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あだち康史
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衆議院議員
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衆議院議員4期、大阪9区支部長。日本維新の会憲法改正調査会長、国会議員団政務調査会長、幹事長代理、コロナ対策本部事務局長等を歴任。1965年大阪生まれ。茨木高校、京都大学、コロンビア大院。水球で国体インターハイ出場。20年余り経産省に勤務し欧州に駐在。東日本大震災を機に政治を志す。
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議事録 Transcripts

2015年4月17日 衆議院 厚生労働委員会 法案審議 医療と介護の連携、都道府県と市町村の役割

足立 康史

189-衆-厚生労働委員会-9号 平成27年04月17日

○渡辺委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。足立康史君。

○足立委員 維新の党の足立康史でございます。
 本日は、国保の改革について、法案審議ということで質問させていただきたいと存じます。
 本会議の後、明るい太陽に照らされて、また委員会室に入ってまいりました。また心機一転、質疑をお願いしたいと思います。
 まず、国保の運営の中心的役割を市町村から都道府県に移すということでありますが、これは基本的に財政の面では賛成というか、いい話だと思っていますが、実は、ふだんから私は、前回の質疑でも質問させていただいたように、本当にいいのかなと若干幾つかひっかかるところがあるんですね。きょうは、その点について確認をさせていただいて、質問を進めさせていただきたいと思います。
 まず、前回もお聞きしましたが、もう一度これは大臣の方から御答弁をいただきたいんですが、医療と介護はこれまで両方とも市町村が基本的に保険者としてやってきた。それに対して、今回、医療だけが都道府県が中心的役割を果たすようになると、いわゆる医療保険と介護保険の間の連携にそごが出るんじゃないかなというふうに私は結構心配をしています。
 財政面ではよくわかるんですが、しかし、繰り返しになりますが、地域包括ケアとかいう形で医療と介護がシームレスにというか、地域でまさに連携をしながら保険者機能をきっちりと機能させていくというのが本来のあり方じゃないかなと私は思うんですが、これは、介護保険との連携は大丈夫でしょうかという質問です。大臣、よろしくお願いします。

○塩崎国務大臣 今、介護保険との連携は大丈夫か、こういうお尋ねでございましたが、今回の改革によって、都道府県を国保の財政運営の責任主体とする一方で、地域におけるきめ細かい事業については引き続き市町村が担うということになっています。
 市町村には、引き続き、最も身近に住民と接しているということの中で、保健事業とか、あるいは地域包括ケアシステム構築のための医療・介護連携等に取り組んでいただきたいと考えておりますので、今お話がございました、介護保険との連携が、国民健康保険の運営の担い手として市町村から都道府県に移ることでそごは来さないかということでありますが、そういう心配はないのではないかというふうに思っております。

○足立委員 ちょっと私も質問に最近慎重になっていまして、きょうも丁寧にやらせていただきたいと思います。
 大臣、今おっしゃっていただいた、御決意としてはわかるんですが、いわゆる保険者ですね、当然、保険ですから、保険者機能が達成されるかどうか、これが保険である最も大事な部分だと思っていまして、そういった意味で、いわゆる国保の運営の中心的役割が都道府県になると、今まで市町村国保が保険者として頑張ってきた、その努力とか、あるいはその機能的なものとか、そういったものがこれから維持しにくくなる。
 今回の法案をつぶさに見ると、国保の運営において都道府県と市町村が果たす役割については、結構精緻にというか、保険料の設定も含めて細かく設計されていますので、若干複雑で、これは一体誰が保険者として本当に機能していくんだろうかと思います。
 だから、質問は、一言で言うと保険者機能は大丈夫ですかということなんですが、先ほどは、介護保険との連携は大丈夫ですか、こう申し上げました。決して、今、連携は大丈夫だという大臣の御答弁に納得しているわけじゃないんですよ。ただ、切りがないですからこれ以上申し上げませんが、では話をかえて、例えば保険者機能ということに着目したときに、要は国保の保険者は都道府県になるということで、まずその点だけ、それはいいですね。

