平成29年5月16日 衆議院 本会議 討論採決 日印原子力協定、北朝鮮ミサイルの脅威について
○議長(大島理森君) 足立康史君。
〔足立康史君登壇〕
○足立康史君 日本維新の会の足立康史でございます。
私は、党を代表して、ただいま議題となりました日印原子力協定の国会承認について、反対の立場から討論いたします。(拍手)
私たち日本維新の会は、日印原子力協定に反対をいたしますが、他の野党とは異なる立場からの反対であることを初めに強調しておきたいと存じます。
他の野党の反対理由を伺うと、NPTにもCTBTにも加盟していないインドに原発を輸出することは核不拡散という高邁な理念に逆行するとの考えがあるようです。
しかしながら、そもそも、日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増し、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威が新たな段階に突入する中、核不拡散や核廃絶を声高に叫ぶだけで国民の安全を確保していくことができるというのは、余りにナイーブであると言わざるを得ません。
米国本土が北朝鮮のICBMの射程に入る蓋然性が高まり、トランプ政権があらゆる選択肢がテーブルの上にあると態度を硬化させる中、日本にとって大事なことは、建前論に終始するのではなく、むしろ、北朝鮮が既に核兵器を保有しているという新しい現実に冷徹に向き合うことであるはずであります。
北朝鮮の核、ミサイルの脅威を取り除くためにも、NPT体制の再構築を含めて検討の俎上にのせ、冷徹に対処していくことが必要なのであります。
ところが、岸田大臣は、委員会質疑において、日印原子力協定を締結することがインドを核不拡散体制に取り込むことにつながるという趣旨の答弁に終始しました。これでは、既存のNPT体制を金科玉条のように前提にしているという点で、野党四党と何ら変わりがないと指摘せざるを得ません。
そもそも政府・与党は、我が党が国会に提出している原発再稼働責任法案についても一顧だにせず、原子力政策における国の責任のあり方等について検討し抜本的な見直しを行うという原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の規定さえ満足に実施できていないのであります。
東京電力福島第一原発事故の教訓を踏まえた原子力政策の抜本見直しも完遂できず、北朝鮮の核兵器保有をも許してしまった今の日本政府に、NPT体制のほころびであるインドとの原子力協定を締結する資格なしと断じて、反対討論とさせていただきます。
以上です。(拍手)