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あだち康史
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衆議院議員
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衆議院議員4期、大阪9区支部長。日本維新の会憲法改正調査会長、国会議員団政務調査会長、幹事長代理、コロナ対策本部事務局長等を歴任。1965年大阪生まれ。茨木高校、京都大学、コロンビア大院。水球で国体インターハイ出場。20年余り経産省に勤務し欧州に駐在。東日本大震災を機に政治を志す。
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2013年5月31日 衆議院 厚生労働委員会 参考人質疑 生活保護と生活困窮者支援、玄田教授提唱のスネップ

足立 康史

183-衆-厚生労働委員会-16号 平成25年05月31日

○松本委員長 次に、足立康史君。

○足立委員 日本維新の会の足立康史でございます。
 今御意見を賜った参考人の皆様方のお話、大変参考になりましたし、また、本日の午後の審議にもしっかり生かしてまいりたいと思います。
 それぞれの方に、それぞれ別の観点でお伺いをしたいのですが、まず、岩村参考人からです。
 まさに、今回の二つの法案のこれまでの検討の経過を御紹介いただいて、特に、先生が、生活困窮者に光を当てられた、特に第二のセーフティーネットについては画期的な内容、そして、その背景には、やはり生活困窮の課題が多様化、複雑化している、こういう御紹介をいただいて、私も全く同感でございます。
 生活保護も、生活保護の制度をしっかりと維持、運用していく、これも大事でございますが、やはり、日本は、失業するとその先に生活保護制度しか事実上ない、こういう非常にいびつな制度になっていた中で、初めて、就労と生活保護の間に、雇用保険という第一のセーフティーネットに次ぐ第二のセーフティーネットについて審議会での御審議をいただいたこと、改めて感謝を申し上げたいと思います。
 一方で、最近の報道ぶりを見ますと、生活保護について、特に口頭申請を容認するとか、さまざまな条文の修正をめぐっての報道が先行をしているように思います。また、国民の皆様の実態についても、いわゆる不正受給、極端な不正受給が喧伝されたり、あるいは、大変残念ながら、生活保護を受けるべき方が受けられなかった事案が非常に取り沙汰をされて、そして、受給されている方と受給されていない方、負担をしている方と給付を受けていらっしゃる方の、ある種の社会的な亀裂が報道を通して広がってしまうような印象を私は受けています。
 そういった意味で、岩村先生の方で、今、最近のこの二つの法案をめぐる報道ぶりについて、もしお感じになるところがあられましたら、おっしゃっていただければと思います。
    〔委員長退席、西川(京)委員長代理着席〕

○岩村参考人 私は、先ほど自分自身の意見陳述の中でも申し上げましたように、生活保護を受けるべき人がきちっと生活保護が受けられるということは非常に重要なことだというふうに考えております。
 その意味で、残念ながら、ごく限られた方ではありますけれども、不正事案というようなことがあって、それが大きく報道されてしまう、そうなると、どうしても国民の皆様の関心というのがそちらの方に行ってしまうということに対しては、率直に言いますと、かなり危惧を持っております。
 そういったことは、そういった心ない方々の行動のために、本来、生活保護を必要としている方が受けられなくなってしまうということが起きることがないよう、そういう意味では、節度を持った適正な情報の提供なりということが必要ではないかというふうに思っているところでございます。

○足立委員 ありがとうございます。
 まさに私も、そういう観点で、国会審議では、個々の事例についてももちろん承知をしてやっていかないといけないとは思いますが、やはり制度全体、特に、雇用保険、第一のセーフティーネットと、第二のセーフティーネット、そして生活保護、その全体の中でどうやって国民の皆様の厚生を高めていくか、この点が本当に大事だと思っております。
 稲葉参考人にもお伺いしますが、ちょっと順番を変えて、先に玄田参考人にお伺いをしたいんです。
 先生が、御提言というか、実態をスネップという形で明らかにされた。特に私がきょう伺って思いましたのは、金銭的な問題だけじゃなくて、先ほどもおっしゃったように、人間関係の貧困、特にスネップと呼ばれる方々は、人間関係が地縁、血縁以外にない、まさに、つながりの貧困、人間関係の貧困だと思います。
 そういう方々にこれから福祉がアプローチしていく、あるいは雇用政策がアプローチしていくときに、先生がきょう、アウトリーチあるいは支援者支援ということをおっしゃいました。大変重要な概念だと思います。この二つについて、そんなに時間はありませんけれども、もし補足いただけることがありましたら、お願いをいたしたいと思います。