○塩崎国務大臣 先ほどの説明で納得をしていただいたかと思ったわけでありますが、必ずしもそうでもないということなので。
 まず、市町村の役割は、財政運営の責任主体が都道府県になったとしても、各市町村は負担を納付金という形でするわけでありまして、都道府県が市町村ごとの医療費の水準とか所得水準を勘案して決定しているわけでありますので、市町村の方は、予防とか健康づくりとか、そういった医療費のコントロールをしていかなければいけないというインセンティブは当然発揮されるわけであって、したがって、住民の、市町村民の健康づくりや、医療費を抑制していくということに関しては、当然、こういう形になっても変わらなくあるわけであります。
 先ほど申し上げたように、都道府県は財政の運営に責任を負っていきますけれども、今申し上げたとおりに、納付金を通じて、まあ、都道府県は、市町村ごとに標準保険料率というのを提示するわけですね。これとともに、都道府県内の給付に必要な費用を全額市町村に支払うという格好になっているわけで、一方で、市町村は、保健事業等、地方におけるきめ細かい事業を行うことによって、役割分担は今回の改正法でも明らかにしておりまして、責任の所在も、言ってみれば、都道府県と市町村が共同で負うという格好になっているわけであります。
 その上で、新たに、市町村の意見を都道府県は聞いて、域内の統一的な国保の運営方針を定めて、医療費の適正化に向けた取り組みや、保険料の納付状況の改善のための取り組みを推進することとしておりまして、都道府県と市町村はやはり共同責任ですから、むしろ連携は強化をしていかないといけないと思いますし、それぞれの果たすべき役割をしっかりと担って、保険者機能を、言ってみれば、あわせてしっかり発揮してもらわなきゃいけないということだと思います。

○足立委員 これは私だけがわからないのかな。
 大臣、済みません、御答弁の御趣旨はわかるんですよ。わかるんだけれども、しかし、共同して果たすと。いわゆる保険者機能というのは、責任が明確だから機能するんですね、基本的には。だって、この地域は、あるいはこの職域は自分たちがカバーしているんだということで、それが自分たちの利益になるからインセンティブとして働くわけですね。それが、都道府県と市町村が共同して責任を負うというような形で、本当に国保というものの保険者機能というのは、私の感覚でいうとどうしても理解ができないんですが。
 ちょっと言葉尻で、まず、国保の保険者は誰だというのが模範解答になるんですか。それは都道府県ですということで、それはやはり舌足らずなんですか。国保の保険者は誰ですかというのを一言で答えると、これは都道府県になる、あるいは、今大臣がおっしゃったように、国保の保険者は、都道府県と市町村が共同で保険者であるということですか。ごめんなさい、変な質問かな。お願いします。

○唐澤政府参考人 先生の御指摘の、県が今度国保の運営に参加をしてくるということで、保険者機能、保険者はどこになるのかという御質問でございますが、これは全てが県に移ったということではございません。すっぱりと移ればこれは割とわかりやすいんですけれども、そうではなくて、財政運営の責任を県が中心になって持つ、もちろん、そのほかにも国保の運営方針なんかを出します。
 したがって、仕組みとしては、基本的には都道府県が保険者、そして、市町村とともに保険者機能を果たす、主翼は都道府県の方にあるというふうに理解しております。

○足立委員 この今のやりとりというか、局長の今の御答弁おかしいよねというところでは、今、共産党の高橋委員と意見が一致していまして、おかしいよね、そうですよねという話を今しているわけですが、ちょっとこういうのはまた不規則発言でよくないですが。
 保険者機能は、私は、機能が弱まると大変強く危惧しています。共産党さんは、もしかしたら、いろいろな意味でもっと国がちゃんとやれということかもしれませんが、我々は全く違って、むしろ、都道府県であれ市町村であれ、基礎自治体あるいは広域行政の役割を明確にしていった方がいいと。これは今、大阪都構想でやっている議論とも実は関係するんですが、国と都道府県と市町村の役割がコンタミしている、要するにまざっているところが実は今いろいろな行政的な課題の根っこにある、こう思っているわけです。
 私は、保険者機能が阻害されてしまうという懸念を持っていて、それについて何か払拭が、まあ、塩崎大臣のことは尊敬していますが、しかし、御答弁についてはどうもそこがよくわからないと思います。
 ちょっと話を先に進めると、今局長も御答弁されて、できれば、市町村が今まで担ってきた、市町村国保が担ってきた保険者の機能をこれからも生かしていきたい、そういう気持ちは何かにじんでいるわけですが、私は本当は、市町村合併がもっとちゃんと進んで、市町村が今みたいに、私の地元でもそうです、何千人とか一万人とか二万人とかの町とか村がいっぱいあるわけですね。それは本来、平成の市町村合併でもっとちゃんと、三十万、四十万、五十万以上の市が全国できっちりと整備されていれば、今回のような、都道府県に前に出てきてもらう必要はなかったんじゃないかという思いがあります。
 これはできれば大臣にお願いしたいんですが、これは要は財政的にもたないからやる措置であって、本来は、市町村国保の保険者としては、市町村がしっかりとその役割を果たしていってもらうことが本当は理想であったというふうに私は理解していますが、御見識、違いますでしょうか。

