが、私は、この今の日本の原子力のあり方でじっくりやっている余裕は余りないかなという気はしているんですね。
 そういった意味で、これは再稼働も含めて、今のようなこの法令の枠組みあるいは規制委員会のあり方のもとで順次再稼働をしていって大丈夫か、こういう議論について、ちょっとゼネラルな質問で恐縮ですが、澤参考人、西脇参考人にお願いできればと思います。

○澤参考人 その懸念は私も共有をしているところでございます。
 アメリカの例にいろいろ倣って規制委員会をつくってきたんだろうと思いますし、アメリカの場合、スリーマイルの大きな事故を経験したという意味では、日本と非常に似ていると思います。
 アメリカの規制の変遷というのは、スリーマイル以降、やはり日本の今の状況のように、非常に厳しく、やり過ぎたところまでやった。ところが、その原子力発電所がまさに動かなくなってしまって、その経済的資産をこんなことでいいのかという話になり、そして規制のあり方、やり方が随分変わったわけです。これに十年ぐらいはやはりかかっているわけですね。
 だから日本も十年かけていいということではなくて、逆に、そういう事例が既にあるわけですから、そこを二、三年に縮めて、日本はアメリカの試行錯誤の部分を省いてと言うと言い過ぎかもしれませんが、いいところをきちっと学んで、早く対応するということがやはり必要だと思います。

○西脇参考人 私は、国会での規制委員会設置法の議論を、議事録を読み返したりしておりまして、非常にアメリカの体制を念頭に置かれて、理想的な規制委員会を設置しよう、つくろうというふうに考えておられたんだろうと思っております。
 きょうもプレゼンをいたしましたけれども、そういう規制委員会設置法の精神からしますと、担当委員方式とか、その他、委員会が合議制になっていないとか、問題点がございます。それは、規制委員会設置法が、あるべき姿をきちんと提示したわけでございまして、ここは規制委員会の弁解をするつもりもないんですけれども、しかしながら、一方、原子炉等規制法には、規制基準をつくるのは一年以内につくれとかそういう附則がございまして、やらなければいけない仕事が非常に多くあったというのも事実でございます。
 私は、規制委員会が発足した当時、担当委員方式をやられていましたのは、こういうやり方をしないと間に合わないからという気もしていまして、当初は余り批判をしなかったわけですが、そういう非常にインテンシブに効率よく仕事をしないといけない時期から、だんだんとやはり慎重に原子力を見ていくという時期に今差しかかっているのかなという感じがしてございます。
    〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕

○足立委員 ありがとうございます。
 今お聞きしたのが一点目の話でございますが、ちょっと人材育成の話を後に回して、三点目の、これは澤参考人が資料の六ページに、法令の枠組みをしっかりイノベーションしていくべきということで書いていただいているわけであります。
 これは、私も国会で再三にわたってこの議論を指摘してきておりまして、背景にはやはり、支援機構法の附則の六条に、原賠法、損害賠償責任あるいは生活再建、地域再建等、原子力政策に係る国の権限と責任についてはしっかりと見直すんだと。その期限は、実は二〇一二年の八月にもう来ているんですね。国会の意思としては、その期限がもう来ているんです。ところが、政府・与党はそれをずるずると放置したまま今に至っていると私は訴えてきているわけでありますが。
 澤参考人、先ほどおっしゃった、一般論として、私が申し上げた一定の懸念というか、これについては共有いただけていると思いますが、政府・与党のこういう規制委員会のあり方のみならず、原賠法あるいは原賠法以外のさまざまな、原子力を進めるに当たって必要な制度、インフラの整備について、私は、やはり政府・与党は全く足りない、立場を超えてそれはしっかりやっていただかないと、再稼働にはもう本当に心もとない、こういうふうに思っているわけであります。
 澤参考人、大変聞きづらいところではありますが、この点に関する現在の政府・与党の取り組みに関する評価、もしお言葉をいただければと思います。よろしくお願いします。