○玄田参考人 支援者支援、アウトリーチを広げていくためには、恐らく、自立の困難度に関するある種の定義づけ、ランクという言葉が適正だと思いませんが、非常に困難度が高い方、ある程度の支援によって比較的自立につながる方のやはり条件づけをしていかなければ、うまいアウトリーチや支援者支援というのはできないのではないか。
 病気は全て苦しい病気ではありますけれども、その中で、大変時間もお金もかかる病気から、比較的簡単に治る病気もあるのと同じように、自立の困難度に関する、やはりそこにバリエーションがあるということを踏まえ、それを国が適正な基準をつくっていくことによって、支援者支援、アウトリーチの環境整備が進んでいくのではないかな、そのように考えております。

○足立委員 ありがとうございます。
 御提言いただいたこの二つの概念は、本当に、今の行政に必ずしも日本では十分に定着をしておらない観点だと思いますので、我々もよくそこに注意をしてやってまいりたいと思います。
 稲葉参考人に、きょう伺ったお話は、ちょっと私が聞き漏らしていたらあれですが、比較的、生活保護の話が中心だったように思います。
 さまざまな活動をされておられるお立場から、今、玄田先生がおっしゃったような、こういうアウトリーチとかあるいは支援者支援といったお話について、稲葉参考人の方で、もし、お考え、お感じになることが何かございましたら、コメントをいただければと思います。

○稲葉参考人 私たちが対象にしているのは生活に困窮されている方々ということなので、玄田先生のお話とはちょっと若干、アウトリーチといってもずれるかもしれませんが、私たちの活動の中で、実際に困っている方に必要な情報を届けるということは、随時やっております。路上での夜回りもそうですし、あるいはインターネットを通しての情報発信等をやっているところであります。
 そうした中で、例えば、私たちの団体では、生活保護受給者の方を中心に、自家焙煎でコーヒーの焙煎を行って、それを販売して仕事にするということを行っています。ただ、皆様、御高齢だったり障害をお持ちの方が多いので、できる分だけ働いて、足りない分は生活保護で補ってもらう、いわゆる半福祉半就労というふうな形で行っておりまして、そうしたことはほかの団体でも広く行われているかと思います。

○足立委員 ありがとうございます。
 同じく、このアウトリーチについては、きょう、樋口参考人の方からも、お取り組みの内容について、待つのではなくて手を伸ばす支援だということで、まさに玄田先生のお言葉を引かれて、アウトリーチをやっているんだ、こういうお話をいただきました。
 ぜひ、アウトリーチ、どのようなお取り組みをされているか、簡潔で結構ですので、御紹介をいただければと思います。

○樋口参考人 それぞれの支援がございますけれども、例えば、就労支援なり住宅支援なりにつきまして、市のケースワーカーとともに、事業を委託しております団体の職員が一緒に生活保護受給者のお宅をお伺いし、一緒になって就労訓練に立ち会ったり、または、住宅のいろいろな相談のために、一緒に不動産屋さんに行って物件を探したり、そういうような形をやらせていただいております。

○足立委員 ありがとうございます。
 次いで、朝日参考人と緑川参考人に、同じ御質問をお願いしたいんです。
 きょういただきましたお話で、朝日参考人には大変貴重な資料を提供いただいて、数字を交えて、非常に説得力のある、これまでの経緯も含めて御紹介をいただいているかと思います。
 非常に数字がたくさん並んでいるんですが、これから、この分野で我々が貧困と闘っていく上で、政治行政が目標とすべき数字というか、あるいは何を目標にすべきか。それは、数値なのか何なのか。その辺、政治行政が掲げるべき目標について、もし御意見があったら伺いたいんです。
 それを伺う背景は、緑川参考人のお話でも、御提言の最後のページに、「「子どもの貧困対策基本法」の制定を」ということで、そこで改めて、貧困率削減数値目標をちゃんと設定するんだ、こういう御提言をいただいていますので。一方で、この委員会でも目標については大議論があります、与党、野党でえらい議論になっていますので、この目標について、両先生からお願いをできればと思います。