○塩崎国務大臣 先ほど、答えようと思ったら局長が答えちゃったんですが、法律には、「都道府県は、当該都道府県内の市町村とともに、この法律の定めるところにより、国民健康保険を行うものとする。」となっていまして、あと、国、都道府県、市町村の役割の中で、都道府県は、「国民健康保険事業の健全な運営について中心的な役割を果たすものとする。」こう書いてあるんですね。
 したがって、先ほどのようなことで、財政運営の中心は都道府県であるけれども、言ってみれば、保険者としての責任は両方が、都道府県が市町村とともに負うということだろうというふうに思うんです。
 いろいろ、世界の中でも、皆保険制度でここまで相対的に低廉な価格で医療が提供されるというのを達成しているわけですから、これが超高齢化の中で新たなこういった仕組みをつくるときにどうなるかというのは、なかなかすっきり頭の切りかえが難しいかもわかりませんけれども、今度はこういうことで再編をしてみようということでやるということでございます。
 市町村合併の話がございましたが、今回のこの改革では、財政支援の拡充によって財政基盤の強化を図ることで、市町村でやった小規模な保険者の国保を、財政運営の責任主体が市町村から都道府県に行くことによって、多様なリスクを都道府県全体に分散、つまり、リスクプールは都道府県にする。それから、都道府県が域内の統一的な国保の運営方針を示すことなどによって、市町村の事務の効率化、標準化を図るとともに、地域の実情に応じて市町村事務の広域化というのを推進する。
 一方で、例えば住民向けの保健事業、健康づくり、予防、そういったものについては引き続き、さっき申し上げたように、基礎自治体である市町村に、身近な自治体として保険者機能を発揮していただくこととしておりまして、介護保険の保険者としての取り組みともしっかり連携ができるようになっているのではないかなというふうに思います。

○足立委員 今大臣の方から、財政の責任とか、あるいはリスクプールは都道府県レベルでというお話がありましたが、これは保険局長、保険者機能というのは、まさにリスクをプールして対処していくのが保険者ですよね。
 すると、財政は都道府県と言うけれども、基本、保険者は都道府県であって、市町村がそのリスクを保険者としてマネジメントするということはもう基本的にはなくなっていく、少なくとも施策の方向的にはもうそっちに行くんだと。前から申し上げているように、介護は市町村に寄っていって、医療は都道府県に寄っていく、これはやはりそうだと思うんですよね。
 ちょっと大臣はお立場があるから、局長、認めてください。

○唐澤政府参考人 市町村はもう財政的な関与はないのかというふうに御質問をいただければ、これは、例えば、保険料の収納努力でありますとか医療費の適正化努力だとか、後発品の使用の促進だとか、あるいは予防、健康づくりということで、そういうものが効果があれば、自分のところの医療費の水準が下がって納付金が下がりますので、やはり財政的なインセンティブをなくしてしまうという制度にはできませんので、これは、市町村も財政的な関与というものは残していくという制度にさせていただきたいと考えているわけでございます。
 その上で、医療と介護の連携というものをどういうふうにつなげていくかという点は、先生御指摘のとおり、非常に重要な点だというふうに考えております。

○足立委員 きょう、総務省にもお越しをいただいています。お忙しいところ、ありがとうございます。
 市町村合併の目的は何だったんでしょうか。

○時澤政府参考人 お答えいたします。
 市町村の行財政基盤の強化というのが、市町村合併の目的でございました。

○足立委員 であれば、時澤審議官、平成の大合併は、その評価はどうなっているんですか。これは一応完了した、終わったわけでしょうけれども、それは途中で終わったということか、目的は達したということですか、どうですか。