○澤参考人 難しい質問でありますけれども、やはり、政治的なコストというのが原子力には非常に大きく発生しているわけで、そのもとになっているのが福島の事故における社会的コストだろうと思います。ですから、経済的費用がかかるから、あるいは経済的利益が今なくなるからということで、原子力をすぐ動かせという議論にすぐに乗れないという状況は、これは政治も行政も一緒だろうと思います。
 そういう中で、エネルギー基本計画の中では明示的に方針が明確化されていない部分も結構ありますけれども、逆に評価したいのは、論点はきっちりと出ているということであります。もちろん、原賠法も含めていろいろあります。
 そういう中で、原子力の事業環境整備、事業者と国とがどういうリスク分担をするのか、その中に原賠法の話も入ってきますし、今までは、安全の話とそういう事業環境の話は全く切り離されていろいろ議論がされてきた歴史があるわけですが、それがまずいと思っていまして、事業者というのはやはり民間企業ですから、経済的なインセンティブによって動くというのが合理的なわけで、それと安全とのつながりの部分が非常に悪かったんではないか。
 特に、これから自由化が進んでいく中では、そのリンクをどうつくっていくのかということは極めて重要なので、今後、安全問題と原子力の事業としての継続、そして技術の維持、人材の育成ということを、総合的に解決案を考えていくということが政府・与党にも求められているんだろうと思います。
    〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕

○足立委員 ありがとうございました。まさにおっしゃったとおりだと私も思います。
 冒頭申し上げましたが、三点目の人材の問題であります。
 先ほど西脇先生からも、大学の現状ということで言及をいただきましたが、我々、国会でいろいろ議論しておる際にも、原子力政策のポジションにかかわらず、原子力の技術を全く日本が失っていいという方は必ずしも多くないんですね、立場を超えて。やはり、原子力の技術というのは維持をしていかなくてはいけない。
 ただ、その場合に、極端な話、我が党内にもある議論は、例えば商業炉がなくても原子力の技術は維持できるのではないか、廃炉あるいは既存の原発の廃炉、あるいは研究炉、いろいろな分野があるわけですので、そういう議論もあります。あるいは、やはり先ほどの大学の学生あるいはそのキャリア形成のことを考えれば、一定程度の規模の商業炉がないとそれは話にならない、論外であるという議論もあります。
 この辺、いわゆる原子力の技術、例えば、本当に日本としてどの技術をどの程度維持していく必要があるか、あるいは、そのためにはやはり商業炉が相当規模で要ると考えるのか、この辺、ちょっとごめんなさい、ばくっとした議論の御紹介でお聞きするのも大変申しわけありませんが、もしお気づきの点がございましたら、御教示をいただければと思います。西脇参考人からお願いします。

○西脇参考人 日本の原子力に関する技術を維持するために商業炉がどのくらい必要かという答えは、なかなか直接お答えしにくいかと思います。
 少なくとも、現在、商業炉が五十基近くございまして、そのうちの幾つかは再稼働していくということになろうと思いますので、原子力は、原子炉にかかわらず、再処理につきましても、非常に裾野が広い産業でございまして、いろいろな方々が参画されております。それは、設計もあれば施工もあれば、保守管理、ここの部分、かなりの人々がいらっしゃいまして、その産業が転がっていかないと、そういう人々がそこからあふれていく、そういう人々を失っていくということにもなりますので、大学だけの問題ではなくて、幅広く人材を保持するということは必要だろうと思ってございます。

○足立委員 澤参考人、同じテーマでお願いします。

○澤参考人 やはり、実際にその分野に進もうと思う人の気持ちになってみれば、それで飯を食っていかなきゃいけないわけですから、最終的に、基礎研究所だけ国立であればいいというものでは、少なくとも厚みというかポストの数が足らなくなる。
 したがって、技術者、技能者、両方あると思いますけれども、ビジネスとしてそれなりの産業が残っていなければ、多分、人材育成もできなくなる、逆に、人材がいなくなるのでビジネスも小さくなるという悪循環に入ってしまいかねないと思っています。
 今のように再稼働がどんどんおくれにおくれると、逆に、そういった現場の安全を守るための技術者の人たちの数も、あるいは質も減ってくるという問題が起こりかねないので、やはり、一定規模を将来とも維持するということを、今、シグナルとしてきちっと計画上定めるべきだと思っています。

○足立委員 ありがとうございました。大変参考になる御意見を頂戴しました。
 冒頭申し上げましたように、難しい政局もございますが、政界再編の荒波を乗り越えられるような原子力政策をしっかりつくって、責任ある原子力政策に取り組んでいく旨お誓い申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。

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