○緑川参考人 今先生がおっしゃっていましたように、私ども、あしながの大学生は、遺児と母親の全国大会で、二〇〇九年から、子供の貧困対策、当時は基本法の制定を訴えてまいりました。その中で、具体的な数値目標を入れてくださいということを当時提言しておりました。
 ですから、今回の与野党で合意された法案には、先ほども申し上げましたように、具体的に子供の貧困率等の指標の改善を図るということで記載していただいたことは非常に重要な記述だ、大きな前進だと考えております。
 政策を行っていく上で、そういった指標というものが、どうしても物差しが必要になってくると思いますので、その物差しとして非常に有効だと考えております。
 以上です。

○朝日参考人 御質問ありがとうございます。
 当面の方法として、福祉事務所にケースワーカーの方が、保護を必要とする人に対して非常に少ないですね。法令では八十対一になっているのが、今はもう百人を超えている。やはりここに、生活援助とか、言葉をかえれば指導とかいうものが欠ける状態が、いわゆる先ほどの不正とかという形にもなってあらわれていると思うわけです。本当に保護が必要な人が受けられない状態。
 だから、私は、いろいろお考えになってくださっているけれども、ワーカーをふやしてほしいということが第一。
 それから、デンマークやスウェーデンに行ったときに、病院のお医者さんたちを見ると、女性の方がもう圧倒的に多い。なぜこんなに、あれは看護師さんですかと質問したら、あれはみんなお医者さんですと。なぜ女性が多いか。女性の方が頭がいいからだ、費用がかからないで、大学、医科大学でも、みんな無料で行けるからです、こういうお話なんです。
 私も学校に進学するのに大変惨めな思いをしましたけれども、先ほどの資料の冒頭、「要望一」に、「「高校・大学奨学金制度」の新設」とありますが、ここはぜひ御検討を加えてほしい。
 そして、もう一つは、住宅。北欧の国では、住宅で困っている人は一人もいないというような状況であります。この点をお願い申し上げたいと思っています。

○足立委員 ありがとうございます。
 それぞれの参考人の方に御意見を賜りました。それぞれ、お答えをよくかみしめてやってまいりたいと思います。
 最後に、一言だけ申し上げたいと思うんですが、先ほど、冒頭申し上げましたように、私、この委員会での審議は、若干、やはり生活保護に偏っていると思っているんですね。
 先ほど委員長もおっしゃられたと思いますが、今回、二つの法案があり、また、子供の貧困もある。
 岩村先生がおっしゃられたように、この生活保護の問題というのは、不正受給をどうやって解決していくのかという問題と、本来受けるべき方がどうやって本当にその網から漏れることなくお支えをできるか、この二つのテーマがあるんですね。前者は、やはり、財源がかかることですから、国民の信頼が必要だ。この国民の信頼と、受けるべき方がしっかりと受ける、この間でのバランスと岩村先生がおっしゃった点が最も重要だと思っています。
 そういう観点でいうと、この委員会においても、余り生活保護の条文が云々ということばかりに政治的なエネルギーを注ぐのではなくて、むしろ、第二のセーフティーネット、今回の法案でいえば生活困窮者自立支援のあり方にもっともっと政治的なエネルギーを注いで、かつて若者自立・挑戦プランのときに政府全体がフリーター対策に、あるいはニート対策にリソースを割いていったときと同じように、今回もこの生活困窮者自立支援にもっと政治的なエネルギーを注ぐべきであると私は考えておりますので、その点、いただいた御意見に対する一応私の考えということで申し上げて、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございます。

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