○時澤政府参考人 市町村合併につきましては、平成十一年度から推進ということで、国の方でさまざま施策を展開しておりました。その法律が二十一年度末で切れるということでございました。そのときにいろいろなことが議論をなされました。
 そのときには、やはり相当程度、市町村合併は進んだということの認識が示されておりますが、ただ、小規模な市町村も残されておりますので、引き続き自主的な合併の円滑化についての支援は行いますけれども、それまでやっておりましたような、国の方がいろいろ計画をつくってというような推進はもうやめようと。
 ただし、小規模市町村等ございますので、合併してくださるところは引き続き合併について御検討いただくとともに、広域的な連携、市町村間の連携、あるいは都道府県の補完、そういったことでいろいろな行政体制の整備を図っていくということが打ち出されたところでございます。

○足立委員 こだわるようですけれども、ちょっと引き続きこれをやりたいんです。
 要すれば、市町村の財政基盤の強化に努めてきたわけですね。それが今おっしゃったような形で、今は、総務省としては、今御答弁された状況にある。それぞれ自主的にやってもらえればあとはいいということですが、逆に、そういう平成の大合併の取り組みがあったにもかかわらず、今般、医療保険は、市町村国保は、財政的な課題から都道府県に前へ出てきてもらわざるを得なくなった。私は、本来、市町村国保として維持できればそれにこしたことはなかったと思うんですね。
 すると、きょうは時澤審議官と唐澤局長にお越しをいただいていますが、私の理解は、市町村合併が十分じゃなかったから今般の法改正に至ってしまった、こういうふうに解釈せざるを得ないんですけれども、まず、私の解釈はおかしいでしょうか、唐澤局長。

○唐澤政府参考人 国民健康保険の運営責任の問題、主体の問題につきましては、実はかなり以前から議論がございます。
 というのは、諸外国では、医療保険あるいは医療の提供体制、こういうものの主体というのは、大体、州や県というようなところが担っているわけでございます。これは、例えば、町村レベルでは急性期医療の病院なんかないわけでございますね。隣の隣の大きな市の総合病院に救急で搬送されるということで、どうしても広域的な要素を医療には含んでいる。介護は自分のところの中のエリアが多いんですけれども、医療はどうしても広域的なところがある。
 ところが、医療保険あるいは医療費という面では、これは市町村が中心になって実施をしておりまして、都道府県の関与というものが弱いのではないか、医師確保だとか病床とか、提供体制の方は県がやってきましたけれども。だから、それを一緒に考えていただくという総合的な視点が必要ではないかという議論が、実は国保の問題にはございます。
 もちろん、合併の状況ということも関係ないわけではございません、まだ小さな町村がかなりございますので。
 そういうような全体的な状況から議論が進んできたというような状況でございます。

○足立委員 ありがとうございます。
 今、局長から諸外国の例を紹介いただきましたが、すると、今おっしゃった諸外国もいろいろでしょうけれども、諸外国はちょっと私は勉強不足ですが、諸外国のグローバルスタンダードは、医療は、提供体制も保険も州というかそういう広域行政がやっていて、介護保険というのは余りないんだっけ、ちょっとわかりませんが、きょう私が申し上げている医療、介護の保険者、そういうところでいうとグローバルに、もう一度、そこはどう評価されるんですか。介護も含めてちょっと御答弁ください。

○唐澤政府参考人 もちろん、全世界を承知しているわけではございませんけれども、例えばアメリカでは、公的な医療はメディケアとかメディケードとかありますが、そういうものの、どちらかちょっと今忘れましたけれども、多分メディケアだと思いますけれども、主体は州でやっております。
 それから、北欧などでも、大体、州または県というような名前になっておりますけれども、そこで医療を担当して、介護といいますか福祉といいますか、それはコミューンと言われている市町村ベースでやっている。
 ただ、これをどうやってうまくつなげるか。地域包括ケアというのは医療も介護もつながっていないとだめですので、それをどうするかということは、先生の御指摘のように、設計すればただつながるというわけではありませんので、それは私どもの、これからの重要な地域包括ケアの課題だというふうに受けとめております。

○足立委員 すると、世界も、そういう医療と介護、ごめんなさい、保険の体制はまた違うと思いますが、ある種、そういうシームレスな地域ケアのあり方というのは世界的にも課題だということですかね、そこは。ぜひお願いします。

○唐澤政府参考人 先生御指摘のように、実は非常に大きな課題でございます。
 それで、日本が一番高齢化が進んできておりますので、我が国で典型的に課題になって浮き彫りになっているところが実はございまして、介護保険制度があるのは、ドイツがありまして、オランダが一部医療保険でやっておりますけれども、実は世界的に課題でございます。これはインテグレーテッドケアというような課題になっておるんですが、それをどうするかという方法論は、これがいいというところまではまだいっていないですけれども、課題でございます。

○足立委員 ありがとうございます。大変よくわかりました。
 我々、実は今、大阪でわあわあやっていますけれども、ここで別に都構想の話をするつもりは全くありませんが、しかし、我々が今大阪で苦労してやっているのは、要すれば、基礎自治体と広域行政の役割が、政令市制度もあるがために話がややこしくなっているので、一回整理しとかなあかんよなというのが最大の、根本的な議論なんです。
 そうしたときに必ず、これから整理していく中で、市町村が果たす役割、広域行政が果たす役割、それから国が果たす役割、これは共産党さんと考え方は真逆なわけですが、ただ、ちょっとはっきりしようやというところはあるんだと思うんです。
 なぜはっきりせなあかんかというと、これまでみたいに、市町村と広域行政と国が、まあまあと言って折半するような形で物事を進めているような責任体制では、これからの厳しい時代を乗り越えていくことはできないんじゃないかという問題意識があるわけです。
 通告から話がちょっと飛びますが、今回の制度で、財政安定化基金というのがありますね。これは、交付分への補填については、国、都道府県、市町村が、市町村の保険料を含めて三分の一ずつ、こうなっていますね。これも私はよくわからないんですよ。何でこれは三分の一ずつなんですか。合理的な説明というか、どういうロジックがあるんですか。

○唐澤政府参考人 この財政安定化基金、先行する制度といたしましては、最初に介護保険で財政安定化基金が設けられました。そして、現在実施されております後期高齢者医療制度においても安定化基金が設けられまして、国民健康保険におきましても、広域化をして、その際に新しい財政安定化基金を設けようということにしているわけでございます。
 これは三分の一ずつ補填、何かに支出をして、保険料が予定よりも少なかったというような市町村に、やむを得ない事情のときに支援をするということになるんですが、支援した後は穴があきますのでそれを補填するということになるんですが、その補填分につきましては、国と県と市町村が三分の一ずつというふうにしているわけでございます。
 これは、それぞれが三分の一ずつの責任を持ってこの基金を運営するという考え方であろうと思っております。

○足立委員 いや、局長、三分の一の責任を負う、それは、なぜ国が三分の一で、なぜ都道府県が三分の一で、なぜ市町村が三分の一なんですか。僕、今聞き逃したかな。その理由は何なんですか。

○唐澤政府参考人 ぴったり三分の一でなきゃいけない理由というのは、それにはないんですけれども、類似の制度なども参考にして三分の一ずつにする。
 国が負担をしている理由は何だということになれば、これはやはり公的な、強制的な社会保険制度、国民全員が加入する皆保険だという責任をやはり国は持っておりますので、制度を企画する、そういうようなことも踏まえて三分の一ずつになっているんだというふうに理解しております。

○足立委員 先ほどおっしゃったように、制度のベースが介護保険から来ているというお話もありました。介護の財政基盤、財政の構成がどうなっているかということも一応承知しているつもりですので、現状としては理解できるんですが、私は、そういう三者が折半をするような責任のあり方というのが実は非常に問題じゃないか、こう思うんですね。
 どちらかというと、これからの時代は、市町村、都道府県、国がそれぞれ役割を明確にしていって、誰が責任を負うんだと。原発もそうですね。基地もそうですね。全ての問題で、それが明らかでないがゆえに、もめているということが多いわけですよ。だから私は、基本的には三者の役割分担、国、広域行政、基礎自治体の役割分担を明確にしていくべきだと思うんです。
 この法律については、私たち、決してネガティブではないんですよ。ネガティブではないが、しかし、大きな方向性をこうやってつぶさに見ると、逆を向いているんじゃないか。すなわち、三者の責任関係をまぜる方向にまぜる方向に行っていると思いますが、まず、現状、まぜる方向に行っているという認識はいいですかということと、それで本当にいいですか、これからもまぜる方向ですか、本来は分ける方向じゃないんですか。
 橋本政務官、もし御意見があれば。ぜひ政務官に、大臣いらっしゃらないので。副大臣もいらっしゃいますが、政務官、お願いします。

○橋本大臣政務官 目が合ってしまいまして。当てていただきまして、ありがとうございます。
 今回の国保の制度改革によりまして、市町村がやっていたものを都道府県にも責任を負ってもらうというようなことは承知をいただいていると思いますし、それも、都道府県がなぜかというところは、提供体制も見てもらうからということになっていることは十分御理解をいただいているということだと思います。
 ですから、どこかがもちろんきちんと責任を持つべきなのだ、確立をさせるのだというのは一つの考え方だと思いますけれども、きちんとそれぞれの役目を分担しながら、責任を分かち合って全体としてよくしていこうという方向というのは、一つ、そういう方向での考え方というのもあってもしかるべきなのではないかと思います。

○足立委員 そつのない御答弁だと思います。
 私たちは、共産党さんはわかりませんが、私たちは、とにかくしっかり分けていくべきだという考え方であらゆる政策に向き合っているところなんですが、ちなみに、もう一つ、三者の役割分担ということに加えて、保険なんだから、いわゆる国庫の投入は減らしていくべきだという考え方も強く持っています。維新の党になる前の日本維新の会の時代ですが、国庫を全部引き揚げて、いわゆる被用者保険の一元化みたいな形で、もう国庫はやめるみたいな予算の修正案を衆議院にお出ししたこともありました。
 医療保険財政全体に対する国庫の補助割合というのは過去どうなってきたのか、今回の改正の影響はどうなるかも教えてください。
    〔委員長退席、高鳥委員長代理着席〕

○唐澤政府参考人 いわゆる国民医療費に対する国費の割合、こういうことになりますけれども、国民皆保険がスタートをした時点、昭和三十六年度でございますが、このときは一七・七%でございました。そして、累次のいろいろな給付の充実あるいは保険料の軽減というようなことがございまして、昭和五十八年度には三〇・六%まで国費が上がりましたが、その後、財政再建などのいろいろな議論などもございまして、昭和六十年度以降はおおむね二五%前後で推移している、おおよそ約四分の一というのが国費の水準でございます。
 今回の改正では、財政支援の拡充に消費税の財源を充てておりますので、その部分につきましては、全体として増額、約三百億円の国費が増額になると思います。ただ、この消費税財源がふえている部分については、都道府県と市町村の負担もございますので、そういうものを合わせれば、全体で、公費の部分で増加をするのは一千億円くらいというふうに理解しております。

○足立委員 国費であれ公費であれ、今局長おっしゃったように、これまでも累次の見直しでふえてきたけれども、今回の改正でもなお上がるということで御答弁いただいたと思います。
 これも、我々がもし政権に関与をしていれば、今はまだありませんが、いれば、この点はすごくこだわるところで、やはり保険は保険なんだと。本当に、今御紹介いただいたみたいに、公費がどんどん入っていって、かつ、先ほど冒頭申し上げたように、責任関係が、お金の入り方も三者が平等に入る、国と広域と基礎と。それから保険者機能も、何か都道府県なのか市町村なのかよくわからなくなるということで、私は、医療のあり方、医療の保険者機能への期待という観点から大変心配をしているところであります。
 もう時間が余りなくなってきましたので、次へ行きたいと思います。
 今、振りかぶった大きな観点から御質問させていただいているわけですが、結局今のような、年齢とか地域ごとにある、皆保険とはいえ当初から一七・七%の公費が入っていた、それをできるだけ保険として純化させていくのが本当は行政の、国の役割だと思うんですが、そういう意味では、私の観点からいえば悪化をしてきた。
 でも、やはり将来的には、これからは会社中心の時代でもないということで、私は、職域保険ではなくて地域保険に集約していく、こういう方向性じゃないかと思っていますが、厚労省としては、職域から地域保険への集約というのは、お考えはあるんでしたっけ、ないんでしたっけ、ちょっと確認まで。一言でいいです。

○唐澤政府参考人 厚生労働省は、まだ地域保険に集約するというところまでの方針は打ち出しておりません。財政調整をしているという状況でございます。

○足立委員 ぜひ、こういうこともなかなか意思決定しにくい、関係者が多いので難しいですけれども、私たちは、やはり一定のそういう方針を本当は国は明確にしていくべきだと思っています。
 その際に必ず、いわゆる健保組合から、何を言うんだ、俺たちこそ保険者だ、今までの努力を何と心得るか、こういう意見が出てきます。これについては、おととしの委員会でも私がこの場で、クリームスキミングという言葉を使って、いや、それは経営努力なのかどうなのかわからないのではないかという指摘をしましたが、これも厚労省の見解をちょっと教えてほしいんです。
 要すれば、健保組合が俺たちのパフォーマンスは立派だろうと言っている、その健保組合のパフォーマンス、アウトプットですね、アウトカムでもいいんだけれども、健保組合のアウトプット、アウトカムは、それは全て健保組合の経営努力だと見るべきなのか。そこには私が何度か指摘したクリームスキミングという議論があるのか。御見解を教えてください。

○唐澤政府参考人 健保組合もかなりの数がございますので、かなり予防対策や、あるいは従業員の健康に気を使っているところもございます。ただ、確かに先生御指摘のように、かなり年齢が若くて所得の水準が高いというところもございます。
 ただ、我々の方としては、高齢者医療の費用につきましては、もとはサラリーマンの人が退職した方がかなりいるわけでございますので、その部分の負担の割合というか、保険料に相当するようなものは同じ割で負担をお願いしたい、こんなふうに考えているところでございます。
    〔高鳥委員長代理退席、委員長着席〕

○足立委員 後半部分の御答弁は伺っていないところなんですけれども、要すれば、クリームスキミングは、組合によってというか分野によってはあるというふうに御答弁いただいたと思います。ちょっと、ちゃんとあると言ってください。

○唐澤政府参考人 なかなかクリームスキミングがあるというふうには申し上げられないんですけれども、非常に健康づくりに努力しているところもございますし、ただ、中には、やはり所得の水準がかなり高くて運営が良好というところがあるのも事実でございます。

○足立委員 クリームスキミングというのは、いわゆるミルクのおいしいところだけをすくい取って、それをクリームスキミングというわけでありまして、大企業の健保組合は採用の入り口で健康な人が集まっているんじゃないか、そういう経済学の議論でありますが、今、局長から、あるとは言えないよと。
 そういうところをやはりこれから変えていかなあかんと勝手に思っています。世の中にはタブーというのがあるそうでありますが、ちょっとしいんとしていますが、労働政策、医療政策を超えて、ぜひ、これからこの委員会の場で本当のことを正確にやはりやりとりさせていただいて、言うべきは言う、そうしないと結局本当の改革は進まない、こういうふうに私は僣越ながら思っているところであります。
 もう時間も来ますので、最後に、大臣にお願いしていいのかわかりませんが、いわゆる患者の申し出療養、これは、保険適用の問題で大変なせめぎ合いがあって、皆様の御努力でここまでつくっていただいたと敬意を表したいところであります。ついては、これは将来的には保険適用を目指すという文言で今落ちついているわけですが、実際に、患者申し出療養、保険適用を目指すという方針が書いてあるわけですけれども、これはちゃんと保険適用できますか、通常のペースで。
 その辺のことはまたタブーだと思いますが、塩崎大臣であれば、はっきりとわかりやすく御答弁いただけると思うんです。よろしくお願いします。

○塩崎国務大臣 法律に目指すと書いてはないのではないかという認識でございます。
 おっしゃるように、将来的な保険収載に向けて、実施計画の作成というのを義務づけていくわけでありまして、保険収載までの期間がどのくらいになるかというのは、それはケース・バイ・ケースで、なかなか難しいケースもあるでしょうし、比較的早いのもあるかもわからないということでありますけれども、保険適用に必要なデータとかエビデンスを集積して、安全性、有効性の確認をした上で、将来的には保険適用につなげようというのがこの制度でありますので、広く国民が、医療保険制度の中で先進的な医療を、たとえ今、保険収載されていなくても、将来されることを前提に、ぜひこの新しい患者申し出療養で必要な医療を受けてもらいたい、こういうことでございます。

○足立委員 ありがとうございます。
 時間が来ましたので終わりますが、かつて混合診療と言われていたようなテーマについては、私は、とにかく医療は大変なイノベーションが起こっている世界ですから、このイノベーションの成果を国民が享受していくためには、ありていに言えば、はっきり言えば、保険収載にこだわらず、国民の手に技術、イノベーションが渡る、そういう形を目指していきたいと個人的決意を申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございます。

 

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